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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
531/625

531 魔王を倒さないという選択肢

 香々美は早速さっそくその高次元能力スキルを使って魔王を討伐してみた。

 だが、それでもこの流れを変えることはできなかった。


 香々美は魔王の置かれている次元が自分の次元、四次元よりも更に上にあると考えた。

 そこで五度目、六度目の人生ではおの能力スキルを磨きに磨き上げ、遂に七度目の人生で七次元まで到達することができたのだ。


 生憎あいにく七次元の能力スキルで挑んだ魔王戦の終了後も香々美はいつものようにスタート地点に戻されてしまった。

 だが、彼女は確信することができた。

 次の次元で完全に魔王本体を上回ることができることを。


 香々美は八度目の人生、つまり今回の人生で更に一つ上の八次元に向けて修行を行った。

 今回はドーヴェが七歳の時に生まれ変わったため修行の時間はたっぷりあった。

 ちなみに毎回少しずつスタート地点が変わってはいたがこれほど逆行したのは初めてだった。


 高次元の修行はかなり慎重に行われていた。

 特に七次元ともなればほんの些細ささいなミスをするだけでこの世界だけでなくそれに連なる大部分の並行世界が消滅してしまうからだ。


 だから勿論もちろんこの地球上ではないところでそれは行われていた。

 最早もはや空間とも呼べないような様々な異空間にいて香々美は数々の敵をたった一人で倒しまくったのだ。


 さあ、そろそろ目標に到達するぞ!

 彼女がそう確信したその時であった。

 今までであれば自分の能力スキルの次元がレベルアップしたことを何らかの形で体感できていたのだが、今回はそれがない。


 その後も何度か確信めいたものを感じたが七の次元を超えることはできなかった。

 何故八次元に到達できないのか……。


 香々美が考えた結論はこうだ。

 つまり、この世界では七次元より上には行けないということ。


 何らかの規則ルール、または縛りによってこれ以上高い次元に発展できないように仕向けられているのだ。

「うーむ、小癪こしゃくなぁ。」


 香々美は一度は使ってみたかった『小癪こしゃく』という言葉を使えてちょっと嬉しかった。

「うーん……どうしようかな。」


 どうやら魔王の置かれた次元は七と八の間にあるらしかった。

 しかし、香々美の能力は最高でも七次元までだ。

 普通に考えたらとてもどう頑張がんばってもかなわないということになる。


 とは言え策がないわけでもなかった。

 香々美の観察によれば魔王の次元は嫌な感じの作為と嫌な感じの無作為によって生じたいびつこの上ないものだった。


 そのような不完全なものであれば香々美の完全なる七次元、全要素をなめらかつ自在に関連付けられる七次元の能力スキルってすれば疑似八次元に発展させることも可能であった。

 そして、その方法で魔王を完全に討伐できることも香々美には分かっていた。


 それでも香々美はそれをしなかった。

 どうもそれではいろいろとに落ちなかったのだ。


 実は香々美はこの世界に転生してからというもの、ずっと一つのことが気に掛かっていた。

 それはZ組のみんなのことだった。


 香々美がこの世界で最初の人生を送っていた時、彼女はまだ高次元に行き着いていない能力スキルってしてみんなのことを探索してみた。

 だが、一人としてヒットすることはなかった。


 それは能力スキルレベルが四次元になっても同じだった。

 変化が見られ始めたのは能力スキルレベルが五次元に達した時だ。


 この頃になると探索能力はかなり鮮明となり、より多くの情報を捉えられるようになった。

 過去に何があったのか、または未来に起こり得るあらゆるパターンも把握できた。


 香々美はこの五次元の能力スキルを使っていつものようにZ組のみんなを探索してみた。

 すると、この世界の何か所かで白いもやが掛かったような場所が見受けられたのだ。


 どうやらこの辺りに仲間がいるらしいことが分かった。

 また、このことからもZ組の仲間の情報は何者かの手によって隠匿いんとくされていることも分かった。


 では、その何者かとは誰のことか。

 ある意味、それは誰でもない彼女たち本人によるものだった。


 香々美がそれに気付いたのはその白い靄に濃淡があったことと時間経過とともに薄らいでいることが把握できたからだ。

 つまりこの現象はまだ会うべき時ではないということを示唆していた。

「うーん、どうやらそれぞれに与えられた役割やら試練やらがあるみたいね。」

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