表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
524/625

524 月と火と水と

 ヒナミも内心では驚いていたが冷静な口調でショウに言った。

「ほら、次はショウの番よ。頑張って!」


 ショウはズーミの成功をの当たりにして確信を得たようだ。

「ああ、分かった! 俺も炎の玉を出すぞ!」


 ショウが強く念じると今までには見られなかった赤く光る小さな粒が現れた。

「お! これは……火の玉か?」


 ヒナミはニコリと微笑ほほえむとショウを激励した。

「うん、でもまだ小さいわね。もっと大きいやつお願い!」


 ショウは俄然がぜんやる気を出して鍛錬に集中した。

「よし! 頑張るぞ!」


 ヒナミはズーミにリベ・ルナから聞いたことを教えた。

「やっぱりあなたは早かったわね。何でも毎日泳いでいたのが鍛錬になってたみたいよ。」


 ズーミはまだ信じられない様子で呆然ぼうぜんとしていた。

「成程、そうゆうことか……けど、おったまげたわ。」

「次はね、その水玉をたくさん出せるように頑張ってみて。」


 その後、しばらくの間訓練は続けられた。

 建物の外では残った子どもたちが手を傷付けないよう気を付けながらアルミ複合板を運び続けていた。


 ショウは先程の赤く光る点を三つまで出せるようになった。

「外の皆はちゃんと運べてんのか?」


 ヒナミは出口の方を見ながらそれに答えた。

「まだ、さっき運んだのが半分くらい残ってるから大丈夫。」


 それから更に三十分ほどが経過した。

 その頃にはズーミは水玉を数えきれないほど現出させ、それを移動するまでに能力を成長させていた。

「精霊様ってのは本当に全部見えてらっしゃるんだね。それに、私にもこんな魔術みたいなことができるなんて今でも信じられないよ!」


 実は二人の力が急成長したのはヒナミの能力が大きく関係していた。

 ヒナミの能力は回復やバフ、デバフの他に人の能力アップを促進する力も備えていたのだ。


 この能力は相手を熟知しているほど効果が強く現れた。

 二人とは幼少からの付き合いだった為、その効果も倍増したというわけだ。

 そして、それらの効果を二人に与え続けることでヒナミの能力もまた大きく成長していった。


 ざっと一時間ほどが経過した頃、三人のレベルは三段階ほどアップしていた。

 ショウは無数の光の粒を発生させ、それらを一点に集めることで炎の玉を作りだすことに成功していた。

 ズーミに至っては大きな水玉を自在に操ったり水流を水鉄砲のように壁に当てたりできるようになっていた。


 勿論もちろんこれらの術はヒナミのバフ効果も寄与していたが、それにしてもあまりに急速な成長であった。

 これには非天たちも思わず眉をひそめた。

「相乗効果がもろにはまったみたいだ。この訓練方法は三人に合っていたのだろうか。」


 リベ・ルナも何故か得意げに感想を述べた。

「うんうん、やるじゃないさ、あの子たち。これなら思ったよりも早く計画を実行できそうね!」

「それにしても……精量の能力アップってのはあんなに早いものなのかい? なら何で今までこの能力は放置されていたんだろう。これだけ使えるなら魔術なんかいらないじゃないか。」

「さあね、けど普通なら何度やってもああは行かないんじゃないかな。癖や暇つぶしで何回も力を使ってる人が数人いたけど特に変化は見られなかったし。」


「成程……。」

 非天はそうつぶやくと少し考えてからリベ・ルナに尋ねた。

「ところで、リベ・ルナは何故私に力を貸してくれようと思ったの?」

「うーん……そうね、何かしっくりくるって言うか、楽しそうだったから? あとは……怖くなかったからかな。」


 非天はその言葉に着目した。

「怖くなかった?」

「うん、怖くなかった。て、言うか安心できたって方が正しいかも。」


 非天はその言葉を聞いてあることに気が付いた。

 それは精量の持つ機能、及び人間とのかかわりについてだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ