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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
50/624

50 居間での死闘(マジ)

 その時突然声が聞こえた。

「フィナさん大丈夫ですか!?」


 斎藤さんだった。

「はい、今のところは……。これ、何なんですか?」


「あれは恐らくグレイマンと呼ばれる未確認体です。」

「未確認……。私、どうしたらいいんでしょう。」てか助けて!


「今のフィナさんのスキルレベルなら大抵の事は可能なはずです。何でもいいので念じてみてください。」

「え?」どうゆう事?


 斎藤さんは改めて伝えてくれた。

「フィナさんの今のスキルレベルならこの電脳世界であれば大抵の事は可能だと思います。」


「え? じゃ、じゃあ、えっと……ロボット動かなくなれ!」……みたいな?

 すると、目まぐるしい勢いで面前のモニターに文字の羅列られつが流れた。


≪目的遂行『自動リンク』。『情報』『アクセス』、『諜報』『解読』、『情報』『プログラム』より新スキル『ハッキング』及び『クラッキング』生成及び発動。≫


 すると、今まで鳴り続けていたパトライトの爆発音がピタッと止んだ。

 しばらくすると部屋の外から何かが地面に叩きつけられる音がした。

 ドドーン!

「何か落ちたみたい……。」


 斎藤さんがホッとした感じで言った。

「どうやら取り押さえることができた様です。ありがとうございます。」


 私は状況がつかめず不安になった。

「みんなは大丈夫なのかな? 見に行きたいけど……。」


 斎藤さんは落ち着いた口調で言った。

「それなら空中に浮かぶことができます。念じてみてください。」


 私は心に浮かんだ事をそのまま口にした。

「じゃあ、空に浮かびたい!」


≪目的遂行『自動リンク』。『重力感知』解除、『移動』『ネット』形状『浮遊』発動≫


 私はいきなり宙に浮いた。

「思った方向に行けるんだ……。」

 通常なら大はしゃぎしてるだろうが今はそれどころではない。


 ドキドキしながらも屋根の上に浮かぶと、外は真っ暗だった。

 私は周囲を見渡した。


 すると林の方向にたくさんのパトランプが集まっているのが見えた。

 慣れない浮遊であったが何とか近づいて行くと、ナミエさんが大きなくぼみの中心に横たわる先程のロボットの近辺に腕を組んで立っていた。


 私はナミエさんの所まで行き着くと声を掛けた。

「大丈夫ですか。」

「ああ、大丈夫です。それより今のはフィナさんが?」

「ええ、スキルで動きを止めてみました。斎藤さんの指示通りにしただけなんですが……。」


 ナミエさんは私の方を見て一礼した。

「助かりました。ありがとうございます!」

「いえいえ、そんな事よりこれは……何なんでしょう。」


 ナミエさんは言った。

「こいつはグレイマン。最近電脳世界のあちこちで確認されてる神出鬼没しんしゅつきぼつやからです。」

「でも、何でこんなボーカロイドの世界に出て来たんでしょう。」


「どうやら、ねらいはコイツみたいですけどね。」

 そう言うとナミエさんはくぼみを降りてロボットに近づいた。

 そして、どっしりとした鉄の触手を軽々と退けると中にいる山本を取り出した。


 山本はやれやれと言った感じでブウたれた。

「ふ~。ちょっと! もっと早く助けなさいよ!」


 私は顔をしかめた。

「え、でもこんなのさらって一体どうする積りなんですかね?」


 ナミエさんは山本を片手でまみ上げ、ひょいとくぼみの外に投げ出した。

「リアルのお偉いさんが調査してるんですが、今の所手掛てがかり無しです。」


「痛い! 腹打ったじゃないの! もうちょっと大事にあつかってよね! まったくもう!」

 山本は起き上がると服をパンパンと叩いた。


 ナミエさんは先程の赤い光線を山本とロボットに当てると私に言った。

「では、山本とこの躯体くたいはこちらであずからせていただきます。」

「あ、よろしくお願いします。何て言うか……お疲れ様でした。」

「いえ、こちらこそありがとうございました。また連絡させていただきます。」

 そう言うとナミエさんは私に敬礼して姿を消した。


 私は取りえず居間に戻り天井を元に戻した。

 ちなみにロボットが落ちたくぼみはもう直してある。

 みんなが来た時驚いちゃうからね。


 しっかし、何か色々あったな……ロボまで出て来るとは……。

 斎藤さんに聞きたいところだけど忙しいだろうしな……山本の尻拭しりぬぐいで。


 まあ、もう夜だし、睡眠でデータをまとめてから明日蟹江さんに相談しよう。

 今日1日、余りにも多くの事があったので、私は早めに寝ることにした。


 その内お風呂とか歯磨きとか生活の中に取り入れないと、どんどん人間の感覚からずれて行っちゃう。

 心を伝える歌手としては押さえときたいね、そこんところ。


 私は寝室へ行きベッドに横たわった。

「あ、重力感知モード、元に戻さなきゃ。」


 ズン……。

 これこれ。布団のふかふかが身体を包み込む。


 まだ興奮冷めやらないけど、そこは便利にできている。

 さてと、睡眠モード開始……。スヤー。

【人物紹介】

 私 … 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のオーナー】

 本田サユリ … 私のオーナー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のオーナー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … オーナーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … オーナーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … オーナーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … オーナーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ… 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


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