475 異次元への挑戦
ここは異空間にある白いビルの一室。
そこにはZ組の六人と彼女たちをルシフェルから救い出したカナタがソファーに座り何やら語らいでいた。
先程のこと、カナタに能力の強化を提案されたZ組の六人は躊躇なくそれを受けることにした。
ヴァルティンとヨルイチは「準備に行く」と言ってその場から立ち去った。
その際ヨルイチはソファーからドサッと落下し、その小さな四つ足をぱたぱたと足掻かせ丸太の様な身体を揺らしながらドアまで移動した。
それを見ていた蛇代は失礼にも「ぎゃはははは!」と腹を抱えて笑い転げた。
北守と歌寺も思わずつられて笑いそうになったが、ぐっと堪えた。
そして現在、Z組の六人はソファーで彼らからの指示を待っていた。
その間、六人はカナタから今回の訓練について説明を受けることになった。
歌寺は眉を顰めながら確認した。
「ゲーム……ですか?」
蛇代は目を輝かせた。
「やったぁ! ゲームだってさ! ねぇ、どんなゲーム? ロープレ? 格闘系? はぁ、高次元世界のゲームか……わくわくするぜ!」
カナタははしゃぐ蛇代を見てニコリとした。
「ゲームって言ってもちょっとイメージが違うかもしれないな。ご期待に沿えればいいんだけど。まあ、ジャンルで言うとロープレか……それと、格闘やシミュレーションの要素もあるからなぁ。」
北守はそれを聞いて満足気な顔をした
「ま、格闘は必須だよな。」
カナタはゲームの世界観について説明した。
「このゲームは実際あり得た世界をモチーフにしてるって話だから。つまりね、出て来る人間や世界もかなりリアルと言うか、現実にいた人や環境にかなり近いってわけ。そうゆう意味で所謂ゲームとはちょっと違うのかもしれない。」
鳥山はその世界の設定について質問した。
「え、その世界って実際あった世界なんですか?」
カナタは「うーん」と言いながら鳥山を見た。
「あり得たって感じかな。しかも、かなり低い確率で。」
鳥山は以前ゼウスたちから聞いた並行世界の成り立ちを思い出した。
「つまり、偶然が幾つも重なり合わないと起こり得ない世界ってことか。それでも絶対起こり得ないとは言い切れなかった世界……。」
蛇代はその世界について確認した。
「成程、そいつが大きなヒントか。それって物理法則が大きく捻じ曲がるようなことはないってことだよね。」
北守は蛇代の方を向いて呟くように問いかけた。
「で、私たちはそこに生まれて来るってわけか? 赤ん坊として……。」
それにはカナタが応答した。
「ま、赤ん坊かどうかは分からないけどね。確かヴァルティンが本来なら亡くなる筈の人間に転生するって言ってたから。」
歌寺は「え?」と言いながら眉を顰めた。
「それって……ゲームに入った直後から大ピンチってことじゃないの!?」
カナタは歌寺の驚愕ぶりを見て思わず顔が綻んでしまった。
「う~ん、大丈夫なんじゃないかな。そこまで無理ゲーじゃないでしょう。」
蛇代は少し残念そうに呟いた。
「無理ゲーでもいいのに……。」
非天はここで別の話題について質問した。
「カナタさん、記憶などの操作は為されるんですか?」
カナタは非天に顔を向け大きく頷いた。
「そうね、そこは重要! 先ずはそうね、これがゲームであるという記憶は消されるわ。」
北守はそれを聞いて一瞬驚いたが話の意味が呑み込み切れてないことに気が付いた。
「え! ってことは……ん?」
カナタは不思議そうにしている北守を見て笑った。
「ゲームじゃなくてね、転生したって記憶にすり替えられるの。じゃないと訓練にならないでしょう?」
北守はそれを聞いて納得した。
「まあ、確かに死んでも大丈夫って分かってたら訓練にならないか……。」
カナタは「うふっ」と笑いながら説明を付け加えた。
「そう、そうゆうとこもまたゲームって感じじゃないでしょう? ただまあ、他の仲間も同じ世界に転生してるってことは何らかの方法で分かるようになってるみたい。」




