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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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468 教えて、コンピューターさん

 サユリは「う~ん」とうなりながら困ったような顔をした。

「ちょっとその前に一つ確認したいんですけど。そうなると、そのハッキングを仕掛けた何者かってのもその男と同じで、最近能力が目覚めたってことなのかしら。だって、フィナの防御で守られてたってんならフィナがここに来る前は少なくともその能力は使えなかったってことになるでしょう?」


 そう、私がこっちに転生して来たのが今年の六月。

 けど、黒バットがサイバー攻撃を始めたのは十年以上前だから……確かに変よね。


 コンピューターは少し沈黙した後、それにこたえた。

「それについては何とも言えません。考えられることとしまして、それまでは七天子によってさえぎられていた。あるいは七天子を救った誰かがさえぎっていた……。」


 サユリはこくこくとその意見にうなずいた。

「成程……けど、ここに来て七天子は誘拐され、その誰かも救出しに行ってしまった……。」

「はい、くまで予想の域を出ませんが。」


 サユリは渋い顔をしていたが一先ひとまず納得はしたようだった。

「分かりました。話を戻しましょう。で、今私たちが七天子の正体を知るのはやっぱりまずいわよね……。その、無難そうな内容だけ教えてもらうってわけにはいきませんか?」

「はい、できるだけ努力いたします。」


 コンピューターはそう言った後、会議について説明を始めた。

「それではず、昨晩のサイバーポリス内での会議についてですが……やはり例の男の正体について話されていました。」

「ということは早見さんたちもその男の存在に気付いてるってことですね……。他には何かありますか?」

「早見さんたちは蟹江さんやフィナさんたちと情報を共有したいと考えているようです。しかし、それと同時に一般人である蟹江さんたちを巻き込みたくないとも考えています。ですから早見さんたちがそれをどうするのか判断するまで、これ以上私の口からはお伝えしない方がよろしいかと存じます。取りえずは本日十時よりサイバーポリス内で会議が持たれる予定です。そこで今後の方針が決まるものと思われます。」


 サユリは昨晩行われた会議の内容についてそれ以上聞こうとはしなかった。

「分かりました……。その、十時から行われる会議の結論てゆうのは最終的にどうなる可能性が高いですか?」

「昨晩の会議では自動運転システムの話しはほとんど出ていませんでした。しかし、今後は早見さんたちがコスパルエイドと連絡を取り合う可能性は高いと考えられます。」


 私は昨日、蟹江さんたちのいる関係者席で見たことを思い出した。

「そう言えば、昨日のライブで一ノ瀬総司令とコスパルエイドの十勝会長が一緒に座ってた!」

「はい、お二人はどうやら旧知の仲のようです。ただ、十勝会長は既に現役を退しりぞいていらっしゃいますので直接かかわることはないと思われます。恐らくは今朝の便で帰国のく予定の川上社長、それと空知副社長が中心になって対応するものと考えられます。」


 サユリはそのことについて更に質問した。

「その話が蟹江さんのところに行くことはあるのかしら?」

「時間の問題かと考えられます。既にコスパルエイド社内の自動運転システム開発部が原因究明に乗り出していますが、その原因を見出すことはほぼ不可能でしょう。そうなればグループ内きっての頭脳集団である3Dボカロ社に頼らざるを得ないと言うわけです。」


 私はそれを聞いて妙な胸騒ぎがした。

「ねえ、それなら蟹江さんたちが忙しくなっちゃう前に連絡しといた方がいいんじゃない?」


 サユリは腕を組んで椅子の背もたれに寄りかった。

「九時か……。蟹江さんたち、もう会社に来てるのかな?」


 すると、私の端末から呼び出し音が鳴り響いた。

 送信者の名まえを見て私は思わず叫んだ。

「あ、蟹江さんからだ! グッタイミン!」


 私はすぐにもタッチパネルを叩き、連絡用ソフトを開いた。

「おはよう、フィナ。調子はどう?」


 めちゃくちゃ呑気のんきな声が聞こえる!

 私はモニターに映るのほほんとした蟹江さんの顔を見るなり思わず拍子抜けしてしまった。


「あ、お、おはようございます。あ、あの……。」

 私は昨日のライブについて感謝を伝えたいという思いと謝罪をしなければならないという思いが混同してしまい、少し焦ってしまった。


 すると蟹江さんの方から私に声を掛けて来た。

「ああ、いいのよ。昨日サユリさんからメールもらって大体のことは聞いてる。あんなの気にしないで。頑張ったんだからそれでいいじゃない。それより、フィナの方はもう大丈夫なの?」


 私は蟹江さんの激励に心底感謝した。

「私の方は大丈夫です。すみません、私の方から連絡しようと思ってたんですが……。」

「あ、そうなんだ。え、昨日の事ででしょう?」


 私は少々頭が混乱してしまっていた。

「はい、それもあったんですが、今朝ニュースでコスパルエイドの事やってたもので……。」


 すると蟹江さんは少しだけ声のトーンを高くした。

「ああ、そうそう! 何かねぇ、大変なことになっちゃってるみたいだけど。私も今朝知ったところでね。」

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