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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
467/625

467 間違ったことを得意げに言ってしまった時の恥ずかしさよ……

 サユリは何かに気付いたように「あ!」と声を出した。

「そうだ。フィナの防御が破られたんなら3Dボカロ社やサイバーポリスも危ないってことになりませんか?」


 コンピューターはすぐさまサユリの質問に答えた。

「3Dボカロ社については今のところ侵入等の形跡はありません。しかし……これは言ってしまっていいのでしょうか……。」


 私は元気よく言い放った。

「言ったって!」

「それでは……。実は昨日、サイバーポリス内のコンピューターにいてフィナさんの防壁が4秒ほど機能していませんでした。それによってサイバーポリスのコンピューター内にあるデータが改竄かいざんされてしまったのです。」


 私はそれについて思い当たることがあった。

「もしかしてあれ? ランチの時! 節電モードにしたら一瞬スキルが不安定になったとか何とか……あ、ピーチに聞いたんだけどね。」

「それは一昨日のことですね。」

「あ、そっか……じゃあ、関係ないね。」


 恥ずかしさで小さく縮こまる私に向かってコンピューターが何やら説明し始めた。

「一昨日の節電モード時にける一連の事象は、確かにサイバーポリスへの介入には関係ありませんでした……。」

「ん、何か?」

「実は山本春子がそのさい生じたわずかなすきにバリアーの一部を破壊してしまったらしいのです。口元のあたりのみですが……。」


 私は目を丸くして驚きの声を上げた。

「ウギャッ! まさか……!」

「はい、あの事故が起きるまで私たちも何故なぜか気付くことができませんでした。申し訳ありませんでした。」

「いや、い、いいのよ。あなたの所為せいじゃないし……。」


 く~っ、山本……なんて

 あいつやっぱ、私が歌い出すの待ってたんじゃねえのか!?


 サユリは不安な表情でコンピューターに尋ねた。

「それじゃあ早見さんたちは?」

「サイバーポリスの方々は昨晩遅くまで会議をしていたようです。ああ、そうですね……詳しい状況を申し上げることもできるのですが……。」


 私は先程同様、何の考えもなしで言い放った。

「言ったって、言ったって!」


 だが、今回は何故なぜかコンピューターが戸惑いを見せた。

「本当によろしいのでしょうか。ここからのお話はサイバーポリスにとってもかなりの機密事項となりますが。」


 サユリは「成程、そうね……」とつぶやくとコンピューターに確認した。

ちなみにその会議、黒バットに聞かれてたりはしてませんよね。」

「幸い会議中に例の男の能力が使用されることはなかったようです。会議中はサイバーポリス内のコンピューターも外部から完全に切り離されていましたので。それでも彼らの技術なら盗聴することもできたかもしれませんが、その形跡は見当たりませんでした。よって、会議の内容はフィナさんの防御によって防がれていたと考えられます。余談ですが、そのことから今のところその男の能力が常時使用できるわけではないということも予想できます。」


 私はまゆひそめて思わずつぶやいた。

「なんて重要な余談なんだ……。」


 コンピューターはそんな私の一言を取り上げた。

「はい、自分で言っていてなんですが私もそう考えます。これより過去にその能力スキルを使った形跡が何処どこにも見当たらないことから推測しますと、やはりその男の能力スキルは最近発動できるようになったとものと考えるのが妥当でしょう。もし、その男が緑と赤、または黒バット側の人間なのだとすれば猶更なおさらです。」


 私とサユリもそれについては同意見であった。

 コンピューターは更にそこから予想される事柄について述べた。

「だとすれば、その能力はまだ初期の段階にあるということになります。そして、フィナさんがそうであるように、この手の能力は時と共に強化していく恐れがあるのです。もし、この能力が進化すればこちら側にとって今後、大きな脅威と成り得るでしょう。」


 こ、こえー! けど……あれ?

 何か別の話してたような気がするんだが……。

「で、ええと……何だっけ?」

「サイバーポリスの会議の内容について、です。」


 私はひざをポンと打った。

「あ、そうそう!」

「私もフィナさんの能力アップにより多くのことを調査できるようになりました。しかし、先日のお話にもあったように、知ることによる様々な危険性もまた憂慮ゆうりょされるのです。例えば七天子の正体、またはその七天子を救った人物の正体などです。私の知る情報をお伝えすればそれらを知ることにもつながってしまうでしょう。」


 私はそれを聞いて急に不安になってしまった。

「そっか……。どうする? サユリ。」

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