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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
446/625

446 事の発端

 和田はライブの時のことを思い出しながら自分なりに考えてみた。

「私もちょっと見ただけで、後は音声のみでした。ちょっと、と言うのは一度見てしまうと多分目が離せなくなってしまうと思い、即座にモニターから目をらしたからです。彼女たちのパフォーマンスはそれ程に魅力的でした。まあ、一瞬見ただけなんですがね……すぐに分かりました。私も彼女たちのことを知らされていなかったら確実に引き込まれていたでしょう。」

 彼はファランクスのライブ映像を断腸だんちょうの思いでオフにしていたのだった。


 ウーギスの三人は大きくうなずき彼の言うことに賛同した。

 玉木は和田の無念を強く感じ取った。

「分かります、とっても!」


 和田は三人に理解してもらえたことで多少は胸がすいた。

「ははは、分かっていただけますか。まあ、この時は私も黒い服の男を追っていましたからね。ただ、そうですね……。あなた方の反応からしてそのファランクスのライブはとんでもなく高いクオリティだったのでしょう。しかし、そのパフォーマンスがあるいは彼女たちの演技だったのだとしてもまったく不思議ではありません。いえ、むしろその方が自然と言えるでしょう。」


 玉木は難しい顔をして「理解できる?」と偶々(たまたま)目が合った長野に尋ねた。

 長野は手と顔を小刻みに数回左右に振った。


 山形は次にフィナ・エスカのことについて尋ねた。

「早見室長はファランクスではなくフィナ・エスカとお話をしたんですよね。」


 早見はそれについて答えた。

「はい、その時はフィナさんだけと会話しました。私は今のところファランクスの四人と直接話したことはありません。昨晩の話し合いの時もフィナさんを通しての会話でしたから。」


 山形は何故その重要なミーティングにファランクスでなくフィナだけが参加したのか引っ掛かっていた。

「何故その時はフィナ……フィナさんだけだったんでしょうか。」


 早見は山形の質問の意味を理解した。

「これはミーティングの時に蟹江さんから聞いた話なんですが、そもそも事の発端はファランクスではなくフィナさんだったということでした。ファランクスはご存じの通り数か月前までは普通のボーカロイドでした。しかし、フィナさんとある条件下で接触したことにより覚醒した、とのことなんです。」


 山形はその意外な話に息を呑みながらも自分の予想について確認した。

「その条件下ってもしかして『会話』だったりしますか?」


 和田はウーギスの三人にその絡繰からくりを明かした。

「そうです。お気付きの通り、今回のお触れは他のボカロたちがフィナさんの影響を受けないように配慮したものなんです。」


 山形はフィナのライブについて改めて考え直してみた。

「もしフィナさんがこの一連の事柄の中心人物なんだとすれば……もしかして彼女の最初のあれも計算の一つと言うことでしょうか。」


 和田は山形の意表を突く発問に眉をひそめた。

「え? あれってのは例のすっ転んだやつですか。それは一体どうゆうことでしょう。」


 山形は何故そう思ったのかについて説明した。

「私たちはファランクスのライブを見た瞬間、それこそただならぬ事態を感じ、そのことから大いに警戒してしまいました。それはきっと私たちだけではないでしょう。起こり得ないことが目の前で、しかも大衆の面前で繰り広げられていたわけですから。彼女たちのライブが終わった後も会場全体がある意味軽いパニック状態にあったことを覚えています。」


 皆、山形の話に共感しながらその続きを待った。

「ところがです。彼女の、フィナさんのあのすっ転びによって場の雰囲気は一掃されてしまいました。感動と驚愕きょうがくと疑念の混在した会場の空気を一転させてしまったのです。それはまるで舞台ですっ転んでしまった本物の人間に対する思い。大丈夫? 痛そう! これからどうなるんだろう。そんな、ある意味普通の感覚に一瞬にして戻されてしまったのです。」


 確かにそうだったのかもしれない。

 早見も和田もさすがにこの時だけはフィナの映る画面に見入ってしまっていた。


 山形は更に話を続けた。

「そして問題はその後です。ファランクスがミュージカル仕立てのライブを展開し超人的なパフォーマンスを見せつけたことによりボカロの、いえ、人間までをも超越した何かを一部の人に感じさせてしまった。ところが、それとは逆にフィナのパフォーマンスは人間味こそあるものの、やっていることは他のボカロと同様、歌とダンスによるパフォーマンスでした。しかも、彼女の歌は多くの人をきつけて離さなかった。そして、ライブが終わる頃には過剰に高まった疑念はやわらいで楽しかった! わくわくした! という満足感に差し替えられてしまったというわけです。」


 長野は半笑いで彼女の説を怪しんだ。

「つまり、あのすっ転びは作為的だったっていうことか? とてもそうは見えなかったけどな……。」

【年表的なもの】※参考なので読まなくてもいいです。



今年   フィナ誕生(6月)、第二回夏フェス(8月)

1年前  猫キャット事件(1月)、ミネルヴァ、メーティス生誕(2月)

     アテナ、ニーケ生誕(3月)、ファランクス結成(4月)

     レミファーナ、市川電算事務所契約(春)

     渡サナエ生誕(春)、第一回夏フェス(8月)

     ファランクス、芸能事務所ツイストーラスと契約(冬)

     シュメール号が宇宙に浮かぶ巨大な物体を発見

2年前  チャンディ生誕(春)、ルンファー生誕(夏~冬)

     山倉ケン、ロストロン、ジャッカル、野口ミナコ、

     村山トウコ生誕(夏)

     ムーニャン、her-deatha生誕(冬)

     大地ミナミ永眠

     猫キャット事件に繋がる一連の恐喝事件

3年前  蛯名入社(4月)、猫山チエリ、カロン、ウーギス生誕(春)

     ハジュン現る(夏)、スミレ生誕(夏)

     田町ナイト、バグランド生誕(秋)

     Z国のハッカーチームzouoが冥土センケツに接触(冬)

     黒バット沈静化、新曲ストーリーストッパーが大ヒット

     3Dボカロ社、第6研から第8研を増設

4年前  SUMIKA生誕(春)

     紅カジン、黒崎ネム、紫苑ラヴィ生誕(秋)

     レミファーナ、米田コウジ、流山恋生誕(冬)

5年前  市川電算、紅音源システム、東央大が光音プロダクションを設立

     台場タエコ、南宮大講師就任(春)

     ソフト『3Dボーカロイド』一般販売(秋)

     神崎ノア生誕(秋)

6年前  蟹江、大学講師として蛯名と知り合う

     (講師は8年前から四年間、週一)

     ソフト『3Dボーカロイド』限定販売(秋)

     市川カナデ、市川ココナ生誕(秋)

     サイバーポリスから依頼されていたプロファイリングシステムが実用化

     蟹江、サイバーポリスの早見ライザと知り合う

7年前  白鳥入社(4月)、3Dボカロ社、第1から第5研に分かれる

     ボカロ協会発足

     黒バットの活動が顕著になる

     プロジェクトY、山本春子生誕。山本邪神子更迭(恐喝事件より)

     サイバーポリスから依頼されてプロファイリングシステムを考案

8年前  未木、龍崎入社(4月)、3Dボカロ社、第1から第5研に分かれる

     プロジェクトY考案、始動。山本邪神子生誕

9年前  ボカロ開発の高田音響開発株式会社がコスパルエイドの傘下となる

     高田音響開発を基盤にした『株式会社3Dボーカロイド社』創立

     蟹江、卯月入社(4月)

     高田音響開発から熊谷、午藤が続投で入社(4月)

     BTAF設立、黒バットによる攻撃が開始される

10年前 コスパルエイド社、高田音響開発社の高田ゲントウ社長と新たな

     プロジェクトを立ち上げる。      

     『株式会社3Dボーカロイド社』草案(春)

     高田ゲントウ社長永眠(冬)

     Z国の大改革が始まる

     巨大マフィア『デーモンズ』がGmUの支配下となる

12年前 ボカロ協会の前身である『ボカロ研究協会』発足。

     現ボカロ協会の副理事であり、高田ゲントウの娘でもある杉田サラは

     この頃からここに副理事として在籍している

     Z国がGmUの支配下となる(ハジュンはまだ来ていない)

     何故かこの頃から既にこの地球上にはバリアーが張られており、

     GmUは自在に侵略できなかった

     ウーギスの山形と長野(当時十歳)がZ国の施設に送還される

18年前 コスパルエイド社、初期のボカロを開発していた高田音響開発社に出資

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