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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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444 最悪の先輩

 和田もどうやら話の趣旨が分かって来たようだ。

「成程、それで私たちですか。」


 玉木は一つうなずくと説明を進めた。

「ええ。熊谷くまがいさんはAI、午藤ごとうさんはQCのエキスパート。また対外的には卯月うづきさんが本社の人たちと協力して彼らのばら撒いたネガティブなイメージを一つ一つ払拭ふっしょくしていきました。そして蟹江さんは……。」


 和田は当時のことを思い出すと嬉しそうに語った。

「そうそう! 私たちと組んで違法行為をした連中を片っ端かららえていきましたね。成程!」


 玉木はゆっくりとうなずいた。

「そして、その翌年には現第7研、第8研の未木さんと龍崎さん、さらにその翌年にはの天才とうたわれた白鳥さんまでもが加入して参りました。その頃から黒バットも総力を挙げて、今考えたら国力を総動員してってことになるのかもしれませんが、3Dボカロ社を攻撃するようになりました。けど、それも彼女らの活躍でことごとく撃退され多くの者を捕らえるに至ったのです。」


 早見もその頃のことを思い出していた。

「ええ、蟹江さんたちが開発したサイバー攻撃に特化したセキュリティシステムやプロファイリングシステムは今でも使わせてもらっています。……あ、そうだ……。」


 玉木は早見の方を見てちょこんと首をかしげた。

「何か?」


 早見は玉木たちに改まった態度で話し出した。

「実は一つお聞きしたい事がありまして。つい先ほどのことなんですが……。」


 早見は黒い服をまとった怪しい男について今日あったことを三人に話した。

 そして話し終えた後、三人にその男のことについて尋ねた。

「もしその男に心当たりがあれば是非教えていただきたいんですが。」


 早見が話している間に和田は自分の研究室と連絡を取り、モンタージュが出来上がったかを確認した。

「先程AIによるモンタージュが完成したんですが……。」


 早見は和田の手元にあるノートパソコンを覗いた。

 そこには男の顔と全身像が映し出されていた。

「早見室長、こんな感じでしたかね?」

「ええ、そうですね……特徴はとらええていると思います。」


 二人はその画像をこの場にいる人々に見せた。

 一ノ瀬総司令と玉木は目を凝らしてその男の画像を見た。

「見たことありませんね……。二人はどう?」


 山形と長野はその写真を見ると揃って眉をひそめた。

「見たことはありませんが、これって……。」

 そう言うと長野は山形の顔を見た。


 山形は「うん」と一つ頷いた。

「今はどうかわかりませんが私たちの先輩にあたる人がBTAFの日本支部に派遣されていまして。その人が帰ってくる度にとある日本人のハッカーをののしっていたんです。そこで言っていた日本人の容姿にこれはかなりの部分で当てはまっているようです。」


 長野は少しにやけながらその先輩について語った。

「あれは完全に嫉妬から来るもんでしたね。間違いありません。とてもムカつく先輩でしたがよく喋るので情報源としては優秀でした。確かあいつも日本人だったよな。」


 山形は長野の言ったことにうなずいた。

「名まえからしても恐らくね。日本語もネイティブだったし。ええとそれで、そいつの名は鬼畜寺きちくじザンキっていいます。ああ……けど、その日本人ハッカーの名まえがやっぱり出てこない! あれ、聞いたことあったかな?」


 長野はしばし顔をしかめて思い出そうとしていたが、やはり思い出すことはできなかった。

「う~ん、やはり自分も出てきませんね。何か鬼畜寺が名まえを吐き捨てるように叫んでたような気もするんですが……。」


 早見はこの話について一応玉木にも確認した。

「玉木さんはこの話、ご存じだったんですか?」


 玉木はその質問について答えると自分の見解を述べた。

「今までも鬼畜寺の話は何度か出てきてたんですが、その男の話は初めて聞きました。ただ記憶力抜群のこの二人が思い出せないってことは鬼畜寺も名まえを言ってなかったのかもしれませんね。私も鬼畜寺ザンキという名の人物については既に何度か調べてみましたが、そのような名まえの人物はこの国には存在しませんでした。偽名かまたはZ国に国籍を移してから改名したか、ですかね。」


 和田はその鬼畜寺という男について気になったことを尋ねた。

「成程。それで、その鬼畜寺ってのはハッカーなんですよね。技能レベルはどれくらいなんですか?」


 長野は悔しそうに唇をかみしめながらそれに答えた。

「正直、奴の実力は本物でした。長期にわたって訓練を受けた私たちでも遠く及ばないところです。」

【年表的なもの】※参考なので読まなくてもいいです。



今年   フィナ誕生(6月)、第二回夏フェス(8月)

1年前  猫キャット事件(1月)、ミネルヴァ、メーティス生誕(2月)

     アテナ、ニーケ生誕(3月)、ファランクス結成(4月)

     レミファーナ、市川電算事務所契約(春)

     渡サナエ生誕(春)、第一回夏フェス(8月)

     ファランクス、芸能事務所ツイストーラスと契約(冬)

     シュメール号が宇宙に浮かぶ巨大な物体を発見

2年前  チャンディ生誕(春)、ルンファー生誕(夏~冬)

     山倉ケン、ロストロン、ジャッカル、野口ミナコ、

     村山トウコ生誕(夏)

     ムーニャン、her-deatha生誕(冬)

     大地ミナミ永眠

     猫キャット事件に繋がる一連の恐喝事件

3年前  蛯名入社(4月)、猫山チエリ、カロン、ウーギス生誕(春)

     ハジュン現る(夏)、スミレ生誕(夏)

     田町ナイト、バグランド生誕(秋)

     Z国のハッカーチームzouoが冥土センケツに接触(冬)

     黒バット沈静化、新曲ストーリーストッパーが大ヒット

     3Dボカロ社、第6研から第8研を増設

4年前  SUMIKA生誕(春)

     紅カジン、黒崎ネム、紫苑ラヴィ生誕(秋)

     レミファーナ、米田コウジ、流山恋生誕(冬)

5年前  市川電算、紅音源システム、東央大が光音プロダクションを設立

     台場タエコ、南宮大講師就任(春)

     ソフト『3Dボーカロイド』一般販売(秋)

     神崎ノア生誕(秋)

6年前  蟹江、大学講師として蛯名と知り合う

     (講師は8年前から四年間、週一)

     ソフト『3Dボーカロイド』限定販売(秋)

     市川カナデ、市川ココナ生誕(秋)

     サイバーポリスから依頼されていたプロファイリングシステムが実用化

     蟹江、サイバーポリスの早見ライザと知り合う

7年前  白鳥入社(4月)、3Dボカロ社、第1から第5研に分かれる

     ボカロ協会発足

     黒バットの活動が顕著になる

     プロジェクトY、山本春子生誕。山本邪神子更迭(恐喝事件より)

     サイバーポリスから依頼されてプロファイリングシステムを考案

8年前  未木、龍崎入社(4月)、3Dボカロ社、第1から第5研に分かれる

     プロジェクトY考案、始動。山本邪神子生誕

9年前  ボカロ開発の高田音響開発株式会社がコスパルエイドの傘下となる

     高田音響開発を基盤にした『株式会社3Dボーカロイド社』創立

     蟹江、卯月入社(4月)

     高田音響開発から熊谷、午藤が続投で入社(4月)

     BTAF設立、黒バットによる攻撃が開始される

10年前 コスパルエイド社、高田音響開発社の高田ゲントウ社長と新たな

     プロジェクトを立ち上げる。      

     『株式会社3Dボーカロイド社』草案(春)

     高田ゲントウ社長永眠(冬)

     Z国の大改革が始まる

     巨大マフィア『デーモンズ』がGmUの支配下となる

12年前 ボカロ協会の前身である『ボカロ研究協会』発足。

     現ボカロ協会の副理事であり、高田ゲントウの娘でもある杉田サラは

     この頃からここに副理事として在籍している

     Z国がGmUの支配下となる(ハジュンはまだ来ていない)

     何故かこの頃から既にこの地球上にはバリアーが張られており、

     GmUは自在に侵略できなかった

     ウーギスの山形と長野(当時十歳)がZ国の施設に送還される

18年前 コスパルエイド社、初期のボカロを開発していた高田音響開発社に出資

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