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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
245/624

245 鏡の世界を通り抜け【他世界の話】

  突如現れた等身大の鏡……の様な平面。

 そこは異空間に通じていた……らしい。


 ゼウスがその平面に突っ込んだ杖の先にはいつの間にか糸が結ばれていた。

 そして、その先端は鏡の中へと繋がっていたのだ。


 ゼウスがその糸をグッと引っ張ってみると、鏡の中から真っ白の封筒らしき物体が出現した。

 封筒には糸の先端がセロファンテープらしきもので留められていた。


 封筒の表側には印字体で『皆さまへ』とだけ書かれてあり、裏側には何も書かれていなかった。

 皆が注意深く見守る中、ゼウスは恐る恐るその封筒を開封した。

 中には折り畳まれた縦書きの白い便箋が一枚とカードらしきものが入っていた。


 ゼウスはそこに書いてある文面を読み上げた。

「えっと、何々? 『はじめまして。お話があるのですが、会っていただけないでしょうか。もしオーケーならカードの中に非天さんの髪の毛を一本入れてここに投げ入れてください。三分以内でお願いします。敵じゃありませんよ、多分ね。』……何だこりゃ。」


「私の髪の毛? ちょっと文面を見せてもらえますか。」

 そう言うと非天レイカはゼウスからその便箋を受け取った。


 印刷文字で書き出されたその文章からは何処となく子どもっぽさが感じられた。

 非天レイカは意見を求める様にゼウスたちの顔を見た。

「さて、どうしましょうか……。」


 皆が顔を見合わせながらも閉口してしまっている中、蛇代ヨウコがつかつかと非天レイカの近くに寄って来た。

「ちょっとそれ見せて。」


 蛇代ヨウコはその封筒にわずかに残された痕跡らしきものを解析した。

 封筒を額の近くに持って行き、目を閉じて10秒ほど集中してから一息いた。

「ふう。」


 蛇代ヨウコが一呼吸置くと、ゼウスが即座に尋ねた。

「お嬢ちゃん、何か分かったかい?」


 蛇代ヨウコは難しい顔をした。

「う~ん、難しい。けど、アルキオネウスではないな、これは。真か偽かで言うと一応真かと。敵意も感じないし、それに……何かを伝えようとしてる。」


 非天レイカは自分の髪の毛を一本抜いてカードのポケットに挿入した。

「蛇代、どうすればいいと思う?」


 蛇代ヨウコは少し考えてから言った。

「私は鏡の中にいる人の話、聞いてみたい気がする。」


 その様子をモニターで外から見ていた歌寺ミナモが口を出した。

「もう、ここまで来ちゃったらやるしかないんじゃない? あの多次元生命体よりゃあましでしょうし!」


 先ず、ゼウスとクロートーが頷いた。

「ああ、私もミナモちゃんたちと同じ意見だ。」


 担任の海野ランは非天レイカの方を見た。

「うん、これはもうやるしかないのかもしれないな。但し、非天、北守、蛇代の三人は何か少しでも異変を感じたら直ぐに現実世界に戻る事。分かったな。」


 その時、カードから不意にピピピピッ、ピピピピッと音が鳴り出した。

 そして、それに続いて音声が響いた。

「後、三十秒です! 後、三十秒です!」


 音がした瞬間、北守カズミとケラシスはさっと身構えたが、その内容にガクッと拍子抜けさせられた。

「はあ、ご丁寧なこって……。」


 非天レイカは皆の顔を見回しながら確認した。

「では、カードを入れます。いいですか?」


 皆が非天レイカに向かって慎重に頷いた。

「それでは、入れます。」


 カードを投げ入れてからしばらくすると、唐突に鏡の中から声がした。

「ちょと待っててください。」


 子ども?

 それは明らかに幼い子どもの声だった。


 皆が固唾かたずんで宙に浮かぶ鏡面を見守る中、そこからにょきっと小さな足が生えて来た。

 足は床の位置を探る様にもぞもぞと動いていた。


 そして、足の裏が床にヒタッと付くと「よっこらしょ!」と言う声と共に小さな少女が飛び出して来た。

 黒髪のおかっぱで色白、その黒い瞳はやや大きめでその背格好から四歳くらいだと推測出来る。


 少女は丁寧にお辞儀をしながら挨拶をした。

「初めまして、ビーマと申します。よろしくお願いします。」


 非天レイカ始め全員が呆気に取られた。

「こんにちは……ビーマさん。初めまして。こちらこそ、よろしくお願いします。」


 一番近くにいた非天レイカが慌てて挨拶を返すと、ビーマは彼女の方を見た。

「こんにちは。訳あって皆さんの助太刀にやって参りました。以後お見知りおきを。」


 副担任のみかどソヨギはそのあまりの可愛らしさに、警戒する海野の制止を振り切り、ニコニコ顔で近付くと身をかがめた。

「こんにちは、ビーマちゃんでいいのかしら? 私は帝ソヨギって言います。」


 ビーマはニッコリと笑顔で返事をした。

「はい、帝ソヨギ先生。後、そちらにいらっしゃるのが担任の海野ラン先生、ゼウスさん、クロートーさん……。」


 ビーマはそこにいる全員の名まえを確かめる様に一人ひとり言い当てて行った。

 帝ソヨギは目を丸くしてそれを聞いていた。

「あら、凄いのね。みんなの事が分かるの?」


 ビーマはその黒い瞳を真っ直ぐに向けた。

「はい。ですが今は四次元体なので少し情報が不安定みたいです。」


 その言葉を聞いて全員がハッとした。

 帝はゼウスの方を一度見てからビーマに向き直った。

「ビーマちゃんはその……アルキオネウスの事も知ってるの?」


 ビーマは大きく頷いた。

「はい、あれの本体はハジュンって言います。分かりやすく言えば五次元生命体です。そしてアルキオネウスはその化身と言った所でしょうか。三次元生命体である皆さんに接触する為の道具みたいなものです。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹

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