表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
244/624

244 ルッキンググラス【他世界の話】

 三日後。

 結局この日は非天レイカと北守カズミ、そして蛇代ヨウコの三人がダイブする事になった。

 但し、蛇代ヨウコはゼウスたちと一緒に第一階層の指令室からモニターで様子を見るに留まる。


 三人はダイブし、指令室へと集合した。

 北守カズミは嬉しそうな表情だ。

「おお、何か久し振りな感じがするな。初めて入った時の事を思い出す。あん時もこの三人だったよな。」


 担任の海野ランは釘を刺した。

「あの時とは事態が一変しているぞ。油断するな。」


 クロートーはこの三日間で調査した結果をまとめた。

「先日もお伝えしましたが、あの場所に痕跡の様なものは見つかりませんでした。勿論、アルキオネウス本体の声紋痕は在りましたが、そこに寄生していたはずの多次元生命体についてはわずかなノイズすら残っていなかったのです。私たちがあれだけの圧迫感を感じたにも拘らず。」


 蛇代ヨウコは手を頭の後ろで組みながら椅子にもたれ掛かった。

「ま、多次元生命体って位だからね。それより今日は何すんの?」


 ケラシスは少しバツの悪そうな表情で蛇代ヨウコを見た。

「当てずっぽうで申し訳ないんだが、奴はここより第四階層の方が出現しやすいと感じた。そこで前回と同じ場所へ移動しようと思う。」


 蛇代ヨウコは何故か誰もいない場所に向けて目を凝らしていた。

「そりゃ仕方ないよ。取っ掛かりを掴むまではあれこれやってみなくちゃね。……ん?」


 蛇代ヨウコはいきなり立ち上がると誰もいない前方を凝視した。

 非天レイカは彼女の思わぬ行動に疑問を持った。

「どうしたの? 蛇代。」


 蛇代ヨウコは彼女の座っていた椅子と右側のモニターの中間当たりを見据えていた。

「何かある。何だこれ……。」


 現実世界からモニターを通して眺めていた歌寺ミナモも目を凝らした。

「ん? 何もないじゃない。モニターからじゃ見えないのかしら。」


 担任の海野ランがそこに近付いた。

「いや、私にも何も見えてないが……ん? 今何か光った様な……。」


 蛇代ヨウコは海野を手招きした。

「先生、この方角から見てみてください。こっちです。」


 海野は指図されるがままにそこへ移動した。

「……鏡?」


 香々美フジコは不思議そうな顔をした。

「え、私ですか?」


 海野はその疑問には答えず指令室にいる皆を呼んだ。

「みんな、ちょっとこれ……。等身大の鏡が見えるぞ。」


 ゼウスは不思議そうな顔をした。

「え? そんなものないはずだけど。鏡?」


 香々美フジコは無表情で一人呟いた。

「な~んだ、私がいるのかと思った。」


 歌寺ミナモはうんざりした表情をした。

「まあ、今となってはあんたが二人いたって驚かないけどね。何せ相手は多次元生命体だから……ホント訳分わけわからないし。で、何なのよそれ。私たちには見えてないんだけど……鏡?」


 非天レイカはその等身大の鏡を見ると怪訝けげんな顔をした。

「何故こんなものがここにあるんだ?」


 ゼウスとモイラの三姉妹も目を見合わせて首を横に振った。

 クロートーはいつに無く険しい顔をしていた。

「何かの不具合でしょうか?」


 アトロポスもそれを眺めながら言った。

「こんな不具合見た事ない。」


 ケラシスは既に身構えていた。

「となると……奴か?」


 ゼウスは杖を出現させてその鏡をつつこうとした。

 しかしその杖の先は鏡を突き抜けてしまった。

 と言うより、まるで鏡の中の世界に入り込んでしまったのだ。


 そこに居た全員がその様子を目撃した。

 ゼウスが突いた杖の先が一瞬消え去るのを。


 鳥山イツキは皆が言っている事が真実であると確信出来た。

「どうやら本当に何かあるみたいだな。」


 歌寺ミナモは気味が悪いと言った口ぶりだ。

「うわ、何よあれ……。何で絶対防御領域の中心にあんなもんが出て来てんのよ。イツキ、あれってあんたがつくった異世界みたいなやつ?」


 蛇代ヨウコはゼウスの持っている杖の先に何か光っているものを見つけた。

「おっちゃん、その杖の先に付いてるの、何だ?」


 ゼウスは杖を持ち上げてその先端を調べた。

「ん、何だい? あ、何か付いてるね。糸かな?」


 その糸は気付かなければ見えない程細かった。

 ゼウスがその糸を手繰たぐり寄せると、どうやらもう一方の先端は鏡の中の世界に繋がっている様だった。


 ゼウスはゴクリと喉を鳴らした。

「ひ、引っ張ってみようか?」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ