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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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238 高位の存在【他世界の話】

 非天レイカはゼウスの話に何かただならぬ嫌なものを感じ取った。

「もしそれがGmUゲームの声ではなかったとして、何か心当たりはあるんですか?」


 ゼウスはモイラの三姉妹と顔を見合わせた。

「いや、そもそも僕たちの絶対防御領域に第三者の介入など有り得ない事だし……。」


 次女のケラシスは腕を組みながら非天レイカの方を見た。

「或いは我々の常識を超越した存在か。例えば遥かに進んだ科学力を扱う者、または人間以外の存在。」


 蛇代ヨウコと鳥山イツキは興味深げに目を光らせた。

「人間以外の存在!? へええ、どんなんだろう。見てみたい!」

「遥かに進んだ科学力か……どんな進化をしているのか私も見てみたいもんだ。」


 歌寺ミナモは眉をひそめた。

「ちょっと! 怖いでしょう! そんなのが敵だなんて……。あんたたち分かって言ってんの?」


 北守カズミは今後の事について危惧した。

「おっと、ここに来て敵の正体が不明ってのはどうなんだ? 歌寺の言う通り、これは遊びじゃないからな。今までの常識が根底から崩されるってなもんだぞ。」


 香々美フジコはその言葉に反応した。

「仮想空間内の安全は大前提。けどそれが崩れ去る恐れがある。まあ、それは現実世界にあっても同じ事かもしれないけど。」


 非天レイカは軽く頷いた。

「ああ。GmUさえも取り込む程の科学力を有する者であれば現実世界を操るなど造作も無い事だろう。それに今更手を引く積りはない。私はこのままダイブを続けたいと思う。だがこれはり所すらない私の我儘わがままだ。皆はもう一度このプロジェクトへの参加を納得行くまで考え直した方が良いだろう。」


 香々美フジコはその意見を聞いて即座に対応した。

「私はしばらくダイブをしないで様子を見る。みんなは考えるのに時間がかかると思うから一度現実に戻ってからゆっくりと考えればいい。」


 それを聞いた北守カズミは現時点で今後の参加を表明する事を留まった。

 また、参加を見合わせるとも言わなかった。


 自分の一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくで香々美フジコの思惑が皆に悟られてしまう事を避けたかったから。

 ダイブへの参加と不参加、一対一の状態を作り出した彼女の気遣いを無下にするわけには行かなかったのだ。


 担任の海野ランは生徒たちの顔を心配そうに眺めた。

「そうだな。是非そうしてくれ。話がだいぶ変わって来た様だ。何かあってからでは遅いからな。」


 副担任のみかどソヨギも頷いた。

「そうね。相手の正体が分からなくなってしまった以上、最悪も考えないといけない。非天さん以外はしばらくダイビングを中止にしましょう。」


 ゼウスは申し訳なさそうに言った。

「すまん。僕の見通しがあまかったせいだ。当然想定されるべき事だったのに……。」


 蛇代ヨウコはゼウスに笑顔を向けた。

「ドンマイ! 誰にでも失敗はあるって! それにここでダイブが終わったとしても凄く楽しかったしさ。まあ、おっちゃんとの直接対決は出来なかったけどね!」

 ゼウスは「ひっ! 無理!」とおののきながら身体をけ反らせた。


 クロートーは先程からケラシス、アトロポスの姉妹と何かを話し合っていたが、皆の方に向きなおした。

「私たちも今後、真の敵の正体がGmUの裏に潜んでいる事を前提に調査を進めて行こうと思います。」


 ケラシスは話を繋いだ。

「もしかしたらグリミドとアーカレッドはGmUではなく何らかの大きな力に捕らえられているのかもしれない……。いや、むしろその方がしっくり来る。」


 アトロポスは先程から何かを考え込んでいた。

「ただ、そうなると私たちの絶対防御すら思い込みの範疇はんちゅうとなるだろう。では何故敵は私たちを自由にさせているのか。私たちなど敵ではないという事か?」


 新たなる絶望がその場を支配しようとしていた。

 北守カズミは気さくな感じでパンパンと手をはたいた。

「まあ逆にさ、今それに気付いたんだから良かったじゃん。もしあのままとつってたらやばかったかもしれないでしょうよ。」


 海野は大きく頷いた。

「ああ、まさしくその通りだ。もし皆に何かあれば死んでも死に切れんからな。この件に関しては私たちが全力で調査しておく。」

 既に海野が死に切れていない事については誰も突っ込まなかった。


 その後、Z組の生徒たちは取り敢えず現実世界へと戻って行った。

 非天レイカは最後に一人残って海野たちに申し出た。

「次回からの調査、私にも参加させてくださいませんか。」


 クロートーは真剣な眼差しで彼女を見つめた。

「命の保証はありませんよ。」


 非天レイカはきっぱりと返答した。

「それは現実世界にいても同じ事でしょう。それと、私にはクラスの皆を巻き込んだ責任がある。何としても真相を究明したいんです。」


 ケラシスは仰天した。

「お前、まだ12歳だってのにそんな事考えてたのか?」


 アトロポスは薄っすらと微笑んだ。

「どうせダメって言っても付いて来るんでしょ。」


 海野はやれやれといった感じで非天レイカの申し出を承諾した。

「こいつは今までとは違うぞ。勝手な行動は命取りになる、全員のな。それと参加するのは今までと同じ三日に一度だ。いいな。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹

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