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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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233 迷惑なやつら【他世界の話】

 ヨーコに痛めつけられたアプサラスは愛想笑いをしながら付いて来ていた。

「いやあ、それにしても凄い威力ですね。流石さすがはヨーコさんです。特に木を軒並のきなみ切り落としたあの技! 全くって度肝を抜かれましたよ。本当に素晴らしい! 」


 ヨーコは自慢気に微笑んだ。

「ふっふ~ん。まあ、リアルならああは行かないでしょうけどね。水の威力を弱めない様にしたり重力でへたらない様にしたりさ。調整すんのも結構大変なのよ。」


 アプサラスは気持ちの悪いニヤけ顔で答えた。

「えへへへ、そりゃあどおも。ご苦労様です。それでヨーコさん。これから何をしなさるんで?」

「そりゃあもう決まってるでしょ。大魔王を倒すのよ!」


 彼女は『光の魔術』を使って魔王城へとテレポートした。

 魔王城は草木一本生えていない広大な荒野の中に不気味な瘴気しょうきを漂わせながらたたずんでいた。


 上空には暗雲が垂れ込め、所々稲妻が走っているのが垣間見える。

「お、なかなか雰囲気出てるじゃないの! 」


 ヨーコは躊躇ちゅうちょなく魔王城の方へ近付いて行った。

 すると、魔王城の中から上空へと人影が浮上して来た。


 この人影こそ大魔王バルンであった。

「誰だ、貴様は?」


 人型ではあるが10メートルほどの巨体で、黒い身体はナメクジの様にぬめり、ところどころ大きく脈打っていた。

 そして時折、身体の至る所からやたらとデカい目玉と口を覗かせていた。


 よく見ると身体のあちこちには赤や青、緑、様々な色の突起や血管の様なものがぐにょぐにょとうごめいており、ヨーコをくらつかせた。


 あまりのグロテスクさにヨーコは「うへえ……」とげんなりしたが、気を取り直すと腹を決めて啖呵たんかを切った。

「私はヨーコだ! お前をほろぼしに来た!」


 二つ三つの口が同時に応えた。

「……そうか。まさかお前の様な存在があったとはな。成程……そう言う事か。」


 ヨーコは怪訝けげんな顔をした。

「そう言う事? ってどう言う事よ!」


 大魔王バルンはガッハッハッハ! と大笑いした。

「貴様、本当に人間を一人も死なせず我を倒せるとでも思っていたか?」


 バレてる!

 おのれ~! ゲームキャラのくせに!

「ふん、ならどうするっての? 大魔王バルン! お前はもうお仕舞だ!」

 ってこれ……負けフラグの台詞せりふじゃん……やばくね?


 大魔王は両掌を頭上にかかげながら叫んだ。

「降りそそげ! メテオライト!」


 すると、無数の巨大な岩石が地球全土を取り囲むように高度約50㎞の成層圏に出現した。

 そして、ゆっくりと重力に引かれて落下し出した。


 ヨーコは右腕を横に素早く振った。

 全ての岩石は『光の魔術』によって消滅した。


「ふふ、なかなかやる。だが、これはどうかな?」

 大魔王は全人類に向けて即死魔法を発動させた。

「デスキル!」


 だが、ヨーコがあらかじめ全人類に施しておいた能力スキル『全体防御』によってその魔法は弾かれた。

 ヨーコは『光の魔術』で大魔王の身体に直径10㎝ほどの風穴を数カ所空けてみた。

 当然の如くその風穴は瞬時のうちに再生されてしまった。


 ヨーコは能力スキル『弱点がわかる!』を発動させた。

 どうやら大魔王を倒すためには世界中に散らばるコアを同時に破壊するしかない様だ。


 コアは全部で四十億個。

 しかも高速で移動しているものもあれば人体と同化してるものまである。

 流石さすがの『全体防御』でもこれは防ぎ切れそうもない。

「成程、最高じゃない! 」


 このゲームにおける大魔王バルンの弱点はランダムで決定する。

 大魔王の弱点は主人公の実力に合わせて調整されており、今回の弱点の在り方は最高ランクの内の一つであった。

 これがヨーコの言った「最高じゃない!」の意味するものだ。


 次に大魔王バルンはヨーコへの直接攻撃に切り替えて来た。

「はっはっは。弱点が知れたところでどうとする!」


 ヨーコは大魔王の強烈な連撃を防ぎ、或いはかわしながら魔術『マーキング』を発動させてすべてのコアを捉えた。

 次にその中から人体と同化しているものを選択すると、能力スキル『手段がわかる!』で人体に影響がない様にコアを破壊する方法を探った。


 その結果、ほとんどのコアについては力を加減する事で人体に影響を及ぼさずに破壊出来る事が分かった。

 しかし、問題が一つあった。


 魔神官や魔天子と呼ばれる人間たちにはこのコアが細胞単位で同化しており、簡単には取り除けそうもないのだ。

「う~。こいつらなんか助けたくもないのにぃ!」


 ヨーコは能力スキル『取り消し方がわかる!』を使って魔神官たちの核を取り除く方法を探った。

 方法は唯一つ。同化させる為に使用している魔神具を破壊する事だけだ。


 しかし、ここで更なる問題発生。

 この魔神具には実体がなくその機能のみが存在するだけであったのだ。


 大魔王のコアのすべてにはこの機能を発動する装置が取り付けられており、これを機能部分と言った。

 そしてこの機能はわずか1秒ごとに世界中に散らばる大魔王のコアのどれか一つにランダムで移動しているのだ。


 コアはすべて同時に破壊しなければならない。

 そうなれば魔神官や魔天子の命はない。

 つまり、NPCにんげんを誰一人として死なせないと言った目標は達成出来なくなってしまうのだ。


 ヨーコは大魔王の強力な攻撃を避けながら地団太じだんだを踏んだ。

「う~む、魔神官に魔天子だ? 最後まで迷惑かけやがって! だいたいこうゆうやからは散々人に迷惑掛け抜いてから死にやがるんだよな。腹立つわ~!」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹

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