230 レベルMAXで行こう【他世界の話】
ヨーコ異蛇代ヨウコは将軍ブガンの前にひょっこりと姿を現した。
「はじめまして、将軍ブガン。」
その時、将軍ブガンから大魔王バルンへ信号が発せられたのが分かった。
「ぬ、貴様……何奴?」
さて、ここまではこのゲームのストーリー。
謂わばムービー的扱いのシーンだ。
つまりこの一連の会話をしなければ戦闘が始められない仕様なのだ。
従って、将軍ブガンから大魔王バルンに連絡が発せられる事はストーリー上絶対に避けられない事態だった。
巨漢の将軍ブガンがヨーコをギロリと鋭い目付きで見下ろした。
ヨーコの三倍はあろう身長と屈強そうな筋肉が甲冑の隙間から垣間見えた。
「結構デカいね……。」
ヨーコはその見た目で圧倒されそうにもなったが、気を取り直して名乗りを上げた。
「私はヨーコだ。お前に決闘を挑む者也!」
三軍神の方に顔を向けた将軍ブガンに対してヨーコは言い放った。
「無駄だ。そいつらの動きは封じてある!」
将軍ブガンはヨーコに向き直り腰に帯刀していた大剣をすらりと抜いた。
「成程。まあ、少しは出来る様だな……。」
ヨーコは魔術『攻撃強化』を自分に掛けてから『熱の魔術』で将軍ブガンの細胞を構築する粒子の振動を加速させた。
将軍ブガンは叫ぶ間も無く消滅してしまった。
「……早くね?」
ヨーコは間髪入れずに将軍ブガンのダミーを作り上げると上空を見上げた。
「ま、どうやら上手く行ったみたいね。」
先程、将軍ブガンから大魔王バルンに発せられた信号はヨーコが予め周囲に張り巡らせておいた『光の魔術』の壁によって吸収されていた。
この『熱の魔術』と『光の魔術』はガーネットとの修行中に会得したものだ。
だが、既にLv.MAXである上にヨーコの無尽蔵の魔力によって様々な芸当が出来る様になっていた。
『熱の魔術』は粒子の振動を操り、『光の魔術』は粒子を自在に移動させる事が出来る。
つまり粒子による伝播を用いた伝達手段は『光の魔術』で如何様にも掻き消す事が出来るのだ。
ここで、とある出来事が起きた。
ヨーコは何かにピンと来て、いきなり自分の能力一覧を確かめ始めた。
すると彼女の予想通り、固有能力の一覧に新しく『魔術』と『アプサラス』が付け加えられていたのだ。
「うわ、『魔術』ってそのままか!」
因みにヨーコ異蛇代ヨウコが今までに習得した能力には次の様なものがあった。
【能力】
能力がわかる、弱点がわかる、発信源がわかる、近道がわかる、戦法がわかる、状態がわかる、取り消し方がわかる、手段がわかる、プログラムがわかる
【特殊能力】
性質改変
【固有能力】
カウンター、アプサラス【新】、魔術【新】
どうやらここで習得した全ての魔術がそのままヨーコ異蛇代ヨウコの能力となってしまった様だ。
ヨーコはその固有能力『魔術』を発動してみた。
すると、今までLv.MAXとなっていた魔術レベルが全てLv.Free【→∞(インフィニティ)】に変化してしまった。
「うわあ、何だこりゃあ……。」
Lv.MAXとは所謂Lv.100の事であり、当該する魔術がそれ以上強力にならない事を示していた。
だが、Lv.Free【→∞(インフィニティ)】となった事でその力を無限大に引き出す事が可能となったのだ。
今のヨーコがこれを使えば残りの魔物たちを秒殺で一掃する事が出来るだろう。
「う~ん、けど流石にこれはチートだよね……。いや、チートではないんだが……。」
ヨーコは能力『魔術』を解除した。
魔術のレベルはそれぞれLv.MAXに引き戻された。
ヨーコは苦笑いしながら肩を竦めた。
「実力とは言え、これはやっぱり気が引けるわな。うん、これを使うのは無しで行こう。」
※後日、鳥山イツキに創ってもらった異世界にて『魔術・時間収縮』を試してみたら空間が極度に歪曲したり、危うくブラックホールが発生しそうになってしまった。
この様に、通常の仮想世界では魔術の内の幾つかについて使用法に注意が必要である事が判明した。
さて、ヨーコは次の敵である参謀ビススの元へと向かった。
参謀ビススにはスリーヘッドと呼ばれる三匹の側近がいた。
作戦参謀ヘルン、死刑執行部隊隊長ブラットン、人体研究者ブルートン。
この三匹は一気に大量のNPCを死に追いやる危険性を孕んでいた。
例えば、作戦参謀ヘルンを倒せばそれを合図に全ての村で戦争が開始される。
戦争が起これば大勢の死者が出てしまう事は明らかだ。
また、死刑執行部隊隊長ブラットンを倒せば、それと同時に彼の生命に同期させられた人質数十万人が全員命を落としてしまう。
この同期がどの様な仕組みになっているのかが攻略のポイントとなるだろう。
人体研究者ブルートンを倒した場合は世界中に設置された装置から殺人ウイルスが散布される仕組みになっている。
仮に装置を止められたとしても殺人ウイルスの存在は看過出来ない。
そして三軍神と同様スリーヘッドの下にも各十万、計三十万のエリート部隊が雌伏していた。
何れにしても今まで通り討伐後ダミーを置くだけってわけには行かない様だ。
【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。
私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた
【私のマネージャー】
本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者
本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き
【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット
アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)
メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ
ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ
ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル
【私のナビゲーター】
斎藤節子 … ナビゲーター。部長
吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)
山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手
【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ
<研究開発部>
蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母
蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。
美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子
【研究員養成学校中等部 Z組】
<生徒>
非天レイカ …… Z組を復活させた。大卒
北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き
香々美フジコ …… 寝るの大好き。学年主席
歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル
蛇代ヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位
鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女
<教師>
海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪
帝ソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持
<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織
ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。
クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。
ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女
アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹




