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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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227 スキップしたい【他世界の話】

 『光の魔術』で高速移動し、荒れ果てたペード村に降り立ったヨーコこと蛇代ヨウコ。

 この村はページ村との戦争で既に全滅しており誰もいない状態である事は承知していた。 

 戦争の状況はガーネットの家で平面型術式水晶(要はモニター)を見て知っていた。


 この戦争は二つの村の装備が赤と青にそれぞれ色分けされて行われていた。

 勿論もちろん、色を変えて相手をだます事等は『卑怯ひきょう』だとして禁止されていた。


 村魔主たちにとって『卑怯ひきょう』や『臆病』と言う言葉はとても便利だったし、人心を操る効果も抜群だったので多用されていた。


 喧嘩や戦争に何故なぜルール……?

 当の村魔主たちは半笑いであきれ返っていたのだが。


 そして、人間の小賢こざかしい知恵もたまには役に立つもんだと笑いながら感心していた。

「はああ、人間てのは悪いねえ。弱すぎる故に悪知恵の働くこと働くこと! ガッハッハッハ!」


 戦争は六か月に及んだが結局の所、双方共に村は壊滅した。

 最後に赤が三人、青が二人となったが相打ちとなり全滅したのだ。



 ヨーコは簡易モニターで村魔主たちの動向を探った。

「さてと、あいつら何処どこに居るんだ? ……ああ、いたいた。酒なんか飲んでやがる。」


 そこは壊滅した二つの村の中間にある村魔主ペード所有の豪華3階建て別荘だった。

 村魔主ペードは隣村の村魔主ページと酒をみ交わしながらモニターに映るその光景を眺めていた。


 二匹の村魔主たちは再生画面を見ながら反省会をしていた。

「何か今一だったな……。」

「ああ、あれじゃあただの殺人ロボット同士の闘いだ。つまらん……。」


 ペードは酒を一口飲みながら言った。

「やはり”良心”とやらのある者たち同士で殺し合わせた方が楽しめるかもしれんな。」


 青い魚の様な形状をした魔物であるページは渋い顔をした。

「だが、途中で見せるあの”思いやり”とか”正義感”とかがなあ……どうも見ていて気分が悪くなる。」


 ペードは笑いながら言った。

「それが一つ一つみにくく変形し潰されて行くのが楽しいんだよ。ま、好みってやつかな……。」


 ページは何やら不満な顔をした。

「今回、我々は介入し過ぎた様だ。やはり人間むしどもが自ら戦争を引き起こす方が楽しい。」


 ペードは頷いた。

「ああ、確かに今回はちと急ぎ過ぎたかもしれんな。だが村の者たちが次々と密告し善良な人間を火炙ひあぶりにするのは見ていて楽しかったぞ。」


 ページはその光景を思い出しながら笑った。

「はっはっは! 確かにな。」



「うっわ~、スキップ出来ないんだ……これ。」

 ヨーコは簡易モニター越しに村魔主たちの会話を聞きながら拳を握った。

「にしても、人を完全に見下した台詞せりふの数々……やっつけ甲斐がいがあるわぁ!」


 ヨーコこと蛇代ヨウコにとってこの二匹を討伐するのは朝飯前だった。

 しかし、このゲームの特徴として如何いかNPCひとびとの数を減らさずに進めるかが重要なのだ(但し、こう言ったストーリー上の死者は含まれない)。

 最高のエンディングを迎える為にも。


 つまり、魔王軍に悟られない様に敵を倒して行かなければならないのだ。


 魔王軍の魔物生存確認装置は3分に一度その存在を確認する仕様となっていた。

 もし、存在するはずの魔主や幹部が消え去っていればたちまち調査の手が入ってしまう。

 しかも上層部になる程この隙間時間は短くなると来ていた。


 また、魔主と呼ばれる魔物の周辺には数台のスパイカメラによる常時監視も行われていた。

 このカメラは1秒間に100コマの映像を記録していた。

「ぷぷぷ、今時100FPSフレームパーセカントかよ。家電じゃないっての!」


 ヨーコは先ずページとペード、この二匹の村魔主を消し去ると同時にダミーへと切り替える事にした。

 これが上手く行けば今後も同様の手口で事が運べるというものだ。


 さて、何度か思考実験を繰り返した後、ヨーコが実際に試してみると、それは見事に成功してしまった。

 村魔主二匹のダミーへの切り替えは十万分の一秒もかからなかったので、当然察知される事は無かった。

「察知されてないか一応確認しとくか……よし、オッケー! んじゃ次行きますかね。」



 ヨーコは敵に自分の存在を気付かせず事を運ぶ為、綿密なスケジュールを立てなければならなかった。

 そこで、魔術『異世界交信』を使い魔王軍組織の全容を再度確認する事にした。


【魔王軍組織】

 ◎大魔王バルン(SSSLv.100)

 〇参謀ビスス(SSSLv.51)、将軍ブガン(SSSLv.51)

   参謀ビススの部下……ヘルン、ブラットン、ブルートン(SSLv.100)

三者各々が十万体の部隊を持つ(SSLv.1~81)

   将軍ブガンの部下……ソラキル、リッキル、カイキル(SSLv.100)

三者各々が十万体の部隊を持つ(SSLv.1~81)

 ・国魔主 約二百体(SSLv.51)各直属部隊が五十体(SLv.100以下)

 ・県魔主 約一万体(SSLv.21)各直属部隊が十体(SLv.100以下)

 ・市魔主 約五十万体(SLv.100)各直属部隊が十体(SLv.50以下)

 ・村魔主 約五百万体(SLv.51)各直属部隊が十体(A以下)

 ・その他 約三億体(A以下)


 ヨーコは一言呟いた。

NPCにんげんと入り混じった三億はちと多いな……。めんどくさ!」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹

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