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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
221/625

221 夫人ではない【他世界の話】

 ゼウスは余裕の表情を見せた。

「ああ、確かに凄いよね、彼女の能力スキルはさ。でもみんなずは落ち着こうよ。意識せずともすべてを自分の仲間にしてしまう『フォロワーズ』、強制的に相手の動きを止めてしまう『ノット』、そしてどんな命令にも従わせてしまう『レット』。それに加えて今の『オルタレーション』だ。物理法則そのものまで改変してしまうなんてね……。で、何だっけ? あ、そうそうこれからどうするかって事だよね。これってさ、もう神の御業みわざってやつだよね。はっはっは、もう手の打ちようがないよ。笑うしかない。もうね……誰か…………助けて!」


 担任の海野ランは苦笑いしながら突っ込んだ。

「長いよ! 便所の落書きかっての。」


 副担任のみかどソヨギはモニターでくるくると身体を回転させて遊んでいる香々美フジコを見ながら提案した。

「これはもう先生方に付いていただくしかありませんね……。」


 頭を抱えていたゼウスはその言葉にはっとした。

「そうだ! クロートー、ケラシス、アトロポスよ! 誰でもいい…………助けて!」


 どうやらゼウスは「…………助けて!」が気に入った様だ。

 数秒つとクロートーが戻って来た。

「香々美フジコさんですね。確かに彼女は手に負えないかもしれません。私が見に行きましょう。」


 香々美フジコの前にクロートーが移動して来た。

「香々美さん、あなたをコーチさせてもらいに来ました。」


 彼女は丁寧にお辞儀をした。

「はい、よろしくお願いします。フジコって呼んでください。」


 香々美フジコはクロートーの話し方に何処どこかしっかりとした気品の様なものを感じていた。

「ではフジコ。少しきついかもしれなくてよ。よくって?」

「はい、おクロ夫人!」


 クロートーは不思議そうな顔をした。

「夫人? 旦那はいないんだけど……。それでは能力スキルの封印を解いてもらえるかしら。」


「え、いいんですか?」

 香々美フジコは言われた通り能力スキルの封印を解いた。


 クロートーは香々美フジコに今から行う課題について説明した。

「ではこれからSSSランクのレベル66を一体呼び出します。攻撃はさせない様にしますから封印していた能力スキルを使って倒してみなさい。」


 その光景を見ていた海野は少し慌てた。

「え、今SSSランクって言わなかったか? しかもいきなりレベル66って……。」


 ゼウスはモニターを眺めながら言った。

「うん、だけど能力スキルの封印を解いた今の彼女ならそれ位でもいいかもしれない。それにクロートーの事だ。何か考えがあっての事だろう。ちょっと様子を見ときましょうか。」


 敵が出て来た瞬間、香々美フジコは能力スキル『フォロワーズ』が効いていない事を感じ取った。

「ん? なんでだろう。」


 彼女は能力スキル『アナライズ』で敵の能力を解析した。

 その結果、どうやらこの敵は操作系能力を受けると自己を構成しているプログラムを初期状態に戻してしまう機能を備えている様であった。


 恐らく『ノット』や『レット』もリカバリーされてしまうだろう。

 これらの能力スキルはどうやら一度効果を発動させた対象については自動的に機能しなくなる仕様らしい。


 勿論、『オルタレーション』を使用すればこの敵は倒せる。

 しかし、彼女はこの様な敵にも操作系能力を適用させる手段を模索もさくしてみた。


 そもそも操作系能力とは対象を構成するメインプログラムに自分にとって都合の良い動作をさせるためのサブルーチンプログラムを強制的に付加する行為である。

 このサブルーチンのプログラミングは自動オートで行われているのだが、そこに手動で手を加えてみたら……。


 その様子を見ていたクロートーは更に二体の敵を出現させた。

「フジコ、この三体を別々の方法で倒してみなさい。」


「はい、コーチ!」

 香々美フジコは先程『夫人』を否定された為、急遽きゅうきょコーチと言い換える事にした。

 どうでもいい事だが。


 一体目は敵のリカバリーが追いつかない程の超高速連続使用で『フォロワーズ』を打ち込んでみた。

 敵は思ったより早くに自らのコアを破壊し消滅したが、彼女自身の体力の消耗がやや大きくなってしまった。


 二体目に対しては付加するサブルーチンにメインプログラムを改変させるウィルスを忍ばせてリカバリー能力を封印した。

 これも思った以上に早く敵を討伐できたものの、敵のプログラムに合わせたウィルスをいちいち作成しなければならない為、発動させるまでにやや時間が掛かってしまっていた。


 三体目はメインプログラムそのものを改変してしまうやり方だ。

 但しこれは新しい能力スキル『モディフィケイション(修正)』となってしまった為、三体とも『フォロワーズ』でやっつけようとしていた彼女の思惑通りにはならなかった。


 それでもクロートーは満足だ。

「良くてよ、フジコ。この調子で頑張りましょう。」


 香々美フジコは目をキラキラさせてみた。

「わかりました、コーチ!」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

<反乱軍オリュンポス>GmUから仲間を奪還し正常化を目指す組織

 ゼウス … 総司令。敗戦後ガイアの中に隠れ潜む。

 クロートー … ニュクス先駆隊。長身で細身。モイラ三姉妹の長姉。

 ケラシス … ニュクス先駆隊。屈強。モイラ三姉妹の次女

 アトロポス … ニュクス先駆隊。少女の様な見た目。モイラ三姉妹の末妹


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