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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
209/624

209 最短ルートを直線で表すと【他世界の話】

 ゼウスはゲームの設定を一番難易度の高いスーパーベリーハードに設定した。

「さあ、そんじゃスタート!」


 香々美フジコがボーっとしながら前方をながめていると、砂上に体長2メートル程のゴーレムが20体ほど現れた。

「行きま~す。」

 彼女は無表情ではあるが嬉しそうに言った。


 このゲームは敵を倒して仲間にしたり、報酬で装備やアイテムを整えて行くと言った要素を兼ね備えていた。

 しかし彼女はそんな事お構い無しにまるで幽霊の様に浮遊して敵をり抜けながら砂漠を抜けてしまった。


 その先には街が存在し、本来ならここの店で討伐したモンスターの素材やドロップした品を売ったり装備やアイテムを購入したりするのだ。


 しかし、彼女は商店をも素通りして何人かのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と会話をしただけであった。

 そしてそれが済むとさっさと次のステージに向かってしまった。


 街を出るとそこには見渡す限りの平地が広がっていた。

 香々美フジコはそこから少し行った丘の上へと足を進めた。

 そして、一際ひときわ目立つ大木の前に近づくと、そこには体長3メートルはあろう虫型のモンスターが立ちふさがっていた。


 しかし、彼女が初期装備の杖で火の魔法を放つとそのモンスターは一撃で消滅してしまった。

 これは杖も魔法もレベル1であったにもかかわらず彼女の持つ初期ステータスが甚大じんだいであったが故に成し得た技だ。


 ゲームとは言え戦士を育成するためのシミュレーションであった為、本人の能力が直接ステータスに影響するのだ。


 彼女はそこで木の精霊からの『頼まれ事イベント』の会話を済ませ、そそくさと先へと進んだ。

 草原には敵がうようようごめいていた。

「ここは何匹か倒さなきゃダメか。」


 先程、中ボスの虫モンスターを倒した事で彼女のレベルは一気に3まで上昇していた。

 また、杖と魔法はレベル2となり全体魔法も放てるようになっていた。


 彼女は早速全体魔法を効率よく駆使くしして敵を倒しながら次の目的地である森へと向かった。


 森の中に入るとオオカミやはち、キノコや樹木のモンスターが大群で押し寄せて来たが香々美フジコはものともせずにどんどん先へと進んだ。


「ここを右ね。……あった~。」

 彼女は目の前に現れた洞窟どうくつに何の躊躇ちゅうちょも無く入って行った。


 敵を蹴散けちらしながらスイスイと洞窟を進んで行くと大空洞が開けた。

 ここに来るまでに彼女のレベルは8に、杖と魔法はレベル6にまで上昇していた。


 大空洞の中央付近には体長3メートルほどの狂暴そうなキメラが4匹、まるで侵入者をこばむかの様にうろついていた。

 が、彼女の火魔法により一瞬で焼滅させられてしまった。


 更にその奥へ進むと高さ10メートルほどの重厚な扉が立ちはだかっていた。

 彼女は一発の火の玉でその扉に直径3メートルの大穴を開けると中に入って行った。

「あら、こんなに分厚ぶあつかったのね、この扉……。」


 中には巨大なボスキャラがいたはずだが、先程の火の玉で扉ごと焼かれてしまった様だ。

「らっきー。」


 ボスキャラが座っていたと思われる椅子の残骸ざんがいの辺りで何かがキラリと光った。

「あ、これこれ。」


 彼女は下に落ちていた『深緑しんりょくの鍵』を拾い、宝箱を開けて『かしの杖』と『魔道の書Ⅱ』等を手に入れた。

 木の精霊の所に戻り『深緑の鍵』を渡すと次のステージへと進む事が出来た。


 彼女はこの調子で最終ステージまで進み、34分21秒で大魔王を打倒うちたおしてしまった。

「うわあい、やった~。」


 ゼウスは既に他の生徒たちによって度肝どぎもを抜かれており、放心状態であった。

 担任の海野ラン、副担任のみかどソヨギもゼウスとほぼ同じ様な面持ちで香々美フジコの勝どきを聞いていた。


 香々美フジコは腕を組んで考えながら疑問に思った事をゼウスに質問した。

「もしかしてこれ、裏ボスとかいないんですか?」


 ゼウスは遠い目をして答えた。

「いや、もう君が倒しちゃったよ。ほら、ステージ13で魔物の巣窟そうくつごと焼き払っちゃったでしょ。」


 香々美フジコは手をパンと叩いて目を見開いた。

「ああ、あそこにいたんだ、裏ボス……。ねえゼウスさん、もう一回やってもいい? 30分は切れると思うんだ。いや、絶対切って見せる。」


 ゼウスは放心状態のまま薄ら笑いを浮かべていた。

「うん、いいよ……。」


 香々美フジコは無表情で喜んだ。

「やった~。次はタイムアタックだ~。」


 海野は頭を抱えて難しい顔をしていた。

「やはりこうなったか……。土台AIだけで香々美に歯向かったのは無謀だった。」


 帝は半笑いで言った。

「彼女、一瞬でこのゲームの全貌ぜんぼうを把握してしまったみたいね。だから最短のコースを辿たどれたんだわ……。」


 ゼウスはガクンとひざいた。

「あのゲーム、普通1ステージ3時間はかかるんだけど……。初心者が全14ステージをたった34分21秒って……。しかもほとんどシミュレーションの要素無し! どうなってんのさ、ここの生徒たちってさ……。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

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