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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
208/625

208 始まらないゲーム【他世界の話】

 担任の海野ランはモニターを香々美かがみフジコのゲーム場面に切り替えた。

 ゼウスはモニターからその様子をうかがって仰天ぎょうてんした。

「何だ、これは……!?」


 彼女は一面のお花畑を見回しながらご機嫌に歩いていた。

「わあ、奇麗きれい。」


 副担任のみかどソヨギも不思議そうな顔をした。

「あれ? ここは確か……砂漠だったはずよね。」


 海野も目を凝らしてモニター画面を見た。

「ああ、そうだよね……ありゃ? 何だあの動物たちは……。」

 香々美フジコの周囲にはやたらとれ付いた動物たちが楽しそうにはしゃいでいた。


 ゼウスは香々美フジコに声を掛けた。

「おおい、僕だ。ゼウスだ。えっとぉ……何があったのかな?」


 香々美フジコは「え?」とほうけた反応をした。

「何も。ゼウスさん、まだゲーム始まらないんですか? お花をむゲームかな?」


 ゼウスは怪訝けげんな顔をしながら言った。

「確かそこは砂漠だったはずだけど……。」


 香々美フジコはうんうんと頷いた。

「あ、そうでした。最初は砂漠でした。それで動物たちが出て来て……。」


 海野は質問した。

「動物って……モンスターじゃなくて?」


 香々美フジコは不安そうな顔をした。

「ええ、最初出て来た時は怖い感じだったのでモンスターかと思ったんですけど……。」


 副担任のみかどソヨギが復唱した。

「思ったんだけど?」


 香々美フジコはニッコリと微笑ほほえんだ。

「直ぐに可愛い感じになっちゃって、気付いたら一面がお花畑になってました。」


「まさか……。」

 海野はゴクリとのどを鳴らした。

「これが香々美の能力スキルか!?」


 帝はゆっくりと頷いた。

「どうやらそうみたいね……。」 


 ゼウスは海野の方を見た。

「何でも意のままに操るって事かい?」


 海野はモニターをにらみながら答えた。

「いえ、彼女にはその意識さえ無い様です。つまり彼女の能力スキルはすべてが彼女にとって都合の良い世界になってしまう力って事かもしれない……。」


 帝もモニターを凝視ぎょうししていた。

「そんなもの……果たして能力スキルって呼べるのかしら? 超越ちょうえつしてる!」


 ゼウスは首を横に振った。

「う~む、いずれにしてもこれじゃあゲームにならんな。敵も環境も何もかもが彼女にとって都合の良い存在に成っちまうんじゃ……しかも自然に。」


 帝はモニターに映る一面の美しい花々を見つめながらつぶやいた。

「確か摩睺羅伽まごらが王は自然の摂理そのものを象徴していたはず。」


 海野は遠い目をして軽く頷いた。

「成程な。このバーチャル世界にける自然、宇宙、生物、そのすべてが彼女の為に存在するってわけか。それって文字通り…………無敵じゃん!」


 可愛い動物モンスターたちに囲まれた香々美フジコは花畑に寝転がりながら言った。

「まだ始まらないんですか~? 私、寝ててもいいですか~?」


 海野と帝が頭を抱える中、ゼウスは何かを決断した。

「こうなったら仕方ないよね。QC未使用のプログラムに変更し~ましょ。」


 海野は「成程」と言ってゼウスの方を見た。

「確率の幅を持たない固定したプログラムなら香々美に都合よく変更出来ないってわけか。だが……。」


 帝はそれを聞いて頷いた。

「つまり普通のゲームと同じ、AI主体の普通のゲームに変更って事ね。けど……。」


 ゼウスは香々美フジコに告げた。

「ごめんね香々美さん。スタートからやり直すよ。」


 香々美フジコは文句を言った。

「あ~、また香々美さんて呼んだ。香々美かフジコって呼んで欲しいのに。」


 ゼウスは「そこなの? 文句言う所」と突っ込んでから、いつもながらのズレに苦笑いした。

「ああ、ごめんごめん。じゃあフジコちゃんならいいかな?」

「う~ん、いいよ。『ふ~じこしゃ~ん』て感じでお願いします。」

「な、何て?」


 香々美フジコはスタート地点に戻された。

「あ、砂漠だ~。」


 ゼウスは簡単に説明した。

「このゲームの中では君以外QCを使っていない。つまり普通のゲームみたいな感じになっているんでその心算つもりで。」


 香々美フジコはボーっとしながら前方を見ていた。

「は~い。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々美かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

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