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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
205/624

205 リズム【他世界の話】

 歌寺ミナモは薄暗い空間の中、一人ぽつんと宙に浮いていた。

「ちょ、ちょっと……大丈夫なんでしょうね! 私、初めてなんですからね!」


 すると副担任のみかどソヨギの声がした。

「大丈夫よ。それじゃあ何でもいいから武器になりそうなものを思い浮かべて。」


「ええ? 武器になるものって……」

 剣の様な近接武器だと相手に近づかなければならない。

 そこで歌寺ミナモは以前テレビで見た事のある光線銃なるものを思い浮かべた。


 すると先程の扉の時と同様、目の前にそれが出現した。

 彼女はそれを手に取って引き金を引いてみた。


 チュイーン! と言う電子音と共に放たれた光の弾。

 銃身の振動が彼女のてのひらに伝わった。

「うわわわ!」


 いきなり発射された光弾にあわてふためきながらも彼女は何度か発射してみた。

「光線じゃなくて光弾なのね。まあ、そこは制限されてるって事か。」


 帝の声がした。

「それじゃあまとを出すからそれに当ててみて。」


 歌寺ミナモは少し興奮気味に言った。

「ええ、やってみる。」


 左手から出現した円盤状のまとが右方向へとゆっくり移動した。

「あれを撃ち落とせばいいのね……。」

 彼女は光弾銃をそちらに向け思い切って引き金を引いた。


 チュイーン!

 しかし、光の弾はあらぬ方向に飛んで行ってしまった。

「あら、難しい……ん?」


 その時、はるか右上方に飛んでいたはずの光弾が急に歪曲わんきょくし見事に的を撃ちいてしまった。

「へ?」


 一体何故こんな事になったのか。

 歌寺ミナモは顔をしかめた。

「何なの、あれ……。」


 みかどソヨギの声がした。

「どうやらあなたの基本能力スキルが発動したみたいね。狙った獲物を逃さない、言わば百発百中の能力スキル。」


 歌寺ミナモは目をパチクリさせた。

「え、そうなの? 何、私って……すごいじゃない!」


 彼女はその後の5連続、10連続のシューティングも難なくクリアした。

 どうやら光弾の速さも自在に操れる様だ。


 それぞれ別方向から来る10連続もすべて撃ち落とし、彼女はようやく自分の能力スキルの優秀さが分かって来た。

「何よ、ちょっとこれ面白いじゃない! さあ、次行きましょう!」


 ゼウスの声がした。

「そんじゃあそろそろゲームを開始させてもらうよ!」


 すると真正面に四角い枠が現れた。

「ちょっと難しいぞ! 的がその四角い枠に入った瞬間を狙って撃つんだ。」


 歌寺ミナモは自信満々な態度で答えた。

「何だ、ただの音ゲーじゃない。ふふん、見せてあげましょうか。私の実力とやらを!」


 左手から円盤状のまとが非等間隔で右方向に移動し出した。

 先程より速い様だが何て事は無かった。

 チュン、チュン、チュチュチューン。

「あ、曲みたいになってるんだ。あはは!」


 歌寺ミナモはご機嫌だ。

 そしてどうやら最初のステージはノーミスで行けた様だ。

「逆にこれってミスる事なんか有り得るの?」


 ゼウスは説明した。

「ああ、あるだろうね。ちょっとこれ、撃ってみてくれる?」


 正方形の枠の中にいきなり的が現れた。

 しかし歌寺ミナモが銃を撃つと光弾が当たる前にパッと的が消えてしまった。

「あ、ずるい!」


 するとまた枠の中に的が現れた。

 的はランダムに現れたり消えたりしており、歌寺ミナモが何度か光弾を放っても殆どが当たらなかった。

「成程、つまりタイミングが大事って事ね。」


 ゼウスの声がした。

「そう、そこに現れるタイミングを認識出来ていたからこそ、さっきは全弾命中したってわけ。」


「ふ~ん、成程ね……。でも……。」

 不規則に点滅する的に向けて歌寺ミナモは再び銃口を向けた。

「これならどう?」


 すると今度はまるで出現を狙いましたかの様に全弾が的に命中してしまった。

 ゼウスの目は飛び出した。

「な、なにっ! どうゆう事だ!?」


 歌寺ミナモは自慢気じまんげに言った。

「へっへ~。点滅のリズムがつかめちゃえばどうという事は無いわ!」


 ゼウスは絶句した。

「て、点滅のリズムって……。」


 帝も驚いた声で言った。

「リズムって……コンピューターがランダムに発信している信号よ? それを読み取るだなんて有り得るの……!?」


 歌寺ミナモはしたり顔でやれやれと言った態度をとった。

「う~ん、でも何か分かっちゃうのよね。ま、私だから仕方ないよ。」


 ゼウスは気を取り直して言った。

「ゴホン。ま、取り敢えず次に行こうか。でさ、ミナモちゃん。その能力スキルなんだけど……リズム読み取っちゃうそれ。使用禁止ね。」


 歌寺ミナモは少し驚いた表情を見せた。

「ちょっ……まあいいけど。でも使用禁止なんて出来るの? 基本スキルは自動的に発動しちゃうんじゃなかった?」


 ゼウスは自信無さに言った。

「ああ、でも意識すれば出来ると思うよ……多分。」


 歌寺ミナモは苦笑した。

「多分て……また適当な。ま、いいわ! ちょっと意識してみる。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

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