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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
202/564

202 普通とは、あまねく通用する事【他世界の話】

 蛇代ヨウコは副担任のみかどソヨギに向かって言った。

「大丈夫だよ先生! 二人とも能力スキルは使わないし、その辺は分かってるから。」


 二人はお互いの攻撃を受けかわしながら己のりやこぶし容赦ようしゃなく繰り出した。

 だが、いつもとは少し勝手が違っていた。

 ここは宙空なのだ。


 担任の海野ランは二人の様子を見て感心した。

「おお、ちゃんと踏み場をこさえとる。格闘戦に於いて足の踏み場、力を入れる支点を何処どこにどう置くのか。非常に難しい所だがあいつらと来たらまあ……天賦てんぷの才ってやつか。」


 足場を自由につくり出せる事によりその攻撃は変幻自在となった。

 通常ならなせる攻撃が連撃となる上タイミングも大分だいぶ違って来る。

 しかし次第に慣れて来たのか彼女たちは組み技や投げ技、複雑なフェイント攻撃までも器用に使い始めた。


 10分程激闘が続き、二人ともかなり息が上がって来た。

 海野は二人の所まで近づいた。

「さて、これくらいにしとこうか。ちょっとデータの解析結果も見てみたいしな。」


 北守カズミは満足気まんぞくげに言った。

「ああ、満足だ。はあはあ、めっちゃ楽しかったぜ!」


 非天レイカは頷いた。

「さて、それじゃあ取り敢えず戻ろうか。ゼウスさん、次はSランクの準備、よろしくお願いします。」


 蛇代ヨウコはゼウスの近くまで寄って来た。

「おっちゃんて結構おっきかったんだね……。それでさ、まあ解析すんのも面白かったんだけど私ももっと身体を動かしたかったな。ゲームキャラとして!」


 ゼウスは「君が小っちゃ過ぎるのでは?」と言って苦笑いした。

「ああ、すまんすまん。準備しているゲームは何も格闘系だけじゃないんで。次は期待していておくれ。」


 蛇代ヨウコは嬉しそうに返事をした。

「うん、楽しみ!」


 3人が無事、仮想現実世界から元の状態に戻るとZ組の生徒たちは早速さっそく大教室へと引き返した。

 教室に帰り着くまでの間、6人は極力話さないようにした。


 口は災いの元。監視カメラ等のデータならゼウスが処理してくれるが直接人に聞かれては何を勘繰かんぐられるか分かったもんじゃないからだ。


「ふう、やっと戻れた。何かどっと疲れたわ……。」

 教室の椅子にもたれながら歌寺ミナモがボヤいていると蛇代ヨウコが不思議そうな顔をした。

「疲れたの? 何で?」


 6人がしばし休憩を取っていると大教室前方のモニターに海野と帝が映り込んだ。

「お疲れちゃん。で、次はいつにする?」


 非天レイカは即答した。

「三日後でお願いします。」


 北守カズミもそれに同意した。

「ああ、私も早い方がいいな。今日のこの感覚を忘れたくない。」


 海野はニヤけた。

「おうおう、張り切ってんなあ。じゃあ三日後な。それで次、ダイブしたいのは誰だ?」


 六人全員が手を挙げた。

 海野は一瞬キョトンとしたが直ぐに笑い出した。

「あっはっはっは! そうか、全員で来るか。そんじゃあこっちもしっかり準備を整えておかないとな。何せ……お前らだからな!」


 歌寺ミナモが不機嫌そうな顔をしてぼやいた。

「あんな化け物どもと一緒にしないでよね……。先生、私は普通んでいいので。Cランクのレベル1からお願いします。」


 海野は笑いながら言った。

「ああ、大丈夫だ。ちゃんとコース分けはしておくさ。安心しろ。」


 蛇代ヨウコは元気に言った。

「あ、私も次は身体を動かしたいな。……あれ、おっちゃんは?」


 それには副担任のみかどソヨギがこたえた。

「ああ、ゼウスさんなら早速次の準備に取り掛かっているわ。大丈夫よ、蛇代さん。あなたの事も分かってるから。ま、今日のは計算外もいい所だったけど……。」


 海野は全員に向けて言った。

「で、蛇代。二人のバトル、解析は出来たかい?」


 蛇代ヨウコは「うん」と言って頷いた。

「ただ基本の能力スキル以外は使わなかったからそっちの方はあんまり。分かったのはいつもの生活で鍛えた部分が大きく反映してるって事。」


 海野は「成程」と言って頷いた。

「いきなりあんだけの力を発揮出来たのは普段二人がその……喧嘩ばかりしてるからか……。」


 非天レイカと北守カズミは即刻そっこくその言葉に意見した。

「いや、あれは……いつもこいつが吹っ掛けて来るから止むを得ず……。」

「先生、あれはスパーリングですって。立派なトレーニングの一つです!」


 海野はニヤけた。

「はっはっは、冗談だよ。ちなみに蛇代の並外れた解析力はゲームプレイの賜物たまものってわけだな。」


 蛇代ヨウコの鼻がぐいぐいっと伸びきった。

「ええ、まあ天賦てんぷの才も相俟あいまってと言った所でしょうかね!」


 歌寺ミナモがニッコリとしながら言った。

「そんじゃあ私は力になれないわね。歌や芸術は戦闘と相反するもの。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

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