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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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02 ユニットのメンバー集まる

 次の日の朝。目が覚めると喉が痛い。

「ぁあ゛ぅあ゛~」

 声が出ない。風邪かなと思ったけど症状がない。


 これでも歌手志望だからなぁ。

 バイトを休んで病院へ行くことにした。

 今日は比較的休み易い日で助かった。


 病院で診察を受けると、どうやらハウスダストアレルギーによる声帯炎とのこと。

 まあ、あのばい菌だらけのほこり吸いまくればこうなるわな。


 過労に加え普段の栄養不足も追い打ちをかけたのだろう。

 その日は一応薬と吸引器をもらって帰宅した。


 う~ん迂闊うかつであった。

 せめてマスクでもしときゃよかった。

 スーパーで買った40%引きの弁当を食べながら私は今後のことを考えた。


 声はしゃがれてはいるものの全く出ないわけではない。

 バイトの方は何とかなるだろう。


 しかし、肝心のアイドル活動は声が治るまでしばらく休まざるを得ない。

 喉を大事にしないなどプロ失格。

 落ち込むわ~。


 思えば私の人生こんなトホホな事ばかりであった。


 それから一月ひとつきほど経ったが、声はまったくと言っていいほど治らなかった。

 処方してもらったステロイド剤を吸引しないと声も出せない状態である。


「この弁当うまいなぁ。当たりだね。」(←しゃがれ声)

 そんな時スマホにメールの着信があった。


 発信元は一緒にユニットを組んでいるバイト仲間のヨシエだった。

 相談があるというのでバイト先の喫茶店で落ち合うことになった。


 店にはもう一人のユニットメンバーであるスミレも来ていた。

 3人とも同じバイトだがシフトの関係で滅多に一緒になることはない。


 ユニットを結成したのもバイトの打ち上げやその後のカラオケで盛り上がった延長みたいなものだ。

 元々ヨシエがソロでやっており、そこに合流した形。


 私はしゃがれた声で挨拶あいさつを交わした。

「お久しぶり~」


 二人とも心配してくれている。

「まだ声治ってないんだ……。」


 その後近況を報告したりと一頻ひとしきりおしゃべりを済ませた後、本題に入った。

「相談ていうのは?」(←しゃがれ声)


「実は変なお客さんがいて……ね。」

 ヨシエはスミレの方を見た。


 それを受けてスミレは少し小声で言った。

「ストーカーみたいな。」


 どうやらヨシエの自称ファンがストーカー行為を行っているらしい。

 どうやって調べたのかヨシエの家の前に車を停めてしばらく中でじっとしていたり、SNSでセクハラじみたつぶやきをしつこく繰り返しているとのこと。


 で、先日ヨシエの家からバイト先までの通勤経路にある電柱や壁、木材などに刃物で『ヨシエ』等と刻まれているのを見て、さすがにヤバいと思い私に相談して来たわけだ。


「とにかくダメ元で警察には連絡した方がいい。」(←しゃがれ声)

「後、SNSのつぶやきは全部保存しておく。」(←しゃがれ声)


「うんうん。」

 二人はうなずいて聞いている。


「そうだね~。後できれば証拠写真とか映像とかあった方がいい。」(←しゃがれ声)

「なんか言ってきたらボイスレコーダーで録音とか……。スマホにもそんな機能あったよね。」(←しゃがれ声)


 取り敢えず警察には一応相談することになった。

 プロならより具体的な対策も教えてくれるかもしれない。


 善は急げ。

 私たちは席を立ち、その足で警察に行くことにした。

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