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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
199/624

199 初ダイブ【他世界の話】

 Z組の六人はロビーの片隅にあるエレベーターで地下3階へと降りた。

 やたらと高い天井がそのものものしさを感じさせる。

 そこはまさしくGmUゲーム住処すみかである巨大QC装置が設置されたフロアーであった。


 六人がエレベーターを出て前方の入口に近づくとスッと扉が開いた。

 本来なら厳重なパーソナルチェックの末にパスワードを幾つも入力しないと入れない場所だ。


 歌寺ミナモは緊張した面持ちで言った。

「ここにGmUが居るのね……。」


 鳥山イツキは周囲をきょろきょろと見回した。

「まあ、本体は異次元の向こう側だけどな。」


 生徒たちはしばらく長い通路を道なりに歩いた。

 大きな金属製の扉に差し掛かると何の予兆も無くそれがスッと開いた。


 部屋に入ると、そこにはロッカーとベンチが置いてあるのみであった。

 事前の指示通り六人はロッカーから防寒着と防塵服を取り出して着込んだ。


 その後も道案内するかの様にドアが開いて行き、エアシャワー等の行程を経て目的の場所に辿たどり着いた。


 六人が最後に開かれたドアから中に入ると、そこは体育館よりも数倍は広い部屋だった。

 中には沢山たくさんの生命維持装置が等間隔に並んでいた。


「お~い、こっちこっち。」

 奥の方のモニターから担任の海野ランが皆を呼んでいた。


 六人がモニター前に移動すると、そこにはゼウスも映り込んでいた。

「おっはよ~! 今日は張り切っちゃうぞ!」

 先日同様、やたらテンション高めだ。


 副担任のみかどソヨギは微笑みながら言った。

「この部屋、それ程寒くないからマスクは取っても大丈夫よ。」


 皆すぐに鬱陶うっとうしいマスクを頭から外した。

 北守カズミは「ふう」と言って一息吐ひといきついた。

「何かこれ宇宙服みたいだな。」


 歌寺ミナモは少し青ざめた表情で言った。

「うわ~、何か緊張して来た。何なのよこれ……カプセル? 映画のセットみたい……。」


 蛇代ヨウコは早速カプセルを操作し出した。

 スイッチを押すと軽いモーター音と共にカプセルが開いた。

「へえ、中はこうなってんだ。かっけ~。」


 歌寺ミナモはあわてた。

「ちょっと蛇代……何やってんのよ、勝手に!」

 すると蛇代ヨウコはキョトンとした目で前方を指さした。


 歌寺ミナモがその指さした方を見やると非天レイカは既にカプセルの中に入り準備万端の状態となっていた。しかも素っ裸だ。

「ちょっとレイカ! 何よ素っ裸で……。」


 非天レイカはカプセル内で横になりながら平然と言った。

「生命維持装置については事前に調べてあるから問題ない。先生、ダイブの方よろしくお願いします。」


 歌寺ミナモはあきれた顔をした。

 それを見ていた北守カズミは笑いながら服を脱ぎ捨てカプセルに入った。

「じゃあ、私も……おお、さむ! この中で横になりゃいいのかな?」


 海野はやれやれと言った顔つきで指示を出した。

「それじゃあこれからカプセルをロックする。扉が閉まるとガスが出て来るけど気にしなくていいからな。」


 鳥山イツキは「何かこの防寒具、あちいな」と言って防塵服のチャックを開けて防寒服を脱ぎ捨てた。

 香々美フジコはじーっとカプセルの中をのぞき込んでいた。


 歌寺ミナモは質問した。

「これって冷凍睡眠みたいな?」


 帝がそれに答えた。

「いえ、ハイパースリープ出来る様なテクノロジーはまだ持ち合わせてないわ。そのカプセルはダイブさせるのと同時に身体の安全を維持する為の装置よ。長期の場合は栄養補給や身体の洗浄もしてくれる。」


 海野は頷いた。

「そうだ。ダイブするって言っても身体本体のτファウンデーションから完全に切り離されるわけじゃない。深い眠りについてる様な状態になるだけだからな。」


 最後に蛇代ヨウコがカプセルに入り込み準備が整うと、ゆっくり扉が閉まり中は白いガスで満たされた。

 海野たちが映っていたモニターが一度消え、数秒後に別の場面へと切り替えられた。


 映し出されたのは星の無い宇宙空間の様な場所だ。

 本来は暗闇なのだろうが、目視できる程度には照らされている。


「カメラはこっちか? 分かりずらいな。」

 スピーカーから何やら海野たちの話し声が聞こえて来た。

 そしてしばらくすると海野と帝が宙に浮いている状態で画面に現れた。


 海野は部屋に残った3人の方を見て聞いた。

「見えてるか? 大丈夫みたいね。ゼウスさん、こっちこっち。」


 ゼウスが左の方からスーッと入って来た。

「ふう、やれやれ。ホント分かりにくいなあ。」


 海野は突っ込んだ。

「いや、作ったのあんただろ……。」


 帝は3人に向かって言った。

「そろそろ3人が来るから……。あ、3人とも! こっちこっち!」


 帝が手招きすると3人の姿がモニター内に現れた。

 その姿を見て歌寺ミナモは驚いた。

「うわ、そっくり! まるでホンモノじゃない……素っ裸じゃなくて良かったわ……。」


 モニター内の蛇代ヨウコはご機嫌だ。

 自分の手足を見ながらクルリと回転して見せたりした。

「どう? 凄いでしょ! 私ゲームキャラになっちゃった!」


 北守カズミも少し興奮気味だ。

「ああ、身体も思った通りに動く。まるで生身のまま宇宙空間にいるみたいだ……げえ!」


 非天レイカも身体を動かして確認した。

「それで、次は何をしますか?」


 海野は苦笑いした。

「お前は相変わらず冷静だな……。」


 ゼウスは蛇代ヨウコに言った。

「よし、お嬢ちゃん。約束のゲームでもしようかね。」


 蛇代ヨウコは大いに喜んだ。

「やった! 最強の腕前見せてよね!」


 ゼウスは「ちっちっち」と言いながら人差し指を左右に振った。

ずは私が用意したゲームの中の『敵』を倒してからだ。」


 蛇代ヨウコは興奮した。

「よおし! やったろうじゃないの!」


 北守カズミも喜んだ。

「へへ、ずは肩慣らしってか?」


 香々美フジコはうらやましそうにモニターをながめていた。

「私もダイブすれば良かったな……。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き

 香々かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持

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