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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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190 旧Z組【他世界の話】

 味のほとんど付いてない『マズい朝食』を取り、一休みし終えた北守カズミは全員に聞こえる様な声で言った。

「んじゃ、そろそろ始めるか。」


 鳥山イツキが二度寝中の香々美フジコを起こしに行った。

 蛇代ヨウコもゲームをめて運動着に着替えるとトレーニング室へと向かった。


 そのトレーニング室には既に一汗かいて休憩中の非天レイカがベンチに座ってスポーツドリンクを飲んでいた。

 先程仕事の為に外出した歌寺ミナモ意外のメンバーが全員集まると北守カズミは指示を出した。

「はい、じゃあストレッチから。」


 先ずはストレッチと準備体操。

 非天レイカが香々美フジコのストレッチを手伝う。


「ちょっ! あいたたたた! 無理無理無理!」

「おいおい、まだ押してもいないんだけど。てか13でこの硬さはやばいだろう……。」

「私はまだ12よ~!」

「威張るな。猶更なおさらだよ……。」


 準備体操が終わると次はジョギングだ。

 各自速さは自由。

 トレーニング室は学校の体育館程の広さがあり、そこを20周もすればそれなりの運動量となるのだ。


 10周走ったところで香々美フジコがいつもの様に悲鳴を上げた。

「ふえ~、もうだめだ~。目が回る~。」


 12週目の蛇代ヨウコがはあはあ言いながらもげきを飛ばした。

「がんばって! フジコ! あと半分!」


 14週目の鳥山イツキはちょっとペースを下げながら非天レイカと北守カズミを見やった。

 二人は既に20周を走り終わり、休む間もなく筋トレを開始していた。

「毎度の事だが、あいつら何て速さだよ。はあ、ふう。私も結構早いと思うんだが。まったく……。」


 やはり何をやるにしても日々の体力づくりは欠かせない。

 皆それを分かっているからこそ、この様な運動の時間を日に一度もうけていたのだ。




 さて、こう言った決まり事をクラスのみんなに提案するのは大抵たいていが非天レイカであった。

 そんな彼女は早くに両親を亡くしており、これと言った引取手ひきとりても無かった為、しばらくの間は児童養護施設で生活していた。


 彼女はそこでGmUを賛辞する様な話を事あるごとに聞かされていた。

 だが、彼女からしてみればその話の内容がどうにも引っ掛かってならなかった。


 幼い頃はGmUに関して周りの大人たちに色々と質問をしてみたが、返ってくる答えに満足した事はただの一度すら無かった。

 分かった事と言えば質問しても無駄だという事だけ。

 それなら自分で答えを見つけるしかない。


 彼女はあらゆる資料を読みあさり多くの事を学習した。

 そして9歳の頃には周りの大人たちでは到底理解できない程の学習レベルにまで達してしまったのだ。


 幸いGmUの世界では真に優秀な者に対してそれなりの待遇と補助金が送られた。

 非天レイカは飛び入学制度を最大限活用して若干10歳で大学に進学する事が出来た。

 大学生となった彼女は教授陣が驚愕きょうがくする程急速にその非凡なる才能を開花して行った。


 そして2年後、大学を卒業した彼女はGmUのお膝元ひざもとともいえるこの研究学園都市唯一の中学校に入学して来たのだ。

 この養成学校は学習システムが自由な分、学年は年齢のみで決定されてしまう。


 よって彼女の現在の肩書かたがきは中学生。

 超一流大学卒の中学1年生だ。


 彼女がこれだけGmUの恩恵にあずかりながらも真っ向から今の体制を批判出来たのは何故なぜか。

 それは、彼女にとってGmUはただのシステムに過ぎなかったからだ。

「あのくそGmUロボットが……。今度は一体何を仕出しでかす気だ?」


 彼女が周囲に危険視される以上に彼女はGmUを危険視していた。

 そしてこの中1としての年齢は特別な理由でもない限りGmUに思考介入される事の無い最後の学年なのだ。


 14歳になれば教育的考慮があるにせよ徐々に矯正きょうせいされて行く事だろう。

 そして18歳になればいよいよ『苦痛』により支配される……のだろうか?

 いずれにしても悪い予感しかしない。


 事を起こすなら早いに越した事は無い。

 だが一人ではどう足搔あがいた所で不可能だろう。

 彼女には仲間が必要だった。


 だが、相手はあのGmU。

 下手を打てばどんな事になるかわからない。

 そこで彼女はこの養成学校の新入生について調査した。


 GmUは人々の評価を得るためか、多くの事をオープンにしていた。

 彼女が学校の事を調べるに当たり、生徒の個人情報こそ厳守されていたが、学校の沿革やそれについての詳細な資料も容易に閲覧する事が出来た。


 非天レイカはそれらの資料から過去に『Z組』と言うクラスが存在していた事を知った。


 この学校が創設されたばかりの15年前、ある1年生がA組、B組、C組の何処どこにも適応出来ず、その生徒の為だけに空き教室を使って増設したクラスが『Z組』であった。


 メンバーは最終的に2名で、その二人が卒業すると同時にZ組は閉鎖となった。

 その後、このZ組の教室は何に使われるわけでもなく、ちょっとした物置場と化していたのだ。


 非天レイカはここに目を付けた。

 ならば『Z組』を復活させてしまおう。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【研究員養成学校中等部 Z組】

<生徒>

 非天ひてんレイカ …… Z組を復活させた。大卒。

 北守カズミ …… 格闘家。スポーツ好き。

 香々かがみフジコ …… 寝るの大好き。学年主席。

 歌寺ミナモ …… 芸術家。アイドル。

 蛇代へびしろヨウコ …… プロゲーマー。身長120㎝位。

 鳥山イツキ …… 工作大好き。職人気質の超美少女。

<教師>

 海野ラン …… 担任。青い瞳、ブロンドの髪。

 みかどソヨギ …… 副担任、教務主任。おかっぱ、眼鏡を所持。

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