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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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188 Z組の生徒たち(5・1・0)【他世界の話】

 かかとを廊下に蹴りつける様に歩きながら肩を震わせるブロンド教師がおかっぱ先生に文句を言った。

「ソヨギ、私のこの怒りは一体何処どこへ?」


 ブロンド教師の名は海野ラン。Z組の担任だ。

 武闘派で迂遠うえんな言い回しは苦手。

 思った事をそのまま口に出すため直情型と思われがちだが実はかなり計算高い。


 おかっぱの教師はみかどソヨギ。

 海野の幼馴染おさななじみで幼少から彼女のお目付け役をになっていた。

 教務主任である彼女が、今回Z組の副担任を兼任したのも二人の関係性を知っている校長から是非にと頼まれての事であった。一応は……。


 海野はブロンドの髪を振り乱しながらだぶつくさ言っていた。

「しかし何なんだよあいつらは……。そろいも揃って変わり者ばかり……ありえんだろ!」


 帝はクスリと笑いながら言った。

「ええ、特待クラスでも群を抜いた才を持つ6人がね。フフッ。ホント何なんでしょう。」


 特待クラスZ組。

 つまりここは問題行動のある生徒を隔離、矯正きょうせいする為のクラスなのだ。

 まあ、この二人の教師に生徒どもを矯正するつもりは毛ほども無いのだが。


 二人は職員室には戻らず『Z組教官室』に入って行った。

 中に入ると人影が二人に背を向けて椅子に座っていた。」


 帝はその人物に一礼した。

「準備の方は抜かり無いようです。ご協力感謝します。」


 次いで海野が口を開いた。

「後は本人たち次第ですね。そろそろ彼女たちにも伝えねばなりません。このZ組の事を……。」



 二人の教師がモニタ画面から消え去るとZ組の生徒たちは思い思いに行動し始めた。


 Z組のエリアはだだっ広く6つのエリアに分割されていた。

 大教室、小教室、トレーニング室、寝室、リビング、物置だ。

 更に大教室はパソコンエリア、実験エリア、工作エリア、フリーエリアの4つに区分されており各エリアはそれぞれ50平米ほどもあった。


 工作エリアでは鳥山イツキが2メートル程の大きなメカを制作中だ。

「おい鳥山、そんなデカいもんいつの間に作ったんだよ。」

 鳥山イツキに話しかけたのはタンクトップの北守カズミだ。


「ああ、これは設計図送ってうつわだけ作ってもらったんよ。」

「何なの、それ?」

「戦闘メカ。」

「うわ! そんなもんよく許可が下りたなあ。お前……また学校破壊すんの?」


 超が付くほどの美少女である鳥山イツキは実験や工作が大好きだ。

 しかし彼女は4月にこの養成学校に入学してからただ一月ひとつき足らずで三度も校舎を大破たいはせしめた。


 本人いわく「いや~ちょっと失敗しちゃいましたね。でも人がいない事は確認済みだったから」との事であった。

 そしてひと教室を一撃で青空学級にする程の破壊実験を何の気兼きがねも無くおこなってしまう事が危険視されてZ組に来る羽目になったのだ。



 彼女に茶々を入れているタンクトップの少女は北守カズミ。武闘家だ。

 入学早々強そうな相手を見つけては喧嘩けんかを売り、様々な部活動を見学に行っては問題を起こしていた。


 しかし学習に特化した特待生ばかりが集まるこの学校には大した相手もおらず、遂には格闘系部活動の生徒全員を挑発して大立ち回り。

 10人以上を病院送りにしてしまった。


 彼女いわく「いや、最初にかかって来たのあっちだし……それにさ、危険が無い様に当てる場所も考えてやったんだけどね。ったく、病院なんて大袈裟おおげさでしょうよ」との事だったが、同様の事態が2度ほど続き、それらの行動が危険視されてこれまたZ組に来る羽目になった。


 しかして、このZ組に移動した彼女がこの場所で自分より強い相手、非天レイカと出会い大喜びした事は言うまでも無い。



 さて、事あるごとにこのタンクトップから挑戦されて、いい加減嫌気いやけが差している非天レイカ。

 彼女はこのZ組で唯一のA組出身者だ。


 非天レイカは授業を妨害したかどと生徒たちを扇動した廉で危険視され、その挙句あげくZ組に移動させられた。

 と言うのは建前で、実はすべて彼女の思惑通りの事態だった。


 非天レイカは入学早々騒動を起こした。

 授業中、教師の言ってる内容に反論し相手がグウの音も出ないほどに論破してしまった事幾度いくたび


 また、対話や演説等を通してクラス全体にGmUゲームいた体制を批判する雰囲気を作り出してしまった。


 普通の生徒(と言っても特待クラスだが)が非天レイカの言葉にあらがえる理由わけもなく、皆がGmUに対して批判する様になって行った。

 授業でも、特にGmUの政策に関する箇所では生徒たちによる質問攻めで大混乱となってしまう事も度々あった。


 更には教師陣の中にも彼女の影響を受けてGmUのやり方について批判的な意見が飛び交う始末。

 非天レイカはと言えば陰からそれを見てほくそ笑んでいた。


 GmUゲーム本部は言論の自由をある程度認可していたし、18歳までは特に寛容かんようであった。

 しかし、この非天レイカに関しては例外を選択せざるを得なかった様だ。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

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