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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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180 夏フェス2日目

 朝だ。

 いよいよ夏フェス2日目、ようやく私の出番が回って来たよ。

 気持ちの方は不思議と落ち着いている。

「うん、大丈夫。気分良し!」


 私は寝床から起き上がり、着替えをしながら天気予報やらを簡易モニターで確認した。

 以前設置した窓の風景はこのビルの屋上にある屋外カメラにリンクしていた。

 私がカーテンを開けるとまばゆい光がサッと刺し込んで来た。

 快晴。どうやら今日一日晴れるみたいだ。

 何ての? 普段のおこないっての? はい、私のお陰~!


 私は気持良くびをしながら居間へ行き、朝食を作った。

 こうゆう特別な日こそ平常運転を心掛けたいものだ。

 ベーコンエッグ、パン、オレンジジュース、ミルク、ヨーグルト。


 朝食は和食風と洋食風を周期的に選んでいた。

 ここ数日はどうやったら至極のベーコンエッグを作れるか研究中だったので洋食風。

「火が弱すぎたかな。う~ん、バターの量、気持ち多かったかも……。」

 卵料理ってなかなか奥が深い。


 食事を済ませ歯を磨きソファーで一休みしていると連絡が入った。

「フィナ、私! 起きてる?」

 サナの可愛らしい顔がモニターからこちらをのぞいている。


「サナちゃん、おはようございます。起きてますよ! モーニングコールありがとう。」

「あ、もう起きてるってさ。」

 サナがそう告げると背後からサユリが映り込んで来た。

「ああ、おはようフィナ。そろそろ向かうところなんだけど、そっちの方は何ともなかった?」


 私は昨日の鏡の件を言おうかと思ったが、朝っぱらから心配させるのも何なので話さないでおいた。

「ええ、大丈夫ですよ。何もありませんでした。」


「よかった、何よりだわ。それじゃあ、そろそろバスが出るから。また後でね!」

 昨晩あんな事があったのでサユリは私を心配していてくれた様だ。


「心配してくれてありがとうございます。気を付けて来てくださいね。」

 通信が切れる寸前にサナの「心配ってなあに?」とサユリに問う声が聞こえた。

 どうやって説明するんだろ……。


 昨日は盛沢山もりだくさんだったので疲れてるかなと思っていたが、どうやらみんな昨日以上に元気な様だ。

 私は二人の元気に触れ、張り切って居間の隣にあるレッスン部屋に移動した。


 いやでも目に入る氷のオブジェ……の中身(山本春子)。

 イベント中に何かあったらマズいので私はライブ中こやつを見張ってなければならない。

「うん、ちゃんと『しまった!』って顔のままスリープしているね。」

 昨日節電モードの時バリアーの力が一瞬弱まったから一応確認。


 私は今日きょう立つステージの上を歩き回り、段差の位置や高さを再確認した。

 ファランクスと違って一人だし、あれ程大きな動きのパフォーマンスもない私にとっては少し広いくらいだ。


 しばし歌の練習をした後、私はピーチに話しかけた。

 ピーチとはこのボカロボットのナビゲーターだ。

「ピーチ、今日もよろしくね。で、このルームなんだけどさ、またダンス部屋バージョンにしてもらえないかな。ライブ始まってからでいいんで。」


「おはようございます、マスター。昨日と同じ部屋でよろしいんですね。わかりました。では、ライブ会場の席にお着きになられたましらご用意させていただきます。」

 ピーチはライブを楽しむ気満々の私の気持ちを察してくれた様だ。


 私がライブの予定表をながめめているとアテナから連絡が入った。

「おはよう、フィナ。昨日はごちそうさま。」

「あ、おはよう。そっちは大丈夫? みんな起きれた?」


 私はニーケが少し心配だった。

 昨日は色々と情報量が多かったので計算事(考え事)が勝手に発動してやしないか、緑と赤の時みたいに敵を探って変なビジョン見せられたりしてないか……。


 するとニーケがモニター画面に映り込んで笑顔を見せた。

「私たちは大丈夫ですよ! ミーネも元気です。」

「ああ、良かった。これで準備は万端ばんたんだね!」


 アテナはご機嫌な顔で言った。

「ユタカさんたち、今さっき到着したみたいなんで先に会場行ってるから。」

「うん、わかった。また後でね!」


 通信が切れた。

 そう言えば今日、ミネルヴァのお父さんとお母さんが来るって言ってたな。

 久しぶりだけど上手くやれてるみたいで良かった。


 私は大地ミノルの妹であるミナミちゃん(の記憶)が消えて、代わりにミネルヴァが登場した日の事を思い出した。

 ミノルさんはともかく、あのお父さんとお母さん、よくすんなりとミネルヴァの事を受け入れたよな。


 私は以前からその事が少し引っ掛かっていた。

 まあ、色々悩んだり考えたりの結果なのかもしれないし……今の私がとやかく言うもんじゃないけどね。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母


【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー

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