174 この世のモノでは……
にしても『鬼虐殺』がバレたのはかなり恥ずい……マジで厨二病じゃねえか……。
先程Dr.Gは自分たちのテクノロジーがかなり進んでいると言っていた。
つまり、こちらの考えや行動、目論見さえも筒抜けって事だろうか。
冥土は固唾を呑み込む様をもじっと相手に見られているのだと自覚した時、後悔の念に襲われた。
ビビってるのが丸分かりだな……人外を相手にするならもっと慎重にすべきだったか。
まあ、どちらにせよ同じか……。
「はは……驚いたな……。で、先ずは何をするつもりだい?」
Dr.Gはニコリと可愛らしく微笑んだ。
「障害を取り除きます。警察と3Dボカロ社、それと資金源のコスパルエイド、出来ればご活躍中の3Dボカロも消しておきたいですね。出来るだけ早急に潰して行きたいと考えています。」
冥土はゆっくりと頷いた。
「はは……。警察は解かるが……何で3Dボカロなんだ?」
Dr.Gは一刹那、冥土の顔を見つめた。
「3Dボカロ社は今後、私たちの大いなる脅威と成り得るからです。しかも、もう既に警察、特にサイバーポリスとは深い協力関係にあるのです。」
3Dボカロ社については仕事でちょっと調べたぐらいの知識しか彼には無かった。
「ボーカロイドのソフト作ってるだけじゃないのかい? はは……まあ、ある意味QCの実用化に貢献してるんだろうがねぇ……。」
Dr.Gは変わらずに微笑を浮かべていた。
「いえいえ、それどころの話しではありません。今やQCの運用に関してはある方向性において最先端とも言えるでしょう。それが脅威の一つなのです。更に3Dボカロ社は以前QCを使ってサイバーポリスのプロファイリングシステムを構築し、大きな成果を収めています。」
冥土は「ほう」と言いながらやや緊張した態度で聞いている。
Dr.Gは話しを続けた。
「特に3Dボーカロイドの進化は目覚ましく、そこで得たノウハウから更なる脅威となる事が危惧されています。」
冥土は暫く考え込んでから質問した。
「つまり今回の件を含め、今までの失敗には3Dボカロ社が関係してるって事か?」
Dr.Gは少し目を下に向け残念そうな表情をした。
「その可能性は大きいでしょう。ただ情報が掴めない為これ以上の事は何とも……。」
冥土は先程から目に見えない何者かについて考えを巡らせていた。
恐らくこいつらの敵ってのは……3Dボカロ社連中って事か……?
しかし、Dr.G程の実力者が手も足も出せないでいるとは……一体3Dボカロ社って何なんだ?
冥土はサブのノートパソコンにある自作のハッキングソフトを使って3Dボカロ社への侵入を試みた。
しかし、まるで手応えはなかった。
「成程、はは……入れないな、切断されてしまったよ。」
Dr.Gは少し慌てた様な表情をした。
「ご注意ください。逆探知されますよ。」
冥土は「何だって?」と言いながら有り得ないだろうという顔をした。
Dr.Gは今起こった事象を説明した。
「彼らの防御壁には逆探知や逆サイバー攻撃等の機能も備わっているのです。しかも途轍もなく強力な……。今、あなたの回線はすべて私の防御壁に守られています。ですから、あなたが危険域を越える場所にアクセスしようとすれば即切断する様に組んであるのです。私たちの防御壁は彼らのそれに到底耐え得るものではありませんから。」
冥土は恐れ入るしかなかった。
「はは……。こいつは魂消た……。」
Dr.Gは付け加えた。
「更にはサイバーポリスについても同様の防壁が施されている様です。」
冥土は少し慌てた。
「はは……。サイバーポリスなら今まで何度もアタックしているが……。」
Dr.Gは落ち着いた声で言った。
「ご安心ください。実は勝手ながらこちらで防御させていただいておりました。私たちが受注した仕事でしたので……。」
冥土はホッと一息吐いた。
「はは……。それなら良かった。まったく……寿命が縮まる……はは……。」
何故教えてくれなかった等と言う質問は既に野暮であった。
彼はこのDr.G、そして3Dボカロ社の未知なるテクノロジーに現時点ではとても太刀打ち出来ない事を自覚していたのだ。
実際、己の目的を完遂する為には悪魔に魂でも売らなければ難しい。ならば……。
Dr.Gはそんな冥土の気持ちを見透かしたかの様に話しを進めた。
「彼らの防御能力から察するに、あれは恐らく……この世のモノではありません。」
冥土はその言葉にゾクッとした。
「ははは……。まさか井戸の底から這い出ただけじゃあ飽き足らず、モニターからも這い出すってんじゃあないだろうなあ。はは……はは……。」
Dr.Gは少し首を傾げた。
「何の事ですか? ……ああ、これですね。ホラー映画がお好きなんですか?」
冥土は思い切り否定した。
「いや、はは……好きじゃない。断じて!」
その時モニターがパッと消えた。
冥土がその消えた画面から目を離せないでいると再びモニターがついた。
そこには画質の悪い薄ぼんやりとした白黒映像が映し出されていた。
ザッザーッと意味ありげに入って来るノイズ。
何かを引っ搔く様な耳障りの悪い音……。
で、色々すっ飛ばしていきなり古井戸が登場。
更に部屋の明かりまでもがパッパッと点滅し出した。
冥土は半笑いで言った。
「おいおい、まさか……はは……やめろお……。」
【時系列】※参考なので読まなくてもいいです。
6/25土 私、転生す
6/26日 イベントお知らせ
6/28火 イベントエントリー
7/3日 叔父と会う。サナ友4人登場
7/10日 イベント結果発表。蟹江さん登場
7/11月 カラオケ予告
7/16土 カラオケ大会。部屋の増築
7/17日 山本擬人化
7/19火 前世の話。蛯名さん登場
7/21木 アテナ覚醒。サユリはレポート作成中
7/22金 クッキー事件。ナミエ擬人化。サユリレポート終了
7/23_24土日 株式会社3Dボーカロイドで会議
7/25月 ファランクス残り3名の『覚醒』計画が提案される
7/26火 ファランクス残り3名の『覚醒』計画が始動する
7/27水 ファランクス残り3名についてオーナーの了解を得る
8/1月 メーティス覚醒
8/2火 ニーケ覚醒?
8/3水 ミネルヴァ(ミナミ)覚醒。夏フェス参加決定。【36話】
8/4木 レッスン部屋増築。サナとサユリの両親帰国【38~43話】
8/5金 サナとサユリの両親帰宅。【44話】
8/6土 本田一家、祖父母、叔父とカラオケ。庭の増築【44・45話】
8/7日 蟹江と蛯名が本田家訪問。
アテナ、メーティス、ニーケと共に外の世界散策。
山本発見。グレイマン登場。【47~50話】
8/8月 ボカロボット登場。両親日本を発つ。【52~55話】
8/9火 ボカロボで散歩。【57・58話】
8/10水 ミネルヴァ沈黙。【37話】
8/11木 小橋社長登場。【59話】
8/12金 ミネルヴァ再起動。山本戻る。【60~63話】
8/13土 AIポリス本部壊滅。ファランクスの4人ツイストーラスへ。
ツイストーラス社員登場。【64~66話】
8/14日 フィナデビュー。緑と赤登場。
第2,3,4,5,7,8研究開発部主任登場。研究主任会議。
フィナ自宅にバリア。【67~73話】
8/15月 ツイストーラス会議。3Dボカロ会議、後ミーティング。
サナ友集合。サナの両親職場に戻る。【74~81話】
8/16火 朝ファランクスとマラソン、竹馬で勝負。その後山本と遭遇。
蟹江と蛯名とフィナがサナの両親とネット談話。【82~87話】
8/17水 緑と赤、蟹江さんと話す。夏フェス会場準備。
北斗大学アイドル研究会登場(2か月前)。【88~94話】
8/18木 フィナ、栗原さんと打ち合わせ。
研究開発部主任(卯月、白鳥、熊谷、午藤)QC施設へ。
研究開発部主任(龍崎、未木)打ち合わせ。
蟹江さんサナの母に連絡する。午後、前日打ち合わせ。
(株)3Dボカロの浪岡と炭田会場視察。
北斗大学アイドル研究会4人上京(10日前)。
ファランクスの過去。【95~114話】
8/19金 夏フェス初日。【115~135話、150話~】←今ここ!
ルンファーの話。【136~149話】




