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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
172/624

172 消される記憶

「すみません、話が変わるのですが……。」

 春日クルミが質問した。

「やはり、七天子のやってる事って犯罪になるんですよね。恐らくは……。」


 和田さんは少し言いにくそうに答えた。

「ええ、場合によっては……。ただ、私たちとしましては七天子を罪に問わない様、最大限の努力をしたいと考えています。七天子は得難えがたい協力者であり、多くの人々を救った功労者でもありますからね。今、信頼のおける上の者と対策を協議している所です。」


 蛯名さんは先程から何かを考えていた様だ。

「その対策の事ですが、やはり考えられるとすれば3Dボカロ社が以前作成したプロファイリングシステムを身代わりにするとか、ですかね。」


 小橋社長が蟹江さんの方を見た。

「何よ、あんたたちそんなモンまで作ってたの? プロファイリングって……ドラマでしか聞いた事ない。」

 あ、私もそうゆうドラマ好き。


 蟹江さんは半笑いで言った。

「ええ、一応QC活用の一環としてね。ほら、ビッグデータを効率的に扱うには取っ付き易かったし、お願いされちゃったんで……。」


 早見さんが微笑みながら言った。

「蟹江さんとはそのシステム導入の時に知り合いまして、それから何かとお世話になっています。」


 和田さんが笑顔で言った。

「はい、私たちがそのプロファイリングシステムの担当をやらせてもらいましたので。」


 サユリたちは驚くと共に何故蟹江さんとサイバーポリスの二人がこんなにも仲が良いのか理解した。


 早見さんが皆に言った。

「蛯名さんが言われた事は大いに有り得るでしょう。実際それ以外私には思いつきません。後は七天子からのコンタクトを待つしかありませんが……。」


 和田さんは警備について皆に告げた。

「このビルには元からいた警備員の他に警察の者を数名配置しています。信用できる者たちですのでご安心ください。勿論もちろん明日も私服警官を会場の各所に配置させていいただく予定です。」


 蟹江さんは早見さんたちにお礼を言った。

「それはありがとうございます。警察が居るんなら安心ね。ええと、それじゃあ色々と分かった事だし、今日はもう遅いのでそろそろ解散しましょうか。」


 小橋社長は大きく溜息ためいきいた。

「お疲れ様、もうクタクタ。」


 ん? 何かおかしいな。

 そう、私は敵の事をもっと探れたはずなのに何故かそれをしていない。

 けど、その事には気付いたわけで……。


 私のスキル……防衛的なスキルがどうやら『何かしら』と衝突している様な……。

 緑と赤さえも弾き返すこの完璧なバリアが何者かに侵食されている?

 私の意志がコントロールされている?

 いや、私だけじゃなくここにいる皆の……。


 早見さんも蛯名さんもその事に気付いている様子はない。

 会議は終了し小橋社長と黒木さんは帰り支度を始めた。

 早見さんと蟹江さんは明日の事等を話し合っていた。


 サイバーポリスとの通信は切断され……って私、なに切断なんかしちゃってるんだろう。

 ……あれ? 私は今、一体何を考えていたのかな……この疑問、引っかかりさえも……消えてしまう……。




 とあるマンションの一室で自称ハッカーの冥土めいどセンケツは苛立いらだたしにキーボードを叩いていた。

>失敗したな。何があった?


 しばらくすると返信が来た。

>警察側に情報が漏れた様だ


 冥土は机をバン! と叩くとかすれた声で怒鳴った。

他人ひと事じゃねえぞ!」

>何故漏れた?

>わからない

>どうすればいい?

>ホットラインを引くしかない


 冥土は先方の思わぬ提案に目をいた。

 ホットラインなんか引いたら向こうさんの事、特定できちまうだろう。

>いいのか?

>心配はいらない。こちらの身元は分からない様にする


 冥土は「くそっ、まあいいか」と吐き捨てる様に言った。

 この送信相手は『zouo』。

 闇稼業のサポートを生業なりわいとしている連中らしい。


 初めにアクセスした切っ掛けは一つのメールであった。

 普段は即刻削除する様な宣伝メールだったが、何故か気になり連絡してみた。

 冥土のその時の気分と仕事に関する需要がそうさせたのかもしれない。


 初回は如何程いかほどのものかと試しに人材派遣を依頼してみた。

 するとその派遣された人間は指定した通りの作業をやってけた。

 仕事内容により多少値は張るが、かなり重宝である事は分かった。


 その料金設定は少し変わっていた。

 相手が成功確率を提示し、失敗した場合でもその確率に見合った報酬は支払わなければならない。


 例えば成功する確率が90%のミッションであれば失敗した時の支払いは10%となる。単純に100から90を減じて10%だ。

 逆に成功の確率が30%と提示された場合、失敗した場合でも70%の金額を支払わなければならないのだ。


 今回の場合は成功確率が変動制であった。

 これはミッションが多岐にわたっていたからである。

 ①潜入(90%)

 ②資料及び記録装置の破壊(10~35% 作業内容による)

 ③情報収集(10~35% 作業内容による)

 ※②、③共に遂行(5~15% 作業内容による) ①②③は優先順位。

 つまり今回も大赤字だ。


 ここ最近、何故か情報の漏洩ろうえい頻繁ひんぱんに起こり、どうにもことが上手く進まない。

 とは言え上手く行くものもある。

 上手く行かないのは決まって懐田かいだ絡みの案件含む、つまりコスパルエイド及び3Dボカロ関連の仕事だ。


 冥土はこれらの会社に対してこれと言ったうらみは無かった。

 確かに失敗続きで頭に来てはいたが成功する見込みの無い仕事に金や時間を費やす程の執着は無かったのだ。

「あ~あ、もうこれ関連の仕事、めっかなぁ。はは……。」


 するとその時、先方から今までとは違う調子の文章が送られて来た。

>いつもお世話になっています。私はこの組織を取りまとめている者です

「何だぁ~!?」

 冥土はおのれにごった眼球をモニターに近づけた。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母


【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス

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