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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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171 情報提供者の窮地

 蛯名さんは話を先に進めた。

「それでは一応、七天子の正体は置いておきましょう。問題は今後予想される攻撃にどう備えるか、注意すべき点は何か、と言った所でしょうか。後、他に何かあれば言ってください。」


 蟹江さんが「はい」と言って挙手した。

「フィナとファランクスはこの件に首を突っ込まない方がいいと思う。下手すると七天子の二の舞になるし、マネージャーのみんなもまだ若いでしょう? そんな危険にさらすわけには行かない。」


 サユリとファランクスのマネージャー4人はうなずきこそしないものの、それを黙って聞いていた。

 小橋社長はそんな彼らを心配そうにながめながら何か言おうとして、めた。


 早見さんは蟹江さんの意見に賛同した。

「そうですね、その方が良いかと思います。とは言え既に敵からチェックされている可能性もありますから常に警戒は必要です。まったく無関係と言う訳にはいかないかもしれません。」


 蟹江さんは「そうね」と言ってうなずいた。

「確かに。今回のバリアーにしてもそうだけど間接的に協力してもらわなければならないかも。」


 早見さんは更に話を付け加えた。

「ご迷惑おかけします。私たちも出来得る限り皆さんの安全を確保いたしますが、くれぐれも行動は慎重にお願いします。」


 サユリとファランクスのマネージャーたちは頷いた。

「わかりました。気を付けます。」


 早見さんはそれを聞いて微笑んだ。

「よろしくお願いします。それと、実は相手の正体について海外の組織や国家がからんでいる事は先程言った通りなんですが……どうやらそれらを操っている黒幕連中が存在しているらしいんです。七天子は彼らを『ミュラノス』と呼称こしょうしています。組織としてまとまっているのだとすれば危険度は更に高くなるでしょう。」


 小橋社長が不安そうな顔で聞き返した。

「え、それじゃあその七天子でさえも素性が分からないって事? そんなのが黒幕じゃあどうしようもないじゃない。」


 和田さんは小橋社長の意見にこたえた。

「はい、確かに一時期は七天子も苦戦をいられていた様です。しかし、時が経つに連れて対処の仕方を得た様で、最近では以前同様、完璧なまでの証拠を提示出来るまでになっています。」


 小橋社長は和田さんの話しを聞いて少し安心した様だ。

「そうなの? う~ん、それならまだ大丈夫なのかな……。」


 蛯名さんはこれらの話しから推測した。

「ただ、今回についてはやや杜撰ずさんだったと言う事ですね。その、証拠集めにしても連絡のタイミングにしても。となると……敵に七天子の正体がバレる可能性が大きくなったと言わざるを得ないですね。」


 小橋社長が首をひねりながら蛯名さんに聞いた。

「え、どう言う事?」


 黒木さんがそれに答えた。

「つまり情報提供者は今回の事件に近しい人、言ってしまえば夏フェスの関係者って事じゃないでしょうか。そうですね……例えば、もしその七天子がファランクスだったらって考えるとどうなりますか?」


 小橋社長は黒木さんの方を見て言った。

「ああ、練習や何やで情報さぐってる場合じゃなかったって事? で、この会場に来てたから何かのはずみで犯人の事を知ってしまった……。」


 皆が思った。小橋社長、意外に鋭い!

 蟹江さんが余計な一言をニヤけながら口にした。

「小橋社長たまに、ホントたまにだけど鋭いのよ。ね!」

 小橋社長は蟹江さんの茶々を気にする事なく自慢げな態度を取った。


 早見さんが真面目な顔で言った。

「蛯名さんと小橋社長のおっしゃる通りです。七天子を敵から守る、私たちが皆さんにご相談したかったのはまさにその事についてなんです。」


 蛯名さんは早見さんの言わんとする事を確認した。

「つまり相談と言うのは七天子の身の安全をどう確保するかって事ですか。」


 これには和田さんが返答した。

「はい、七天子も恐らくこの事、つまり身バレの可能性に気付いていると思われます。それで、これはくまで私たちの予想に過ぎませんが、七天子はこちらか、あるいは3Dボカロ社に打開策を持ち掛けて来るのではないでしょうか。」


 蟹江さんは自社の名を聞いて少しドギマギしていた。

「え、うちの会社にですか? それは、どう言った用件なんでしょう。」


 和田さんは蟹江さんの疑問に答えた。

「すみません、その前に一つ。私たちは当初会議や報告書において七天子の存在を『謎の情報提供者』として伝えました。が、次以降は自分たちの調べで分かった事にしてあります。勿論これは七天子の身柄を敵から守る為です。何処いずこから情報がれるか分かりませんので。」


 蟹江さんが感心した。

「へえ、すごい。よくそこまで気が回りましたね……。」


 和田さんは軽く微笑み話を続けた。

「それで先程のお話なんですが、今申した事を踏まえて七天子からされるであろう提案を予想しますと、例えば証拠収集の方法を七天子以外の何かに置き換える、とか……。」


 柿月ユタカがポツリと言った。

「成程、今回の事が七天子にとって計算外の出来事だったのであれえばそれも有り得ますね。」


 星カナデが疑問に思っていた事を口にした。

「でも、あれだけの事をって退ける人が何でこんな単純なミスをしたんだろう? 他にいくらでもやり方があったと思うんだけど……。」


 それについてサユリが意見を言った。

「つまり、今回の犯人は単なる愉快犯ではなかったって事じゃない? それだけ切羽詰まってた、何か重要な目的があったんじゃないかしら。だから身バレの危険性を承知で手を打った。」


 星カナデは腕を組んで考えた。

「目的かあ……確かに警備員に成り済ますなんて単なる愉快犯じゃあないんでしょうけど。」


 大地ミノルがぼそりと言った。

「まあ、今それを知るすべはないからね。犯人が自白でもしない限りは。あるいはプロファイリングとかか? まあ、どう頑張っても人の心は読めないしなあ……。」


 蛯名さんは蟹江さんと目を合わせて少しほくそんだ?

「ところで先程3Dボカロ社にも連絡が来るかもしれないとの事でしたが、七天子はフィナさんのバリアーを越えられるんでしょうか? 電話は流石さすがに危険ですし。」


 和田さんはその蛯名さんの意見を聞いてハッとした表情を浮かべた。

「確かに、超えられないかもしれませんね……。まあ、その場合は先に私たちの方へ連絡が来るんだと思いますが。」


 早見さんは和田さんの話しに頷いた。

「先に私たちの方に連絡が来る可能性が大きいわけですね……。けど、どうかしら。正直、七天子は私たちとのコンタクトを極力避けたがっている様ですから。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母


【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス

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