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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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164 通報したのは誰でしょう

 大企業コスパルエイド社の十勝会長と空知副社長、そしてその子会社である3Dボカロ社の金本社長はホールの出入り口まで差し掛かった。

 金本社長がホールのドアを開けて通路を少し歩くと、そこにはロビーが広がっていた。

 数人の来賓が楽しそうに記念写真を撮ったりおしゃべりをしたりしていた。


 蟹江たちは金本社長らの少し後から付いて来ていた。

 蛯名が蟹江の方を向いて小声で言った。

「蟹江さん、黒バットですって……。」


 蟹江は渋い顔をして言った。

「うっわ。こんな所にも出て来たの。ホントいい加減にしてほしい!」


 3Dボカロ本社の鯛島たいじまテツコがその言葉にうなずいた。

「サイバー攻撃出来なくなってからずっと影をひそめていたのにね……。」


 セキュリティが強化された為、数年前から黒バットのサイバー攻撃は無効化されていた。

 逆に探知されるのを恐れたのか、ここ最近は攻撃の一つすら仕掛けて来なかったのだ。


 蛯名は腕を組みながら言った。

「今度はアナログで来たか。ちょっと怖いですね。」


 蟹江は大いに同意してまゆひそめながら身を震わせた。

「怖い! 実際に来るんでしょう……やだ!」


「国とかマフィアが関係してるって話しですよね……。」

 この蛯名の一言は蟹江を更に怖がらせた。

「ちょっと! やめてよ、もう。」


 鯛島はフフッと笑った。

「まあ、私たち個人を攻撃する事はあまり無いんじゃないかな。狙いは恐らくデータの収集と破壊でしょうから。ま、用心するに越した事は無いけど。」


 蟹江は今一いまいち納得していない様だ。

「ミサイルなんか飛んで来たらどうしよう……。」


 蛯名は「そう言えば」とある疑問を口にした。

「さっき通報があったって警察の人、言ってましたよね。で、思ったんですけど、よく不審者がいるって気付きましたよね。通報した人……。」


 蟹江は蛯名の方を見て言った。

「あら、そう言えば。警備員の服装してたんでしょう、不審者って。」


 蛯名は考えながら言った。

「他の警備員が気付いたとしてもずは自分たちで確認するんじゃないですかね。確認してから通報したのかな?」


 蟹江は自分の意見を言った

「でも、警察がビルに乗り込んでって逮捕したんでしょう。確認したのなら警備室かどっかに監禁しておいて引き渡すとかするわけじゃん。」


 蛯名はその意見に同意した。

「となると、何処どこかの誰かが気付いたんでしょうね……どうやって? 私だったら気付かなかったと思う。変だなって思っても通報まではしなかった。」


 鯛島は考える様な仕草をした。

「確かにそう言われると不思議ね。仲間割れかなんかかしら。」


 3人は話しをしている内にこの『通報者』に関して妙な違和感を覚えた。

 蟹江は思い立ったように自分のスマホを取り出して言った。

「早見さんに聞いてみようか。サイバーポリスの。」


 3Dボカロ社は以前QCの活用事例を模索もさくする試みの一環として警察で使用する為のプロファイリングシステムを考案していた。

 その性能は思った以上の効果を発揮し、システムは今以いまもって捜査に利用されている。


 導入時には様々な手続きが必要であったが、その時に警察側の中心となって動いてくれたのがサイバーポリスの早見ライザ室長と研究部リーダーの和田サトシであった。

 その様な経緯けいいがあり蟹江と早見は気軽に連絡を取り合える仲となっていたのだ。


 緑と赤の件で彼女たちを呼んだ上、フィナの実体を打ち明ける事が出来たのも、この2人への信頼からだった。


 鯛島はスマホを起動している蟹江に言った。

「さっき事件があったばかりだし、忙しいんじゃないの?」


 蟹江はハッと気付いた。

「そうか……。でも、こういう忙しい時の情報って結構重要だったりするから……どうしようか。」


 蛯名は注意喚起した。

「スマホは普通の回線なので盗聴される危険性もあるんじゃないですか?」


 蟹江は蛯名の方を見て「成程」と言いながらコクコクとうなずいた。

「それじゃあメール? 分からない様な文章で。『連絡ください』だけとか……。」


 蛯名は提案した。

「フィナの携帯パック……ボカロボから通話すれば大丈夫なんじゃないですかね。」


 蟹江と鯛島は「それだ!」と声を揃えて蛯名の方を指さした。

「あ、ごめん。指さしちゃって。そんじゃあフィナの所に着いたら連絡とってみよう!」


 蛯名は自分で言ってみて気が付いた。『ボカロボ』の方がしっくり来るな……。

 けど、字面じづらが似ていて文章だと判断がつきにくい。

 『ボカロ』と『ボカロボ』……『ボ』が2回来るから錯覚しちゃう。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

<本部>

金本センタロウ … 社長。ボカロ協会会長。空知モモエの幼馴染

 波岡ギンペイ … 営業部部長

  営業部社員 … 炭田ヒサエ、塩谷しおたにリュウイチ、海原セレン

 銅崎ササエ … 人事部部長

  人事部社員 … 白木ジン、水谷テナ

 鯛島テツコ … 経理部部長。研究開発部担当

  経理部社員 … 浪江なみえリョウ、加硫かりゅうナツエ


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母

 栗原ユウヒ … イベント担当。妹のヒマリと同居。バツ1


【株式会社コスパルエイド】大手IT企業。3Dボカロの親会社

 十勝ジュンイチロウ … 会長。代表取締役。蟹江さんの叔父。十勝エイトの祖父

 川上リョウ … 社長

 空知モモエ … 副社長。金本社長の元上司で幼馴染



【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス

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