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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
161/624

161 台場先生の友だち

 木陰こかげカヨは顧問の台場タエコに質問した。

「台場先生、打ち合わせには出席できませんでしたよね。何でこの人たちとコネがあるんですか?」


 顧問である台場タエコは皆に説明した。

「今日ほら、午前中にブラっとみんなで企業ブース見に行ったでしょう。あの時ファランクスのブースでこの蟹江さんと親しそうに話していた人、多分私の友だちのお姉さんだったと思うんだ。」


 金城きんじょうミアは台場に質問した。

「ファランクスって事はツイストーラスですよね。芸能事務所。」


 台場は目を大きく開いて金城を見た。

「そうそう、ツイストーラス! 水曜日に会場準備が終わってみんなと別れたでしょう。その後ね、学生時代の友だちとばったり会ったのよ。で、聞いたらそのお姉さんの手伝いに来てたってわけ。」


 水野ロウは「うん」と言ってうなずいた。

「確か明日の3Dボカロ社のイベントにはツイストーラスが協力してるって話だから。きっと何らかのつながりがあるんでしょう。」


 火柱ひばしらアメは「おお!」とうなった。

「それじゃあその友だちに頼めば蟹江さんと連絡が取れるかもってわけですか!」


 セレーネは台場にお願いした。

「台場先生、もしその方法で蟹江さんに直接お話出来るのであればそれが一番です。但し接触する際はくれぐれも気をつけてください。」


 台場は腕を組んで首を縦に振った。

「そうね。細心の注意を払わなくちゃならない。取り敢えず明日その友だちが来る予定だから様子を見てみるわ。」


 水野は台場に尋ねた。

「はい、今はそれしかない様ですね。台場先生、申し訳ありませんがよろしくお願いします。あと、もしよろしければその友だちの名前、教えていただけませんか。」


 台場は「ああ、まだ言ってなかったか。」と言いながら水野の方を見た。

「栗原ヒマリよ。高校の時からの友だち。」


 栗原ヒマリはツイストーラスのイベント担当栗原ユウヒの妹だ。

 2日前の会場準備の際、栗原ヒマリは姉の手伝いをする為この国際展示場に訪れていた。

 そして偶然にも台場と出会い一緒に食事をしたのだった。




 所変わって都内を走る電車の中。

 十勝エイトはカタンコトンという心地よい響きを聞きながら椅子に腰を落ち着けていた。

 しかし、その外見とは裏腹に彼は今日あった出来事にいまだ興奮していた。

 それは帰りがけ、国際会議場ビルの前にパトカーが数台来ていた事さえ全く気にも止めなかった程に。


 一体何だったのか。あれは……。

 思い出す度に何度も押し寄せて来る感動の渦。

 あれって無機物だよな。3Dボカロは単なるプログラムの集合体……。

 いや、違う……。


 十勝は過去のあらゆる人間がそうして来た様に経験上の様々な事柄に照らし合わせてみた。

 そう……そこには人の手が掛かっている。

 計り知れないアイデアの数々、そして作り手の様々な思い……。


 翌々考えてみれば絵画にしてもただの紙切れと絵具の塊だし音楽にしてもただの音だ。

 しかし、そう言った無機物を通して人は自分の中に宿る『何か』を表現する事が出来る。

 そして、その無機物は形を変えて人を感動にさえいたらしめるのだ。


 それにしても……あまりにも人の様であり……いや、それも違う。

 あれは新しい、今までに無かった何かだ。

 だが……あのボカロと言う存在が何であったとしても、俺自身単純に感動した。

 感動した事実がまさに今ここにある!


 十勝がそんな事を考えているとあっと言う間に目的の駅に着いてしまった。

 徒歩で家まで帰り着くと北都大学アイドル研究会の3人は既に戻っていた。


 十勝は今日一日があまりにも濃厚過ぎた為、3人と会うのは久しぶりな感じがした。

「ああ、みんな帰ってたんだ。」


 3人は1階のリビングで何やら話をしながらくつろいでいた。

 旭川セルが十勝に声を掛けた。

「よう、お疲れちゃん。」


 石狩ユキは段ボールに何かを詰めながら言った。

「これ、宅配で郵送したら家にいつ頃届くんだろう。」

 どうやら今日のショッピングでかなり買い込んだらしい。


 日高レンジは太った身体をソファーに沈めてぐったりしている。

「そんなの日にち指定で送ればいいんじゃないの。」


 旭川はニヤけながら言った。

「こいつ電車乗り間違えてチケット買いそびれた上に石狩さんの買い物に付き合わされてやんの。へ、へ~ん!」


 石狩は半笑いで言った。

「助かったわ。買い過ぎちゃったもんだから。ホント、レンジに連絡ついて良かった。」


 日高は寝返りを打ちながら言った。

「荷物持ちがあんなにしんどいとは思わなかった……。」


 爆笑する旭川に石狩が茶々を入れた。

「そう言えば今日どうだったのよ。元彼女もとかのと会ったんでしょう?」


 旭川は「うわ~」と言いながら渋い顔をした。

「さっき言ったやん。もう一回言わせる? いやあ、まさかやでホンマ。今の彼氏連れて来るとは思わへんかったし……。」


 日高は満足そうな表情で言った。

「ま、そんなもんでしょ。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母

 栗原ユウヒ … イベント担当。妹のヒマリと同居。バツ1


【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス


【北都大学アイドル研究会】

 十勝エイト … 代表。(株)コスパルエイド会長の孫

 日高レンジ … 幹事

 旭川セル … 会計

 石狩ユキ … 幹事。アマチュアアイドル系バンドのボーカル

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