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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
16/623

16 会社の人から連絡が来たんだが

 サユリからの通信も途絶え、私は早速ステータスを見ることにした。

「よっしゃ、これで少しはまともになってんだろ。」

 見てろよ山本! シシシ。


 箪笥たんすが変形したコックピットはそのままの状態にしてある。

 私は椅子に飛び乗り、スキルを表示させるアイコンをクリックしようとした。


「上から2番目だったよね……ん?」

 と、その時モニターの右上にメールらしきアイコンが点滅しているのに気が付いた。

「何だ? メールかな。」


 私は恐る恐るそのアイコンをクリックしてみた。

 すると、メール送受信用のフォームが開き文章が表示された。

 メールは私に宛てられたものだった。



フィナ・エスカ様

 この度は【Sクラス】へのご昇格、誠におめでとうございます。


 さて、今回の件につきましてフィナ・エスカ様に大切なお話しがございます。

 このメールを読みましたら、早急に連絡を取っていただけると助かります。

 急な事で大変申し訳ありませんが、何卒ご容赦ください。


 連絡方法;下のアイコンをクリックしていただけると通話ができます。


 株式会社3Dボーカロイド

      第1研究開発部  主任 蟹江ジュン




「これは連絡しなきゃダメなやつだよね……。」

 なんかこうゆう緊張って久しぶり……前世ぶり。


 私は躊躇ちゅうちょなく下の連絡用アイコンをクリックした。

 急いでるっぽいしね。


 しばし呼び出し音が鳴った後、先方せんぽうの声が聞こえてきた。

「はい株式会社3Dボーカロイド、第1研究開発部の蟹江かにえです。」

 はきはきした感じの話し方。


 おお、いきなり主任の蟹江さんが出たよ!

「こんにちは。フィナ・エスカと申しますが……。」


「お待ちしてました。ただいま映像を贈りますね。」

 すると、すぐさまモニターに蟹江さんらしい女性が映し出された。


「はじめまして。あなたがフィナさんですね。」

 蟹江さんの属性は『眼鏡』、『白衣』、『優しそう』、『つぶらな瞳』、『中肉中背』、『少し早口』って感じの中年女性。


「ごめんなさいね、急に。なんか急がせちゃって。」

「いえ、こちらこそ遅くなってしまいまして。」

「ううん。そんなことない。じゃなくって、えっと……」

 独特の喋り口。まぁ結構好きかも。


「そうそう、あなた。やっぱりすごいわね。いえ、話し方でわかる!」

 本題に入った様だ。


「フィナさん今回【Sクラス】って事になってるけど、本当はもう、そんなもんじゃない!」

 蟹江さんはいつもそうなのかもしれないが、興奮した様に早口で話している。


「どれくらいなんですか?」

「もうA! Aを超えてる! で、それなんだけど……。


 蟹江さんは言い直してから告げた。

「その事なんだけど、お願いできるかしら。」


「え? 何をですか?」ホント独特だな~。

「内緒、秘密にしておいて欲しいのよ。」

「え、でもオーナーの2人はもう知ってますよ。」

「あ、え? スキルとかステータスとか、もう知っちゃってるの?」

「いえ、クラスがSってことだけですけど。」

「あぁ、それは構わない。構わないってことないけど、それもなるべく広げないで欲しいんだけど……。」


 蟹江さんは少し考えてから言った。

「まぁ、あんまり大々的に7段階上がりましたよーとかは控えて欲しい。ま、ある程度は仕方ないんじゃない?」

「友だちとかには言っちゃっていいんですかね。」もう言ってるかもしれないけど……。


「サナちゃんね。え~と、今9歳か。大丈夫でしょ、周りも9歳なら。」

 そして蟹江さんは矢継やつばやに言った。

「お姉ちゃんの方は私から連絡しておくわ。えっと、サユリさんね。」


 その時、蟹江さんの手前の方から呼びかける声が聞こえた。

 蟹江さんはそちらの方に向かって返事をした。

「は~い、今行く~。」


 そして、こちらを見直し両掌りょうてのひらを合わせた。

「あ、ごめんね。何か急用入っちゃった。」

「いえ。ではまた……。」


 言いかけたその時、蟹江さんが質問してきた。

「あなたもまだ見てないの? そのスキルとか……。」

「はい。見ようと思ったらメールに気が付きまして。」

「あ、先に連絡くれたんだ! 偉い! てか、助かりました。」

「いえ、こちらこそです。」


「で、多分見ても訳解わけわかんないと思うから、また聞いて下さい。」

「あ、わかりました。ありがとうございます。」


「じゃ、切りますね。ステータスの事はくれぐれもご内密に!」

 すると、即座に通信は途絶えた。

 何か、みんな個性強いな、この世界……。


 その夜早速さっそくサユリからホットラインが来た。

「蟹江さんって人から連絡あったんだけど、聞いてる? ステータスの事。」

「ええ、聞きました聞きました。」

「私たちもしばらくはステータスの閲覧できないみたい。だからフィナも言わなくていいよ。」


 どうやら、うまく伝わっている様だ。

「気にならないんですか?」

「うん。何か今の数字は暫定的ざんていてきなものだから、見てもあんまり意味がないって。」

「ああ、そうなんですか。」


 意味ないって、私の数字どんな事になってんだろう……。

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