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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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156 どどど、どうしよう!

 それを単に『情報』と言う名で呼んでも良いものか。

 だが、それ以外の表現をってしても言い尽くせるものではない。

 だからここではえて『情報』と言う言葉を用いよう。


 人間と『情報』はお互い無くてはならない存在であり、ある意味一体であるとも言える。

 人間のあらゆる言動はこの『情報』と言うものに大なり小なり左右される。

 それが内的なものか、または外的なものかにかかわらず。 

 これは他の生物についても同様に言える事だろう。


 さて、この『情報』を数値化した時、(x,y,z)の様に3つあるいはt(時間)を含む4つの要素だけで表現できる事は、理想状態を想定した思考実験でもない限りまれだ。

 しかもそれを送信、受信する人間にとって出力または入力し易い形に多少なりとも変化が生じる為、それをも考慮すると多種多様な要素による表現が必要となる。

 だが、ここではえて『情報』をマクロにおける物質の性質に置き換えてとらえたい。


 物質に個体・液体・気体の三態さんたいがある様に『情報』にも様々な形態があると思われる。

 例えば物質と同様に三態があると考えれば……。


 『情報』が個体【土】である場合、この『情報』は一つの形を為しているものと考える。

 それは学校で学ぶ様な知識であったり、一つのプログラムであったり。

 言葉や絵など人間が表現できるすべての事柄。

 つまりすでに決定されていて変え難い『情報』。

 我々が普段から情報または知識などと呼んでいる事柄だ。


 それに対して『情報』が液体【水】であるとは、それが不確定な場合を示す。

 可能性として存在し、場合によっては真にも偽にもなる。

 とても流動的で不確定な『情報』だ。


 それでは『情報』が気体【日】であるとはどう言う事か。

 人間にはまだ認知できていない状態の『情報』(本来なら情報とは呼べないかもしれないが)。

 しかし人間が気付けていないだけで確実に存在している。

 それは何かの拍子で液体や個体となる可能性を秘めた状態で、あちらこちらに点在し法則に従って運動している。


 時に『情報』はエネルギー【火】を持ち、あっと言う間に人間社会へと拡散してしまう。

 時に変形しながら、時に修正しながら。

 そしてついには一人の人間、一つの集団の動向を大きく変えてしまう場合もある。


 また、『情報』と『情報』が何かしらの法則に従って結びついたり新たな発見が生じる事もある。 まるで一つの物理法則の発見が新たなる法則の発見につながるかの様に【金(法)】。


 しかし、それらの『情報』も人間あってこそ価値が見い出されるのだ。

 任意の『情報』と任意の人間を結びつけるもの【木(風)】は果たして偶然か必然か……。


 土、水、日、火、金、木……。それぞれ別々とされるものには境界が存在する。

 そして、その境界をつらぬき、破壊し、或いは改変し、すべての形を結びつける存在【月】がそれらを一つの法則へと導く。




 月影ユメはわめいていた。

「うわ~ん。こあいよ~!」


 火柱ひばしらアメがくちびるがらせて言った。

「しょうがないでしょう。ここ最近は練習練習で忙しかったんだから。だいたい今回の原因を作ったのだって言ってしまえばあんたなんだからね。」


 水野ロウがセレーネに質問した。

「実際、身バレする確率はどれくらいなの?」

 セレーネは新たに会得したスキルによって憑依ひょうい状態ではなくてもユメたちと直接会話できる様になっていた。

 但し、Vユメが睡眠状態の場合は交信できない。


 セレーネは少し小さな声で言った。

「ほぼ……絶望的です。早見さんたちに身バレするのは時間の問題でしょう。後は敵さんが気付かない事を祈るのみです。」


 恐怖におののく月影を木陰こかげカヨが半笑いでなぐさめた。

「はわわわわ……。」

「よすよす……。」


 ここは彼女たちの顧問である台場タエコが運転する小型バスの中。

 乗車しているのは夏フェスのライブで大成功を収めたばかりの『南宮なんのみや大学アイドル研究会ルンファー』の面々である。


 ルンファーはユメ、アメ、ミン、カヨの4人組ボカロユニットである。

 マネージャーはそれぞれ月影ユメ、火柱アメ、水野ロウ、木陰カヨ。

 他には後輩の金城きんじょうミア、日土ひづちモモ、日土ミカンの3人が同乗していた。


 広めの車中には列のそれぞれにモニターが備わっており、そこにはユメのナビゲーターである阿弓あゆみセレーネが少し困惑した表情で映り込んでいた。

 話は前後するが、姿が見えた方が何かと伝わり易いと言う理由わけでセレーネは可視化されていた。


 セレーネの姿はウェーブのかかった長髪、知的だが優しさがにじみ出て来る様な黒い瞳を持つスレンダーな美女。


 ちなみにアメ、ミン、カヨにもナビゲーターがおり、それぞれ囲井かこいヘスティア、魚住アンフィトリテ、花城はなしろフローラが担当していた。


 また、後輩の3人もそれぞれ自分のボカロを育成していた。

 金城ミアは父が社長を務める株式会社猫キャットの脅迫事件が去年の1月にあった為、3Dボカロのソフトを購入したのはその年の2月末になってしまっていた。

 ボーカロイドの名前はミアで、ナビゲーターは宇佐美アフロディーテだ。


 日土ひづちモモと日土ミカンは双子であり、去年の3月まで交換留学生として日本を離れていた。

 その為、3Dボカロソフトの購入は去年の5月ごろであった。

 ボーカロイドの名前はモモとサンで、ナビゲーターはそれぞれ耕崎こうさきガイア、天童エオスがになっていた。


 そして何故かすべてのナビゲーターがセレーネと同じ様な能力を持ち合わせていたのであった。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母


【警視庁サイバーポリス】

 早見ライザ … 特殊犯罪対策室の室長

 和田サトシ … 特殊犯罪対策室研究部のリーダー


【ルンファー】

 南宮なんのみや大学「アイドル研究会」の女性ボーカロイドユニット

 研究会顧問は台場タエコ

 (株)ノアボカロシステム 芸能事務所に所属


 ユメ … マネージャーは月影ユメ。ナビは阿弓セレーネ

 アメ … マネージャーは火柱ひばしらアメ。ナビは囲井ヘスティア

 ミン … マネージャーは水野ロウ。ナビは魚住アンフィトリテ

 カヨ … マネージャーは木陰こかげカヨ。ナビは花城フローラ

 ミア … マネージャーは金城きんじょうミア。ナビは宇佐美アフロディーテ

 モモ … マネージャーは日土ひづちモモ。ナビは耕崎ガイア

 サン … マネージャーは日土ひづちミカン。ナビは天童エオス

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