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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
153/624

153 ファランクスが来る前に自慢する!

 調子に乗った私はプロペラを起動させた。

「空だって飛べちゃうんですよ! あ、危ないから近づかないでください!」

 見よ! 私の運転テクニックを!


 プロペラはゆっくりと回転し、やがてヒュンヒュンと音を立てて勢い良く回り出すとボカロボはフワッと宙に浮いた。

「おおおお!」

 サユリと小橋社長、黒木さんの3人は驚いた様子でボカロボをながめた。


 私は奥の方に設置されている机の近くまで行くとアームを作動した。

 そして置かれていたからのペットボトルをがっしりとつかみ、そのままゴミ箱へ捨てて見せた。


 小橋社長が拍手をしながら言った。

「へええ、びっくりした! まるでロボットじゃないよ!」


 私は元居た場所に舞い降りた。

「えっへっへ。どうですか、結構すごいでしょう!」


 小橋社長は私に質問した。

「え、何? ファランクスのやつもそれ、できるの?」


 私はその質問に答えた。謙虚に……。

「はい、彼女たちの方が上手いんですよ。その……操作とか。」


 小橋社長はサユリの方を見て言った。

「知ってた?」


 サユリは興味深げにボカロボの底の部分を確認していた。

「話には聞いてたんですけど見るのは初めてです。このタイヤは知りませんでしたけど。へえ、こうなってるんだ……。」


 小橋社長と黒木さんも例のタイヤの部分を見せてもらっていた。

「これ3Dボカロが作ったのかしら。こんなのも作っちゃうの?」


 黒木さんが言った。

「まあ、あそこは凄い研究者がそろってますからね。それにほら、コスパルエイド系列の会社に発注したのかもしれませんし。」

 小橋社長は黒木さんの話を聞いて「へええ、そうなんだ」と感心していた。


 サユリは思い出した事を2人に言った。

「でもこれ、極秘扱いって言ってましたよ。QCをロボットに積み込んで良からぬ事に利用しようって人もいるので。」


 黒木さんはうなずきながら肯定した。

「そうですね。私たちも蟹江さんたちから聞いてます。武装ロボットなんかに使われたらそれこそ一大事ですからね。」


 小橋社長は黒木さんの方を見た。

「ええ? そんな事言ってたっけ……。あ、何か言ってたわ。まったく物騒なものばかり作って。ねえ。」


 サユリはボカロボを机の上にゆっくりと置いた。

「QCを扱うからにはそれなりに気を付けなくちゃいけない事もありますから。まあ、緑と赤の事もそうですけど、私たちって結構重要な機密とか聞いちゃってるんですよね。」


 黒木さんは小橋社長に尋ねた。

「小橋社長、他の人にフィナさんたちの事言ったりしてませんよね。」


 小橋社長は文句を言いたげな顔をした。

「ちょっとお。いくら私でもそん事言わないわよ。さすがに……ん? 大丈夫よね……。」


 部屋のドアがガチャっと開き、ファランクスのマネージャー4人がボカロボを持って入って来た。

 星カナデがサユリに声を掛けて来た。

「あらサユリ、もう戻ってたんだ。」

「うん、ちょっと休んでたところ。」


 小橋社長が柿月ユタカに尋ねた。

「みんな、お疲れさんね。蟹江たちはまだ何かやってんの?」


 柿月ユタカは返答した。

「はい、まだしばらくかかるみたいなので先に帰っててくれって言ってました。」

 小橋社長は「あ、そう。」とだけ言った。


 大地ミノルが春日クルミに尋ねた。

「春日さん、この金庫でいいのかな……。うわ、結構でかいな。」


 クルミは金庫の方を見やりながら言った。

「うん、それだと思う。開けてもらったら?」


 小橋社長が口をはさんだ。

「え? 金庫がどうしたの?」


 ミノルが答えた。

「あ、その金庫にボカロボを保管しておくんですが。」


 小橋社長は思い出した様に言った。

「ああ、聞いてる聞いてる。その金庫ね。」


 私たちはボカロボに入ったままこの金庫で一泊する事になっていた。

 金庫には電源が装備されており、充電も可能だ。

 朝までゆっくり眠って、起きたらライブ2日目開始って感じだ。


 黒木さんが小橋社長に確認した。

「では金庫の鍵、開けますよ。」


 小橋社長は返事をした。

「はい、お願い。あ、そう言えばあなたたちボカロボ……だっけ。空飛べんの知ってた?」


 ユタカは笑顔で答えた。

「ええ、プロペラですよね。後はボール型のタイヤと。」


 小橋社長は残念そうに言った。

「何だ、知ってたんだ。え、知らなかったの私たちだけ?」


 黒木さんは預かっていた鍵を使って金庫を開けてくれた。

 下の方には何やら書類などが収納されていたが、上段から中段にかけてボカロボがぴったりと収まりそうな8つの空間が用意されてあった。


 ん? 何か、パトカーの音がする……。

 久しぶりに聞いたなあ。

 あ、聞こえなくなった。

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子


【株式会社ツイストーラス】フィナとファランクスが所属する芸能事務所

 小橋レイナ … 社長、代表取締役

 黒木ナナ … 副社長。1児の母

 須賀ユウタ … 専務。2児の父。車とバイク好き

 佐山クロウ … 営業担当。体格がいい

 大村マツリ … 営業担当。ナイスバディ。おしゃれ

 下尾ライト … 制作担当。プラモデルが好き

 竹ヒマリ … 制作担当。絵やイラストがうまい

 栗原ユウヒ … イベント担当。妹のヒマリと同居。バツ1

 小宮山ネイネ … キャスティング担当。投資家

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