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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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139 ユメ誕【2年前の話】

 次の月曜日、月影ユメは早速さっそく3Dボカロのソフトを学校に持参した。

 皆、まだ包装もそのままの新品を物珍しそうにながめた。

 水野ロウは席を立ちながら言った。

「じゃあ先生呼んで来るね。」


 木陰こかげカヨは「うん、お願い。」と返事をすると月影に言った。

「それじゃあ説明書でも見ておきましょうか。」


 月影は無造作に包装を取り除くと箱を開けて中にあるものを取り出した。

 そこにはハードディスクと小型のメモリー、1枚ものの説明書、各種専用ケーブル等が1つのケースに収められていた。


 月影はケースを開けて説明書を取り出すと「はい。」と言いながら木陰に手渡した。

 木陰は当たり前の様にそれを受け取るとユメに言った。

「スマホは持ってるよね。それをこの専用ケーブルを使ってパソコンにつなげるみたいよ。後このハードディスクとメモリーも繋げて。あ、パソコン立ち上げる前にね。」


 火柱ひばしらアメと金城きんじょうミアが附属品のハードディスクとメモリーを専用ケーブルでパソコンに繋げた。

 月影も自分のスマホとパソコンをケーブルで繋いだ。

 パソコンを立ち上げてからしばらくすると、モニター画面に長方形の枠が現れ次の様に表示された。


 端末とパソコンを同期させますか?


      YES NO


 YESをクリックするとさま同期は完了した。

 『次に』、『次に』と手順を踏んでいくと『ソフトをインストールしますか?』の表示が現れた。


 月影ユメは木陰カヨの方を見た。

「『YES』でいいの?」


 木陰はうなずきながら言った。

「一応クリックしてみん。」

 月影が『YES』をクリックすると長方形の枠が現れた。

 そこには『QCの環境が整っていません』等と表示されている。


 木陰は言った。

「まあ、そうよね。後はQCと繋いでからってとこかな。」


 ちょうどその時コンピューター室のドアが開き、水野と顧問の台場だいばタエコが何やら話しながら入って来た。

 木陰はあまりのジャストタイミングに喜んだ。

「先生、ちょうどQC待ちの所です。」


「あ、そうなんだ。ちょっとそこ座ってもいい?」

 そう言うと台場はゆっくりとパソコンの前の椅子に座り持参のセンサーを繋げて指紋と目の認証をクリアするとパスワードを入力した。


 台場は南宮なんのみや大学の講師だがコンピューター室が大学の管轄かんかつである事から附属高校の『情報』の授業も担当しており、そのかたわらパソコン部の顧問も引き受けていた。


 画面上にQC連携用のフォルダが開かれた。その中にあるソフトをインストールすると台場は「ふう」と言いながら皆に伝えた。

「はい。これで行けるんじゃないかな。」


 木陰は月影に指示した。

「ユメ、さっきの画面に戻ってもう一回やってっみん。」


 月影は台場の座っていた椅子に座ると再度『YES』をクリックしてみた。

「あ、インストールが始まったよ!」


 水野は台場にお礼を言った。

「台場先生、どうもありがとうございます。」


 台場は水野の方を向いて言った。

「まあ、あなたたちなら心配ないと思うけど管理の方はしっかりね。勿論私も部活が終わったらチェックするけど。」


 水野はニコリとしながら返事をした。

「はい、わかりました。先ほどいただいた管理ファイル、しっかりと目を通しておきます。」


 台場は机の上に無造作に置いてある3Dボカロソフトのパッケージを眺めながら言った。

「3Dボーカロイドか。説明書見させてもらってもいい?」


 月影はインストール中の画面をがん見しながら言った。

「どうぞ。う~ん、結構時間かかりそうだな。私のユメちゃん早く出て来て~!」


 火柱ひばしらが拍子抜けした顔で言った。

「え、ボカロに自分の名前つける気? ユメって……。」


 月影はふくれっ面で火柱の方を見た。

「いいでしょ、私の分身で歌ってもらうんだから。このボカロのユメと私は一心同体なんですよ~だ!」


 火柱は苦笑いした。

「『なんですよ~だ』って……。まあ、あんたがいいなら別に構わないけどね。」


 水野と木陰、金城は台場に3Dボカロの説明と月影が衝動買いに至った経緯について説明していた。


 台場は皆の話を一通り聞くと「フフ、成程ね」と言って理解した。

「私も3Dボカロには興味持ってたのよね。何て言ってもこの学校で本格的にQC利用するのって初めての事だし。どうなるのか楽しみだわ。」


 台場は生徒の手前、それ程はしゃいだ姿は見せなかったが内心は月影同様、子どもの様にワクワクしていた。

 そしてそれは、ここにいる部員全員もまたそうであった。


 インストールが完了すると月影は早速ソフトを起動してみた。

 手順を踏んで行くと画面上に『部屋の色を決めてください』という一文が表示され、設定画面が現れた。


 月影は薄いクリーム色を選択した。

「さあ、いよいよ3Dボカロが出て来るよ!」


 一同注目の元、彼女は現れた。

 年の頃は15歳くらいであろうか。笑顔の素敵な栗色の髪の美少女である。

「コンニチハ。ヨロシクオネガイシマス。」


 可愛らしい声質だが話し方はまだぎこちない。

 しかし、月影たちを驚かせるには十分過ぎるほどの質の高さであった。

 皆が新たなボカロの誕生シーンをまじまじと見つめていた。


 月影は目をキラーンと輝かせながら言った。

「うん、まさに理想通り……いや、それ以上よ!」


 木陰はうっとりしながら言った。

「すごいハイクオリティ……。」


 かさず月影は言った。

「さあ、歌でも歌ってもらいましょうかね。じゃあ取り合えず矢内やないレコピャの『ストーリー・ストッパー』でも……。」


「ちょ、ちょ、ちょ……。」

 皆が慌てて月影を止めた。火柱はマニュアルを開きながら言った。

「ほら、ここ見て。最初はもっと簡単な歌からじゃないと。」


 月影の目をパチクリさせたゴリラの様な面構えは何も分かってない事を意味していた。

「え、そうなの?」


 水野は微笑みながら月影に優しく伝えた。

「まずは名前から付けてあげないと。」


 月影はうんうんと素直にうなずいた。

「あ、そうか。そんじゃあ……あなたはユメよ! あなたは私。私と同じ名前。私とあなたは一心同体よ!」


 ユメはニッコリと笑って言った。

「アリガトウ。ワタシハユメ、アナタトワタシハイッシンドウタイ!」


 月影は顔をほころばせながら溜息ためいきいた。

「かわうぃ~!」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 吉田奈美恵(ナミエ) … AIポリス特殊捜査隊大隊長。ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【ボーカロイド】※フィナ、ファランクスを除く


<(株)光音みつねプロダクション>

 市川ココナ … 女性ボカロ。(株)市川電算に所属

        マネージャーは市川ジロウ、サキエ夫妻

 市川カナデ … 女性ボカロ。(株)市川電算に所属

        マネージャーは市川ジロウ、サキエ夫妻


<(株)ノアボカロシステム 芸能事務所>

 ルンファー … ユメ、アメ、ミン、カヨからなる女性ユニット

        南宮なんのみや大学「アイドル研究会」に所属

        担当は月影ユメ、火柱アメ、水野ロウ、木陰カヨ


<(株)猫CAT 芸能事務所>

 猫山チエリ … 女性ボカロ。(株)猫CATに所属

        マネージャーは金城エイジ、大木アコ


【時系列】※参考なので読まなくてもいいです。

6/25土 私、転生す

6/26日 イベントお知らせ

6/28火 イベントエントリー

7/3日 叔父と会う。サナ友4人登場

7/10日 イベント結果発表。蟹江さん登場

7/11月 カラオケ予告

7/16土 カラオケ大会。部屋の増築

7/17日 山本擬人化

7/19火 前世の話。蛯名さん登場

7/21木 アテナ覚醒。サユリはレポート作成中

7/22金 クッキー事件。ナミエ擬人化。サユリレポート終了

7/23_24土日 株式会社3Dボーカロイドで会議

7/25月 ファランクス残り3名の『覚醒』計画が提案される

7/26火 ファランクス残り3名の『覚醒』計画が始動する

7/27水 ファランクス残り3名についてオーナーの了解を得る

8/1月  メーティス覚醒

8/2火 ニーケ覚醒?

8/3水 ミネルヴァ(ミナミ)覚醒。夏フェス参加決定。【36話】

8/4木 レッスン部屋増築。サナとサユリの両親帰国【38~43話】

8/5金 サナとサユリの両親帰宅。【44話】

8/6土 本田一家、祖父母、叔父とカラオケ。庭の増築【44・45話】

8/7日 蟹江と蛯名が本田家訪問。

    アテナ、メーティス、ニーケと共に外の世界散策。

    山本発見。グレイマン登場。【47~50話】

8/8月 ボカロボット登場。両親日本を発つ。【52~55話】

8/9火  ボカロボで散歩。【57・58話】

8/10水 ミネルヴァ沈黙。【37話】

8/11木 小橋社長登場。【59話】

8/12金 ミネルヴァ再起動。山本戻る。【60~63話】

8/13土 AIポリス本部壊滅。ファランクスの4人ツイストーラスへ。

    ツイストーラス社員登場。【64~66話】

8/14日 フィナデビュー。緑と赤登場。

    第2,3,4,5,7,8研究開発部主任登場。研究主任会議。

    フィナ自宅にバリア。【67~73話】

8/15月 ツイストーラス会議。3Dボカロ会議、後ミーティング。

    サナ友集合。サナの両親職場に戻る。【74~81話】

8/16火 朝ファランクスとマラソン、竹馬で勝負。その後山本と遭遇。

    蟹江と蛯名とフィナがサナの両親とネット談話。【82~87話】

8/17水 緑と赤、蟹江さんと話す。夏フェス会場準備。

    北斗大学アイドル研究会登場(2か月前)。【88~94話】

8/18木 フィナ、栗原さんと打ち合わせ。

    研究開発部主任(卯月、白鳥、熊谷、午藤)QC施設へ。

    研究開発部主任(龍崎、未木)打ち合わせ。

    蟹江さんサナの母に連絡する。午後、前日打ち合わせ。

    (株)3Dボカロの浪岡と炭田会場視察。

    北斗大学アイドル研究会4人上京(10日前)。

    ファランクスの過去。【95~114話】

8/19金 夏フェス初日。【115話~】

    ルンファーの話し。【136話~】←今ここ!

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