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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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106 天才白鳥さん

 蛯名は質問した。

「それは推理小説とかそういったものですか?」


 蟹江は返答した。

「まあ、ちょっと大げさかもしれないけど。そう、推理……犯罪の捜査とか……。それだけじゃなくて政治とか経済とか、あと恋愛とかも?」


 蟹江の冗談ともとれる返答に蛯名は少し考えながらつぶやいた。

「う~ん。そこまで行きますかね……。」


 蟹江は聞いた。

「その論文記事だっけ? って誰が書いたかわかる?」


 蛯名は頭を押さえながら返答した。

「それが思い出せないんですよ。さっき検索もかけてみたんですけど見当たらなくて……。論文だったら憶えてると思うんですけどね……。もしかしたらただの記事だったのかもしれません。」


 蟹江はうなずきながら話を戻した。

「まあ、それを思い出してくれただけでもすごいヒントになったから。ほら、緑たちのこと何もわかってないでしょ。」


 蛯名はハッとして蟹江に提案した。

「白鳥さんに聞いてみます? 何か知ってるかもしれませんし。」

 第3研究開発部主任の白鳥マイは皆が認める才女で、この二人も事あるごとに相談に乗ってもらっていた。


 蟹江はうんうんと大きく頷いた。

「ああそうね。白鳥さんは今……あ、そうだ。今出かけてる。QCの所。」


 蛯名も思い出した。

「あ、そっか。四人で出かけたんでしたっけ。何時頃帰って来るんですかね。」


 蟹江は「う~ん。」とうなりながら予想を伝えた。

「朝一で出たから途中お昼食べたとして、2時頃には戻ると思うんだけど。卯月うづきさんも会議には間に合うって言ってたし。」


 この日は午後から夏フェスの前日打ち合わせがあり、卯月はそれに参加しなければならなかった。

 蛯名は蟹江に確認した。

「別に今日じゃなくてもいいんですよね。」


 蟹江はうなずいた。

「そうね。まあ、今それがわかった所でどうしようもないし。」


 蛯名は申し訳なさそうな顔をした。

「すみません。夏フェスの準備もあるのに時間取らせてしまって……。」


 蟹江はニコリとして余裕をかました。

「いやもうほとんど準備終わっちゃってるから。あとは野となれ花となれって感じ。」


 蛯名は少し安心した様だ。

「あ、そうなんですか。それならよかったんですが。」


 蟹江は落ち着いた感じで提案した。

「ま、この話しはあまり広げないでおきましょう。取り敢えず白鳥さんに相談てことで。」


 蛯名は大きくうなずいた。

「はい。そうします。あ、そう言えば明日の夏フェス、人数が多くなりそうだって聞いたんですけど。」


 蟹江は「そうそう。」と言いながら軽くうなずいた。

「何かね。たくさん来るかもって卯月さんが言ってた。警備員増やすとかって。」


 蛯名は嫌そうに下唇を突き出した。

「あんまりたくさん来られても困りますもんね。人混みいやだなあ。」


 蟹江も大いに同意した。

「ホントそれ。暑い上に人混みって『やめて~!』って感じ。それにたくさん来ちゃって黒字になっちゃうと面倒だし。」


 蛯名は聞いた。

「黒字ってダメなんですか?」


 蟹江は「う~ん。」と考え込みながら返答した。

「何か国からの補助金全部使い切んないといけないらしいから。後ほら、それとは別に奨励金だの支援金だのたくさん出てて。まあボカロってよりAIやQCの方にたくさん出てるんだけどね。」


 蛯名は感心しながら肩を小さくすくめた。

「へええ。何か贅沢ぜいたくな悩みですね。」


 蟹江は舌をチラリと出した。

「やっぱり入場料取らなきゃよかったかな。」


 蛯名は答えた。

「でもそれはそれで更に大勢押し掛けて来ちゃうんじゃないですかね。それに来年以降は入場料がないと回んないかもしれませんし。」


 蟹江は成程という顔をした。

「まあ、確かにね。せめて今年の補助金を来年に回せればいいんだけど……融通が利かないのよ国のお金ってのは。」


 蛯名はお金の使い道について確認した。

「まあ、それでも結構お金かけてますよね。あの巨大3Dビジョンとか。スピーカーとか。」


 蟹江はうなずいた。

「確かにね。3Dビジョンは結構いい値段したと思うけど。去年使ってたのもそのまま使えてるから……スピーカーの方もね。あ、しかも全部系列会社から購入したからそんなかかってない。」


 蛯名は冗談めかして言った。

「もしお金がたくさん余ったらさっきの装置作っちゃいましょうか。」


 二人は笑いながら冷めきったお茶を入れ直した。

 すると蟹江は自分のお腹が減っている事に気が付いた。

「あら、もうこんな時間。私たちもお昼にしちゃいましょう。」

【人物紹介】※参考なので読まなくてもいいです。

 私(フィナ・エスカ)… 異世界に転生したら進化型ボーカロイドになっていた


【私のマネージャー】

 本田サユリ … 私のマネージャー。大学生。サナの姉。しっかり者

 本田サナ … 私のマネージャー。9歳。サユリの妹。歌が大好き


【本田家】

 本田トオル … サナとサユリの父。国際宇宙ステーションの研究者

 本田サエコ … サナとサユリの母。国際宇宙ステーションの研究者

 三好クレハ … 本田家の家政婦

 本田ススム … サナとサユリの叔父。トオルの弟


【ファランクス】ボーカロイド4人のユニット

 アテナ・グラウクス … マネージャーは柿月ユタカ(ヨナの兄)

 メーティス・パルテ … マネージャーは星カナデ

 ニーケ・ヴィクトリア … マネージャーは春日クルミ

 ミネルヴァ・エトルリア(ミーネ) … マネージャーは大地ミノル


【私のナビゲーター】

 斎藤節子 … ナビゲーター。部長

 ナミエ … 正式名称C73EHT-R。AIポリスの特殊捜査隊隊長。

      新米ナビゲーター(仮)

 山本春子 … ナビゲーター(自称)。私の喧嘩相手


【株式会社3Dボーカロイド】略して3Dボカロ

<研究開発部>

 蟹江ジュン … 第1研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。2児の母

 白鳥マイ … 第3研究開発部主任。天才。息子1人

 蛯名モコ … 第6研究開発部主任。ボカロ協会社内役員。

       美人。ヲタク。蟹江の大学講師時代の教え子

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