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売れない地下アイドル、転生す  作者: ぷぃなつ
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01 売れない地下アイドルの日常

 私は地下アイドルだった。

 まぁほとんど趣味みたいなものだけど。


 だが、歌には正直自信がある。

 とは言えマスクとスタイルが如何いかんともしがたい。


 みんなも歌とダンスについてはめてくれる。

 けど、それだけじゃ商業的に限界があるわけ。

 特にアイドルとしては言わずもがなだ。


 私はバイト仲間と一緒に地下アイドルの3人組ユニット【光の魔法をリフレクト】として2年ほど活動していた。

 今更だが……何じゃこのネーミングは!



 2DKのボロアパートに帰り、コンビニで買った半額弁当(270円)を冷蔵庫に入れた。

 バイトやら打合せやらレッスンやらで疲れ切った身体を休めていると、何と部屋の隅からネズミが走り出し押入れの中へと身を隠した。


 私は身の毛のよだつその光景に背筋がぞわぞわっとして、しばらく震えていた。が、意を決して押入れの掃除を始めることにした。

「出て来るがいい! ねずみ君め!」


 なんて、かわいい娘が言ったらきっと萌えるんだろうね。

 私が言ったら恐がられるだけさな。


 いらないものをポンポンと押入れに、大きなゴミ箱のごとく投げ入れていたツケがまわって来た様だ。

「ごめんなさい、押入れ……(涙)」


 ひとつゴミを取り出すごとに凄まじいホコリとカビの胞子が私を襲う。

「ぎゃあぁぁぁ! ざっけんな! ゲホッ。」

 自業自得なのだが。


 何とか下の段の半分ほどをゴミ袋にぶち込み、休憩に入った。

 ねずみは見当たらない。

 どうやら押入れの奥にある小さな穴から脱出した様である。


 次の日は休みだったので引き続き掃除をした。

 ねずみの穴にはビニール袋やラップをガンガン詰め込み、ガムテープでバシバシに塞いだ。塞ぎまくってやった。


「二度と来るなよ! ネズ公めが!」

 その時セリフに合わせてあまりにもタイミングよくおならが出たので気分はさらにハイテンション!

 今思えばそれが人生最後の至福の瞬間であった。

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