何かありそう第八話?
多分、次の投稿は来週か今週末です。
次の日、聖はブラックワーカー達と遊撃部隊として、軍の後ろに控えていた。
「アトラス達はまだ出てこないのか?」
そう言ったのは今回の指揮官にして四天王最強バル・バス・ハウンズだ。
指揮官という事になってはあるが、彼は自他全てが認める生粋の武闘派で、事実上の軍の指揮は彼の補佐官が行っていた。
「もう出てきても良いからだとは思いますが、もしかしたら撤退しているかもしれません。昨日、接触した時はファス様を見逃しましたし何やら別の事を行っていると言っていましたし。」
そう言ったのはアルジェンティだった。
現在、王国側は籠城してはいるが、ドラゴンを使い超高高度から魔法でボーリングの球より二回りほど大きい石を王都中に撒き散らしたりしている為、家などはかなり壊されていた。
王城近くには結界があるため無事ではある。
殆どの兵士達は城壁などの守りに付いている為、暴動なども起きているが手の空いている兵士達ではどうにもならなかった。
「仕方ないな。」
バルはそう言うと立ち上がる。
近くにいた騎士は先程から端にあった異様な雰囲気を出していた大量の槍の中から一本をバルの元まで持ってきた。
「リシュー(バルの補佐官)に伝えろ。そろそろ撃ち始まるから兵達を動かす用意をしろと。」
バルは少し体をほぐすと騎士から槍を受け取った。
「ブラックワーカー諸君に聖君、序列が出てこないからこれを投げ込もうと思うのだが君達とどうだ?」
「では、お言葉に甘えて。」
そう言うとアルジェンティ達も槍を持ち出した。
聖はよく分からないが合わせておこうと思い
「じゃあ、僕も」
と言い槍を手に取った。
バルは先程から王都に向かって歩いていた。
「聖君は初めは見ているといい。」
バルは強く踏み込む。これにより地面にクレーターが出来た。
次の瞬間
「どうやって投げるかを」
と、言うと槍をもの凄いスピードで門に向かって投げついた。
ドーンと言う大きな音と共に煙が立ち込めた。
「流石に王都の城壁は硬いな。」
煙が晴れるとそこには少し歪みながらも健在な王都の門があった。
「う〜む、流石にちょっとの強化だけでは抜けないな。次は星君が投げてみなさい。」
バルはそう言い振り返って聖の方に歩いてきた。
「序列との戦いはあるがこのメンバーなら多少魔力が減っていても大丈夫だ。思いっきりあの門に投げてみなさい。」
バルは笑顔で門を指してそう言った。
聖はあまり気が進まなかったが前に歩いていき先ほどバルが投げた手前から魔力を込めた槍を投げた。
すると、槍は門の上を通過して一直線に王城目掛けて飛んでいった。
そして、王城に当たると思ったその時、もの凄い魔力を感じたと思えば、王城の方から大きな炎の槍がこちらに飛んできた。
「おっと、これはまずいな。クーペロッムやってくれ。」
バルがそう言うと同時に、クーペロッムが前に飛び出した。
着地と同時に拳を地面に叩きつけると手前に大きな土の壁が地面から出てきた。
「どうやらお出ましの様だな。1発目からあれという事は星君の投擲が随分気に入った様だな。」
バルが茶化しながらそう言う。
「バル様、今はそれよりも。」
アルジェンティがそう言う。
周りには緊張した雰囲気が立ち込めていた。
「そうだ、それじゃ行くぞ、聖君はあまり無理はせずに序列以外の敵が来た時に対処してくれればいい。序列は私達だけでやる。」
とういうとバルは王都へと歩き出し、聖達はそれに続いた。
暫く歩くと、昨日の3人が王都の城壁を越えてこっちへ飛んできているのが分かった。
「3人が出てくるという事は、あの王城ではまだ何かやっているようだな。」
バルが少し重々しくそう言う。
その後暫くは会話もなくただ嘔吐の方へと歩いて行った。
暫く歩き、双方の距離が200メートル程のところで立ち止まった。
立ち止まると直ぐにバルが話しだした。
「序列5位 トール、序列6位 ロキ、序列8位 アトラス。3人が揃って我々と対峙するのもまだヴァルド様が在位なさっていた時、10年も前か。」
バルがそう言うとトールが不機嫌そうに答えた。
「私達は一足先にそこの3人と既に会っているがな。引き返すなら今のうちだぞ。我々が戦うだけの理由はないはずだ。ここを占領する為の代償と占領した利益をよく考えろ。」
トールがそう言うとバルは笑いながら言った。
「価値もない場所にお前達を置くとは創造主の右腕も随分と落ちたものだ。そんな能無しのところよりも我々の側についた方が良いのではないか?」
バルがそう煽るとロキが剣を抜いてバルに襲いかかって来た。
アルジェンティは前に出ようとしたが
「いい、こいつは私がやろう。」
とバルが言った。
それを聞くとペクウニアとトールがアイコンタクトを取り東の方は歩いて行った。(王都は南側、本陣は北側にある。)
アルジェンティはそれについて行った。
「それでは聖殿我々は西に向かいましょうか。」
クーペロッムはそう言うとアトラスに目を向けた。
するとは伝わったようでアトラスは西に歩き出した。
バルとロキの戦いは熾烈を極め流れ弾が王都の壁に穴をあけ、その機能を失おうとしていた。
ロキはティラータの事に腹を立てており狂った様に魔法を撃っていた。
「初めからそうしておけばよいのにな。我々が引かぬかとなど分かってあるだろうに。それにしても是生滅法 ロキ。その化け物地味た魔力は流石としか言えんな。
ロキはアトラスの話を無視し、普通の魔術師なら1発も撃つ事が出来ない魔法を縦横無尽に展開して乱発していた。
「相変わらずだな、4人も頑張っているだろうしそろそろ本気で相手をするか。」
バルはそう言うと身体強化を数段階上げ一旦距離を取り剣を握り直すと同時に魔法を掛けた。
「歪曲」
バルが魔法を唱え剣を振るうとロキが展開していた魔法が乱れて不発に終わってた。
「相変わらず厄介な技を使ってくる。大した魔力も持たない癖に我々と渡り合うなど」
ロキは顔に皺を作りながらそう言った。
「やっと喋ってくれたな。無駄に多い魔力で大した技術もなく天狗なってるせいで頭がイカれたのかと思ったよ。」
「黙れトカゲ!」
ロキはそう言うとまた魔法を展開し始めるが
「掌握」
バルがそう唱えると、ロキの魔法がロキ自身に放たれた。
「小賢しい真似を!」
ロキはそう叫ぶとありったけの魔力を使い魔法を展開した。
「いくら貴様でも圧倒な魔力量の差はどうにも出来まい。貴様と魔王に勝てないのと同じで、貴様では私に勝てない。自分の非力さを恨め。」
ロキの展開した魔法の魔力は毎秒倍になっりどんどん膨れ上がっていた。
もしも、この魔法が放たれたら北海道が吹き飛ぶだろう。
しかし、バラは落ち着いていた。全てが計画が全て上手くいっていて、これからも上手くいくと確信しているかの様に。
「もしも、それをここで放てばあの城も吹き飛んで儀式も中止になるぞ。」
「ふ、城が吹き飛んだところで地下さえ無事なら何も問題ない。もう贄は用意された後は召喚するだけだ。」
「そうか、それだけ分かればもういい。」
バルはそう言うと展開された魔法に手を翳して何かをし始めた。
「お前まさか!やめろそんな事をして許されると思っているのか!」
ロキはそう叫びながら魔力の込めるのをやめてバルに襲い掛かろうとした。
が、バルの一言で何も出来なくなった。
「そこで大人しくしておけ。私が死んだら次元が大変な事になるぞ。私は儀式を暫く出来ない様にするだけだ。それを防ぐ為の代償には大きすぎるものになるぞ。」
「くそったれ!」
バルはそのままロキの魔法に何かをし続けた。すると突然、ロキの魔法が魔力を失い消滅した。
それと同時にロキは膝から崩れ落ちた。
「ありがとう、キロ。君のおかげでどの道を潰せばいいか分かったよ。これでまた暫く我々の優勢、そして君は序列追放でモルモットに降格かな?」
ロキは青ざめていた。バルの声も聞こえていない様で顔は恐怖からか潰れていた。
そんな状況が数分続いたと思うと空に穴が開いて男が1人降りて来た。
「ロキ、貴様またやってくれたな。軽い口車に乗せられて。バル、お前も敵ではあるがもしも失敗すれば世界に甚大な被害が出ていたところだぞ。」
「その時は私が命に変えても阻止するつもりだった。」
バルと男は暫く睨み合うとお互いに背を向けて各々の陣地へと歩いていった。