色々出てくる第三十五話?
ここはフラレート大陸の何処かにあると言われる英傑殿。
そこでは一年に一度や、協定に抵触する様な事があった場合に十傑が集まり会議が開かれる。
今日は先日の組合とリョウレンの戦争で十傑第九席だったタルコの席をどうするか話し合いと先日の異界の神格の侵攻について会議が開かれており、九人の化け物が丸いテーブルを囲んでいた。
「皆さん、本日はお集まり頂きありがとうございます。」
こう話すのは十傑 第三席 セリオス・アルホース。
ミドガリオン大陸出身で年齢は5000を超えているが、種族などの所為か見た目は二十代から三十代ほどである。
普段、十傑は年一の会議でも面倒臭いと来なかったりするが、彼は毎回欠かさず出席して進行役を務めていた為、今では議長的な位置にいる。
「それでは今回の議題、十傑並び大陸十傑に座していたリョウレン 第一騎士団団長タルコ・ドラ・パラタルドの席にどなたを入れるかについて話し合いましょう。皆さん、どうぞ座する資格を持つ方と思う方がいれば述べて下さい。」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに十傑 第二席 天武ピユルドが手を挙げる。
「ワシの所のヒユラル何かどうじゃ?今は中期に入ったばかりではあるが、100にも満たずこれ程であるならば将来後期も夢では無いであろう?」
その言葉を聞き第六席 浄魂寺 明天が台に拳を振り翳す。
「ふざけるなこの狸が!実力で言えば明導が一番相応しかろう!」
「おー、怖い怖い。300でやっと中期に入った様な不敏を十傑に入れてたまるか!それに聞いた話ではそこらの国なら宝庫が空になるほどの大金をはたいて様々な霊薬などを買い込んでやっと事であろう?タルコもそうであったがあんな紛い者が入ってはたまったもので」
ピユルドはそこまで言うと失言をした事に気付き皆の顔を伺う。すると第三席 セリオス・アルホース、第四席 アルバート・アイアン、第七席 ナルヒコ・アマギ、第八席 浄魂寺 明天がこちらを睨んでいた。
「天武、発言にはお気を付け下さい。」
セリオスはそう言って話を戻そうとするが、聖が爆弾を投下する。
「セリオスさん、今回の件でライトナが死に均衡は完全に崩れました。こんなままごとはもうやめましょう。」
聖のその一言でその場は完全に凍りついた。彼は元々この世界の人間でない為に我進門以外の四尊家からは難色を示されてる。
明天は特に聖のことを嫌っており、戦いが起きるのではと思われたが、第一席の一言でその凍りついた場は書き換えられた。
「確かに、霜崎の言う事は最もだ。」
第一席 レイル・ミドガリオン、齢19311でミドガリオン大陸を統一しているミドガリオン大帝国の第31代皇帝の亜神であり、主神側の最高戦力である。
「私も前々から十傑の現状については悩んでいた。嘗ては妥当十三王を目標としていたが我々と逆賊どもの牽制の場と成り果てていた。本当はもっと早く全面戦争を始めるべきだった。逆賊の暴挙に気をつかいすぎた。」
レイルは立ち上がり腰に下げた宝剣を掲げた。
「私の名をもって今日ここに逆賊に宣戦布告する。」
「正気ですか?それは十三王と正面から戦うと言う事ですよ?」
「何を言っている?そんなの当然であろう?今まではお互いの考えが一致していたから主神と逆賊の戦いを公表していなかったがもう何も構うつもりはない。」
「正気ですか?」
「正気ではここまで生き残れかっただろうな。」
レイルはそう言うと面々に目をやった。
「第二席 天武ピユルド、第三席 セリオス・アルホース、第四席 アルバート・アイアン、
第五席、バレオ第六席、霜崎 聖、第七席 ナルヒコ・アマギ、第八席 浄魂寺 明天、第十席 聖女 レーナ・スタンホール、君達は私に力を貸してくれるか?」
「我進門 五十六代天武 ピユルドの名において我進門はミドガリオン帝国 第三十一代皇帝 レイル・ミドガリオン様を全面的に支持する事をこの場に誓います。」
「アルホース家当主 セリオス・アルホース、この場を借りて再びレイル皇帝に忠誠を誓います。」
「アイアン家副当主 アルバート・アイアン、レイル皇帝の意思を支持します。」
「十傑 第五席 バレオ、微力ながらお力添えさせて頂きます。」
「我進門 公武 霜崎 聖、天武と共にレイル皇帝に支持します。」
「正教会番外席次 聖女 レーナ・スタンホールの名において正教会はミドガリオン帝国への全面的支援をお約束します。」
「感謝する。そして、早速だが今後を語る上でまず現在の相手側の戦力を知りたい。バレオ、聖、レーナ、君達はかの戦争に参加し、聖は先日の侵攻の阻止にも尽力しその過程で奴等と剣を交えたであろう?奴らの実力はどれ程であった?」
一番初めに応えたのはバレオだった。
「自分は先日アベルと、戦争の時はグリファーサルと戦いましたが体感としてはアベルは天武とアルホース卿の二人係なら倒す事は出来るでしょう。しかし、グリファーサルは正直レイル様でないと厳しいと思います。」
「そうか、それ程か。レーナ君の意見は?」
「あの時、グリファーサルは聖さんと戦いながらライトナ様のアンデット化を進めていました。結果としてそれは阻止出来ていますが、正直な所彼女は本気でなかったと思います。何かパズルを解かされている様なそんな気分でした。」
このレーナの話は面々に衝撃を与えた。普通、戦闘中にアンデット化をしかも神聖な竜王に施すなどもはや現世の存在の域を出ているからである。
「うむ、つまりグリファーサルは亜神の領域に入っているという事か?」
「はい、もしくは亜神に限りなく近い存在でしょう。」
「そうか、最後になったが聖。君の意見を聞かせてくれ。」
その一言で視線は前の二人以上に強く注がれた。ここ数万年まともな動きを見せてこなかったアルベルトが現世に現れ、そんな彼と直接対峙した人間である聖はアルベルトの底を探る唯一の手掛かりであったからだ。
「まず結論を述べるとグリファーサルとアルベルトとは絶対に戦ってはいけません。」
ドンッ
「何を言っているんだ異端者が!」
そう声を荒らげたのは明天だった。しかし、他の十傑達、ピユルドやバレオですら今の発言には難色を示していた。
「やはりお前は我々と肩を並べるに相応しくない。例え主に遣わされたとしても異界の者なんぞッ!」
「黙っていろ。今は彼の意見を聞いているのだ。」
明天が聖に近づいていくとレイルは圧を放って膝まず掛けた。
「済まないな、続けてくれ。」
「はい、私が先日二人の王を見た時、グリファーサルは亜神、アルベルトに到っては神にすら手が届く程と感じました。あの日、二人侵攻してきた使徒を難無く滅ぼし、復活した神格も恐らく一撃で葬ったと思われます。」
「思われますとは実際に見ていないという事か?」
「はい、使徒を滅ぼした直後に神格が降臨したのですが、アルベルトが何かをして気付いた時にはイザベラの領主邸の前に立っていました。」
聖の証言を聞き十傑達は皆頭を抱えていた。
もしも、聖の言う通りにアルベルトが神の領域に達しているならば十傑全員で戦っても勝算は極めて低く、そこにグリファーサルまで入るとなると絶望的だ。
しかし、この事実を受け入れるには幾つかの矛盾を解消しなければならなかった。
「神格が降臨したのに何故イザベラの者達は無事なのだ?聖、君が無事なのは説明がつかない事もない。たが、生贄になった筈の人々が今も生きているという事はあり得ないのだ。」
アルバートの言葉に皆が静かに頷いた。
そこから暫く沈黙が続いたが、セリオスの進行である程度の方針は決定し今回の会議はお開きとなった。




