青年の手紙?1
決して良い奴だとは言えなかった。
勝手な行動で振り回した挙げ句、自分の都合一つで簡単に手のひらを返してきた。
一回のみならず、何度も何度も裏切っては謝り、裏切っては謝りの繰り返し。
俺は憤慨していた。
とは言っても、前まではこんな事くらいで気が荒む事も無かった。のに、こうなったのはやっぱりお前のせいだ。
確かに、注意すればきちんと聞く奴だった、数日は。
ヘラヘラヘラヘラ笑っては受け流す態度は気に入らなかったが、それでも許せていた。
俺の為に誕生日プレゼントを買ってくることもあった。
「18禁、解禁したんだな」とかよく真顔で言えた物だと思っていた。
甲斐甲斐しくて可愛いとすら思えていた。
俺らが付き合った18歳、俺の中では紛れも無く一番人を愛せた時だった。
同じく、一番と言えばあの事も書いておきたい。
俺は嘘をつかれた時、何よりも悲しかった。
その中でも、俺は許せない事がある。
お前が嘘をついた後、暫くして俺が咎めると必ず「お前の為に考えたから嘘をついた」と逃げる事だ。
そんな言い方されたら許すしかねえじゃないかよ。
俺についた傷はどうなるんだ。
俺は悲しかった。
俺はお前の事を家族同然だ、とまで思っていたのに。
俺があれから人間不信になった事を知っているのか?
勿論お前にも言っていない、だから知るよしも無いだろう。
お前が久しぶりに連絡してきたあの日、俺は堪らなく不安で悲しかった。
あれだけの嘘をついておきながら、どうして俺がまたお前に優しく出来ると思ったんだ。
人に優しくする事に戸惑いを覚え始めたのは。お前のせいだった。
これは脅迫文だ。
そして遺書だ。俺が俺を殺す為に書く文だ。