変異
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この作品は長編になります。
宜しくお願い致します。
『ピンポン』
『はーい』
神園野呂が玄関のドアを開ける。
女房の摩耶が、黒いボストンバッグを持って立っていた。
服装はお気に入りの白いワンピース。
摩耶は身長が170センチ、父親がイギリス人である為に目鼻立ちが、しっかりしている。20代の頃はファッションモデルをやっていたらしい。
彼女の過去は知らない。現在は保険の外交と趣味で太極拳をやっているらしい。彼女の話を信じればだが……
「野呂、ただいま」
「お帰りなさいませ」
「今日から10日間、知り合いを泊めるからな。野呂は、玄関の隣の6畳で休みな。知り合いは奥の6畳、あたいは居間で休むから。余計な事は聞かない。詮索しない。分かったな」
「畏まりました」
野呂が小声で、コクンと頷いた。
野呂は35歳、猫背で無気力な雰囲気に包まれているせいか、40歳位に見える。
身長は摩耶より2センチ高いが並ぶと低くい。
逆に摩耶は、スカーレットの口紅に、パープルのアイシャドウ。
そして背筋がピーンと伸びているせいか25歳位に見えた。
月に2回位、野呂は買い物に付き合わされる。その時は荷物運び兼、運転手。そして摩耶はイケメンのレンタル彼氏と腕を組み颯爽と歩く。
野呂は二人の後ろを、ノロノロと荷物を持ちながら付いて行く。
「ノロノロ歩くんじゃない野呂!」
「畏まりました。スカーレット様」
摩耶は、家でも外でも野呂に、スカーレットと呼ばせている。
摩耶は独占欲と執着心が強いせいか、野呂に逃げられないように結婚しているのかも知れない。摩耶にとって野呂はペット以上の存在。
野呂は鍼灸師の国家資格を持っている。そして自分が誰だか分からない重度の記憶喪失者。
結婚して2年目。
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