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ティオの魔術師譚  作者: ぐれお
第一章【魔術学校へようこそ】
4/8

【遺族孤児】

4号線に向かう途中、ティオはタケルとお互いの身の上を話し合っていた。


「へえ、ティオは孤児院出身なんだ」

「うん。生まれてすぐくらいのときに、シスターが経営してる教会孤児院に連れてもらったんだって」

「生まれてすぐってことは……あっ」


思い出すようにして、タケルは小さく声をあげる。そしてそのままばつが悪そうな顔をして、後頭部を軽く掻いた。


「ティオって、もしかして遺族孤児?」


恐る恐る尋ねるタケルにティオは苦笑した。


「一応は、そうなるかな。本当に生まれたばかりのときに、あの事件が起こったらしいから」

「そっか。オレはあの事件とはほぼ無縁のところで育ってるから、親共々あんまり現実感なくってさ。ごめん」

「いいよー! わたしだって本当に覚えてないんだから」


落ち込むタケルにティオは精一杯の笑顔を作って彼を励ました。


あの事件ーー10年前の、魔術師大量殺人事件。

有名な魔術師が錯乱かと、世界中の魔術師が震撼したという、とても恐ろしい事件。


あの事件で親を失った子供は少なくなく、子供達は国の支援のもと、遺族孤児という名前で保護を受ける。

ティオもまた、その子供のひとりであった。


親の顔を知らないこと、親を殺されていること、もちろんそれを思えば辛くて悲しい気持ちになるが、だからといって悲観的になるわけでもない。


「遺族孤児なんて呼ばれてるけど、わたしはそんな名前は似合わないくらい、シスターのもとで今まで楽しく暮らしてたんだ。皆が思うほど、わたしはかわいそうじゃないんだよ」

「前向きだな、おまえ。でも、いいと思うぜ、そういう考え方」

「へへ、ありがと」


そんな話をしているうちに、駅員から聞いた4号線の階段までたどり着いた。

すでに色んな子供達がホームに集まっているのが見える。


「ローブを来てる人と来てない人がいるね」

「多分先輩たちだろ。ローブ着てねぇのが、きっとタメってやつだ」

「タメってことは……同級生かぁ! へへへ、ますます楽しみだね、タケル!」

「だな! さ、行こうぜティオ!」

「うん!」


大きく頷くと、二人は駆けるように階段を降りて4号線ホームへと向かった。


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