episode koharu firstchapter3
あの日から一週間がたった。その間、小夏ちゃんは学校にきていない。
「坂瀬河さん、ちょっといい?」
「はい」
昼休み。私は先生に呼び出され、普段は使われていない空き教室に連れてこられた。
準備された席に座ると、その向かいの席に先生も腰掛け話しを始める。
「前、坂瀬河さんが言ってたことなんだけど」
「小夏……、園田さんのことですか?」
「うん」
「ちゃんと、確認はできたんですよね?」
「えーと、実は……」
「……?」
この前先生に話した、園田小夏ちゃんのいじめの件。
私はクラスにいる複数人の女子グループにいじめらていると先生に説明した。
あれをただのちょっかいだ、遊びだというのなら私は絶対にあの子たちを許さない。
そう思っていた。なのに、先生の口からは私が想像していなかった言葉が出てきたのだ。
「園田さんがいじめじゃないって言ってて……」
「え?」
「勘違いだ……と」
「園田さんが言ってるんですか?」
「ええ。それに、あの子たちも──」
そんな……、小夏ちゃんが否定するなんて。あれはどう見てもいじめだ。本人が認め、助けを求めないと周りは変わらない。
見て見ぬ振りをしてしまう。
「先生もそう思いますか? 園田さんに、起こっていることがいじめじゃないって」
「……。坂瀬河さん、そんな深刻に考えなくてもいいんじゃない? 本人たちが否定してるわけだし」
違う。優しく微笑んでいるけど、本心は全然違う!
みんなそうだ。本心は隠し、真実は表に出さない、全部嘘で固めている。もう、うんざり……。
「……そうですね。すいませんでした」
「坂瀬河さん? どこ行くの?」
「教室に戻ります」
この件は、自分で解決しよう。別に正義感を振りかざしているわけじゃない。
こんなのは間違いだと、そう思うから。
「何?」
「園田さんに、何を言ったの?」
「何も言ってないけど」『口止めしたに決まってるじゃん』
「平気で嘘をつくね。でも、もっと上手にやらないと」
「……は?」
私は人の表情から色々なことを読み取るのが得意だ。何を考えてるのか、何を思っているのか、人は簡単にそれを表情に出す。嘘をつくときなんかはもっと簡単にわかる。
目の前にいるこの子たちは、みんな嘘をついて、人を傷つけて、罪を共有……いや、なすりつけあっている。
人はなんで嘘をつくんだろう? と母に質問したことがあった。
『真実は、残酷なことの方が多いから』
私は、泣きながらそう答えてくれた母の顔を忘れることは絶対にない。
「みんな、あなたのこと嫌ってるよ? クラスのみんな」
真実が残酷なら。
「いつも偉そうで、態度がでかくて、うざい」
私は真実を突きつける。
「一人で気取って、一人をいじめて楽しい?」
周りが嘘をつくなら、私は嘘をつかない。
「園田さんよりも、今のあなたの方がよっぽど孤独」
たとえ、真実が悪だとしても。
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