純粋ゆえに
聞こえるのは、雨が屋根を打つ音。俺の目の前には可愛い女の子が一人。
俺はたった今、その女の子にデートのお誘いを断られた。
「あ、そう……。ごめん、急に押しかけて。帰るね」
それはそうだ。休日に急に家にやってきて、一方的に遊びに行こうなんて誘いを誰が喜ぶのだろうか。
考えれば分かることなのに、なんで俺はいつも──。
踵を返し部屋から出ようとしたところで、右の袖を誰が掴む。
「藍那さん?」
首を傾げ、相変わらずの無表情で俺の目を見つめる美少女。誘いを断った張本人だ。
「帰るの?」
「……え」
「歩がきてくれて嬉しい。なのに、もう帰るの?」
ちょっと待って。状況が把握できないんだけど。
「芦屋様が混乱しているようなので、一旦話をしましょうか」
そのメイドの一言が無ければ俺はきっと泣いていたと思う。
そこは昨日と同じ部屋。昨日と違うのは、俺の隣に藍那さんがいることだ。
言っておくが俺は、大ダメージを受けた。恥ずかしい話、断られるはずがないと思っていたからである。
……ぬぉっ!!穴があったら入るから、誰か埋めてくれ!!
「落ち着いてください芦屋様。これにはちゃんと理由があるのです」
「まさか、坂瀬河さんこうなることをわかっていたんじゃ……」
「それは、まぁ」
先に言ってくださいよぉ。
そんなやり取りを見ていた藍那さんが「なんの話?」と聞いてきたけど、苦笑いを返すことしかできませんでした。
「で、その理由と言うのは?」
「お嬢様は、外出ができません。普通ならそんな約束誰も守りませんよ?しかし、お嬢様は守ってしまうのです」
あぁ、そういえば条件の中にあったな……。勢いというか、やる気のせいで完全に頭から抜け落ちていた。
ちゃんと約束を守っている藍那さんに、悪いことをしたな。
「じゃあ何で止めてくれなかったんですか?」
俺のその問いに、坂瀬河さんは勢いよく立ち上がり胸を張るとこう答えた。
「芦屋様に、お嬢様の心を汚してもらうためです!」
それ、悪い意味にしか捉えられないから。
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