悪いとわかっていてもドキドキするテストの返却
今日は金曜日。月曜、火曜と行われたテストの返却とその結果が、生徒に知らされた。
この学校では、全生徒の結果を張り出すのではなく、一人ひとりに各教科の点数、総合点、順位の載った紙がファイルに挟んで配られる。
俺は、自分に渡された結果を確認してすぐにカバンにしまった。
仲の良いもの同士なら、その場で教えあったりするんだろうけど、あいにくこのクラスにそんな関係性のやつはいない。あとで、京介には見せることになると思うけど。
「次、藍那さん」
久しぶりに登場した朝霧先生に、名前を呼ばれた藍那さん。前に取りに行って戻ってきた彼女はそれを見ることなく、カバンにしまう。
正直、めっちゃ気になる。どうにか自然な流れで教えてもらうことはできないだろうか。
あんまり人のものを気にしちゃいけないとわかってはいるんだけど、藍那さんのはどうしても気になってしまう。
「あ、芦屋くんどうだった?」
声をかけてきたのは洲咲さん。彼女も手にファイルを持っている。
「いつも通りだったよ。洲咲さんは?」
「いつもより良くなってた! 芦屋くんに教えてもらったおかげだよ〜」
「おぉ、おめでとう」
俺が教えたのは本当にちょっとだけ。それ以外は自分でやってたし、なんなら俺も聞いたりしていた。感謝されるようなことは何もしていない。
……だけど、そんなニコニコしながら言われると否定しづらいな。なんか可愛いし。
「じゃあ、みんなお家の人に見せて、返してくださいね〜。これで終わります。あぁ、あと委員会に入ってるは人は会議、忘れないように」
そう言い残し教室をあとにした先生。俺には関係ないし、さっさと帰るかー。
「藍那さんは、成績どうだった?」
「……」
さっきまで俺と話していた洲咲さんは、くるりと体の向きを変えて藍那さんに話しかけている。しかし、今回も反応はしてもらえていない。
んんー、そろそろ友達まではいかなくても、話すくらいの関係の人が欲しい。もうすぐあれだし。
「俺も気になるなぁ」
「はい。見て」
「あ、あははー……」
手助けしたつもりが、余計にダメージを与えてしまったようだ。俺も慣れてないからな……、申し訳ない。
人の成績表を見るのは罪悪感がある。だが、今回は好奇心の方が上だ。
俺は、一旦息を吐いて、ゆっくりとファイルを開く。
「……え」
思わず声が漏れてしまった。だってそこには、今まで見たことのない成績たちが記されていたから。
「全教科満点だと……」
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