二人の相性
「そ、それで、な、何を占いますか……?」
「あぁ、えーと」
ツンデレなこころちゃんが「いいから早く、占い!」と、無限に続きそうだったやり取りを切り上げ、本題に話を戻してくれた。
申し訳なさそうに前髪の間から俺の顔を覗き込んでくる豊丘さんは、小さな声でそう言いながら、ガラスだ……水晶玉にそれっぽく手をかざす。
こころちゃんに連れられてきたものの、俺はそもそも占いにあまり興味がない。強いて言えば、朝のニュース番組でやる星座占いを見るくらいだろうか。
だから、これと言って占ってもらいたいものはないんだよなぁ。
「俺は特に……」
「えぇ……。じゃ、じゃあ、そちらの」
「占いって何?」
「えぇ……」
方やコミュ力の無い先輩と、方や占いの存在を知らない先輩。……なんか、ごめんね。
「どうしよぉ……こころちゃん……」
「はぁ、先輩方、ほんとに高校生ですか?占いなんて、恋愛運を見るためだけにしかないですよ」
「偏見だろ……」
「それは偏見だよぉ……」
困った豊丘さんが隣のこころちゃんに助けを求めたが、こちらも占いには疎い模様。
が、言わんとすることはわからなくもない。年始のくじ引きとかでも、真っ先に確認するのは恋愛運だ。待ち人がくるのかこないのか……どっちなんだいっ!
「え、えーと、おまかせとかできる?」
「あ、わ、わかりました……。そしたら、カップルに人気の相性占いにします」
「おっと……」
この子には俺と藍那さんがカップルに見えてしまっていたのか……。しかしここで「俺たちカップルじゃない」なんて言っちゃうと、さらに困らせてしまう。
先輩として、後輩をこれ以上困らせるのはやめておこう。
水晶玉の上で手をぐるぐると回しながら、何かをつぶやく豊丘さん。それが日本語なのかそれとも、違う国の言葉なのかはわからないが、雰囲気が出ていて少し怖いと思ってしまった。
「歩」
「ん?」
「カップルって何?」
「ぶっ」
首を傾げてそう聞いてきた藍那さん。今の雰囲気をもろともしないマイペースさ、さすがです。
「カップルって言うのは、その……男の子と女の子がお付き合いする的な意味かな?」
「……私と歩は、カップル?」
「ち、ちが」
「出ました。お二人の相性」
ここで否定しても豊丘さんを困らせるだけだし、認めてしまっても藍那さんに申し訳ない。
ど、どうすればいいんだ……。
「凄いです……お二人相性、運命レベルの96%ですよ」
俺は、藍那さんの質問に答えるのに必死で、占いの結果を聞くことができなかった。
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