兄と妹2
「兄さん、タオル変えましょうか?」
「いいって、五分前に変えたばっかだし」
「じゃあじゃあ、絵本でも読みましょうか?」
「それも、大丈夫……」
妹の七海は、何がそんなに楽しいのか? と思うくらいニコニコしながら、ずっと俺の部屋にいた。
うつすのも悪いし出ていって欲しいけど、まるで言う事を聞かない。俺も根負けし、今の状況に至っている。
「じゃあ、何をして欲しいんですか?」
「何もしなくていいよ。強いて言うなら静かにしてて」
「黙って俺の側にいろってことですね」
解釈の仕方が凄いな。
今は七海に何言っても無駄だ。悪化する一方でしかない、風邪と妹の頭が。
「あ、そうだ兄さん、冷蔵庫にゼリーがありますよ? 食べますか?」
思い出したようにそう言った妹は続けて「みかんかぶどうか」と種類も訪ねてきた。
言われてみれば今日は何も食べていない。食欲があるわけじゃないけど、ゼリーくらいならなんとか食べれるか。
「なら、みかんお願い」
「はい! 待っててください!」
急ぎ足で部屋を出ていった妹、よく見れば制服姿だった。シワになるから早く着替えた方がいいぞ。
妹がいなくなった部屋は急に静けさに包まれ、外で鳴いているカラスの声がよく聞こえてくる。時刻は間も無く、午後五時を迎えようとしていた。
「お待たせしました! みかんが沢山入ったゼリーですよ!」
嬉々として戻ってきた妹は、みかんゼリーとスプーン、それにコップ二つと500mlのお茶を木製の盆と一緒に運んできた。長居する気満々なのが見てとれる。
妹は早速、ゼリーを開け、スプーンですくうとそれを俺に近づけてきた。いわゆる、あーん的状況。
「はい、あーん」
「……」
俺はそれに応じること無く、ただ無言で妹を見る。言わなくてもわかるよな? 妹よ。
「恥ずかしがらなくてもいいんですよ、兄さん」
「違うから! 自分で食べれるからそんなことしなくていいって!」
恥ずかしさも勿論あるけどね!
「兄さんは今、病人なんですからここはななに任せて」
「うん……ってならないからな!」
「ちっ!」
妹とあーんイベントを阻止した俺は、持ってきてくれた事に感謝をして一人でゼリーを食べた。
お腹は膨れたはずなのに頭が痛くなったのはなぜだろう。
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