表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/445

兄と妹

 もう夕方だと言うのに、俺はまだベットの上に横たわっている。

 おでこには濡れたタオルが乗せてあって心地いい。けれど、体は熱くだるい感じがする。まぁあれです、熱です。


「久しぶりだな……」


 数年ぶりのこの感覚。自分の身体なのにそうじゃないみたいだ。

 テスト前の土日に風邪をひくなんてついてないな、ほんと。明日には治ってくれるといいけど。

 そこで俺はふと気づいた。右手が何かに覆われていることに。

 柔らかくて、スベスベで、温度のあるそれは誰かの手だ。誰のものかは見なくてもわかるけど。


「なな、起きろ。いや、目を開けろ」

「うふふ、バレましたか」

「タオル変えてくれたばかりだろ? ありがたいけどさ、うつると悪いから部屋から出て言った方がいいぞ」

「そんな……彼女である私にそんなこと言うなんて……うぅ、しくしく」

「いやお前、妹だろ……」


 わざとらしく泣いているこいつは俺の妹、芦屋(あしや)七海(ななみ)。三つ年下の中学二年生。

 黒髪ショートの髪型、前髪は短めで、顔は可愛い方だと思う。妹だからそういう目で見たことがない。


「兄さん……実は私たち血が!」

「バリバリ繋がってるから心配するな」

「ぐぬぬ」

「ほら、早く」


 部屋を出るように指示してもなかなか従わない。我が妹ながら、なかなかにめんどくさい性格をしているのだ。


「兄さん、私は母さんに頼まれたんです『歩をっ、歩をお願い……ね。(パタン)』って」

「そんな、ドラマチックに言ってなかっただろ絶対」

「だから私は言ったんです『兄さんは任せて! だから母さんは気にせず行って!』と」

「買い物だろ? いつまで続くんだその猿芝居は」


 妹よ兄は今、病人なんだよ。だからさ、うるさくするならちょっとあっち行ってて。頭がガンガンするから。

 

「そして、兄さんと私は一生幸せに暮らしました」

「急展開がすぎる」


 わかった。いてもいいから静かにしてて。

読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ