両手に花〜イケメンを添えて〜
いつもの帰り道、えらく上機嫌な藍那さんの前を歩く俺、その隣を歩くは俺の唯一の友、長田京介、そして、三人の後ろを歩く洲咲くるみさん。
京介が笑いながら何か話してるけど全く耳に入らない。……なんだこの謎メンツは!
「俺さー、テストは嫌いなんだけど、歩に勉強教えてもらうのは好きなんだよねー」
「……♪」
「勢いで誘っちゃったけど、まさかこうなるなんて……てっきり、二人で、なんて」
京介は勘違いされそうなこと言ってるし、藍那さんは無表情だけど何か楽しそうだし、洲咲さんは何かブツブツ言ってる……まるでまとまりがない。
変な目で見られてないだろうか? いや、高校生が四人で歩くのって結構普通なのか? 俺にはわからん。
よくよく考えて見れば、美女二人とイケメン一人なんだよなぁ。俺の場違い感が……。
「今から、藍那さんの家行くんだよね?」
「お、おう、藍那さんの家の方が良いって言ってくれてな」
「ふーん、歩、家の人とも仲良いの?」
「良いというか、ちょっと話すくらいかな」
俺の居心地の悪さを全く悟らない我が友、だから友達になれたのかもしれないけど。
あんた、残り二人無視できるってすごいっすね。
「ずっと聞こうと思ってたんだけど、歩と藍那さんってどう言う関係なわけ?」
「あー! それ、私も気になってた。転校してきた日、いきなり膝の上に座ってお世話して? とか言ってたし!」
俺たちの会話に洲咲さんが入ってきて、俺は二人に問い詰められる形になった。藍那さんは相変わらず無表情のまま、俺の袖から手を離さない。
多分、言っても別に問題は無いと思う。けど、理解はされない。正直、俺もまだイマイチわかってないし。
「お世話係よ、歩は私の」
俺が答えるより早くそう言ったのは、藍那さんだ。え、今、名前呼びました?
「お世話係?」
「そう、お世話係」
名前呼ばれたのに驚いたのは勿論、普通に会話してるのにも驚いてるんですけど。
「だから歩は私から離れちゃダメ」
袖を掴む手にさらに力が加わる。
満足げな彼女をよそに、俺、京介、洲咲さんは何も言えずにいた。
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