唐突に
昼休み。
「……」
隣で爆睡している藍那さんを横目に弁当を広げる俺。朝からずっと寝てるんだけどこの子。
そんな風景に、クラスのみんなも先生も慣れてきたみたいで、注意もしなければ起こしもしないと言う状況になっている。
学校にもクラスにも馴染めていないのがちょっと心配になってきた。
「藍那さん、起きて」
声をかけても彼女は起きない。普段どうやって起きてんだろう、とか思ったけど坂瀬河さんがいるからあんまり気にしなくてもいいと言う結論に至った。ここの文いらねぇな。
量の多い昼ご飯、母に頼んで多くしてもらっているけど自分一人で食べるにはちょっとキツイ。完食するための頼みの綱は、心地好さそうに寝てるしな……。しゃーない、今日も京介と食べるか。
「どこ……行くの? あゆ……む」
「え?」
京介を呼びに行こうと思い立ち上がったその瞬間、すぐ隣から俺の名前を呼ぶ声がした。
無感情なその声は間違いなく、藍那さんのものだ。けれど彼女は寝ている。
「寝言……?」
それに今、初めて名前を呼んだよな……? てっきり名前覚えられてないかと思ってた。
俺は何だか嬉しくなって、藍那さんの寝顔を眺めながら弁当を食べた。
その日の帰り道、お腹を空かせた藍那さんに俺はクレープを食べさせた。
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