先生、あんた本当は……
掃除が終わり、教室の鍵を返しにきた俺は、担任の朝霧先生と話していた。
せんべいを片手にお茶を飲む姿は……え、いや、なんでもないです。
「藍那さん、大丈夫?」
「体調ですか? 大丈夫だと思いますけど」
「そっちもだけど! お世話の方よ」
「あぁ、まぁ、なんとか」
藍那さんのお世話係になって、早くもニ週間が過ぎた。
最初の方は大変に思えたこの役目も最近となっては、結構楽しいものになってきているのは間違いない。今日一日、彼女がいなくて寂しい気持ちは多少なりにあった。
「藍那さんって結構な箱入り娘らしいのよ。世間知らずな部分もあって大変かなーと思ってたけど、あんまり心配いらなさそうね」
箱入り娘とかいうレベルではないと思うけど。ま、慣れるのが早かったのは、家に似たような奴が一人いたおかげかもしれない。
「改めて、引き受けてくれてありがとう。芦屋くん。正直、芦屋くんなら断らないと思ってたけど」
「……そう、ですか」
じゃあ、あんな怖い頼み方しないで欲しかった。
なんか、いいように使われている気がしてきたな……。いやまぁ、いいんだけどさ。
「あ、これ藍那さんに届けてくれない? これもお世話係りの仕事ってことで」
クリアファイルに入った数枚のプリントを受け取り、俺は職員室を後にした。
「なんか釈然としないな」
……いいんだけどさ。
読んでいただきありがとうございます!




