主人公にちゃんと友達はいます(多いとは言ってない)
「おっす、歩。今日は一人か?」
「おお、京介か。そうだよ」
昼休み、一人の男子生徒が俺を尋ねてきた。
名前は、長田京介。サッカー部キャプテンで高身長。茶色に染めた髪の毛と、着崩した制服でチャラそうに見えるけど、真面目で紳士的なやつ。
「えーと、藍那さん……だっけ?」
「そうそう」
「あの子、いっつも歩と一緒にいるからさ、話しかけずらいんだよ。なんか、近づくなオーラみたいなのがでてるし」
「近づくなオーラ? そんなのでてないだろ」
何言ってんだよ、藍那さんにそんな雰囲気ないよ。
「で、今から食堂行くんだけど」
「了解、弁当持ってくる」
京介と二人で食堂にくると、やっぱり女子からの視線が気になるな。
見られてる本人は気にしていないみたいだけど。
「って、お前お昼そんな食うやつだったっけ?」
「あぁ……これには訳があって……」
定食を持って席に座った京介は、俺の弁当を見て驚いている。
藍那さんが今日休みだからな……これを一人で食うとなると厳しいかもしれない。
周りの視線が気になりつつも二人で食べ進めていると、京介が突然こんなことを言い出した。
「まぁ、俺はちょっと寂しいけどさ、歩が前よりイキイキとしてるからそれでいいかな」
「なんだよ気持ち悪い」
「気持ち悪いとか言うなよな! はい、唐揚げもらい」
手で唐揚げを取り、一口で食べた京介は、作戦成功!みたいな顔をしている。
俺が前よりね……まぁ、確かに藍那さんのお世話係り、あんまり嫌いじゃないかもな。
「はぁ、長田先輩かっこいい」
「あれでサッカーも上手いなんて完璧だよね」
「ホモォ……」
聞こえてくる、女生徒の声は大体こんなもんだ。
このイケメンやろう。お前はずっとイキイキしてやがるな!
最後、寒気がしたのは気のせいだと思いたい。
読んでいただきありがとうございます!




